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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > グローバル人材育成(5)3大陸でのビジネス教育経験から(経営学/久原正治)

グローバル人材育成(5)3大陸でのビジネス教育経験から(経営学/久原正治)

11/09/13

■世界の優秀な若者はグローバル化した世界での活躍の場を求める

これまでグローバル人材の育成の話を続けています。今日は特に私の経験
から学んだ世界の3つの大陸でのビジネス教育の比較をしてみます。

まず世界の若者達は、自分のキャリアに今どういうものを求めているので
しょうか。

欧米及びアジアでビジネス教育を行った経験から共通して見られるのは、
世界の若い人は高い教育を得て自分のキャリアをアップしていこうとして
いることです。彼らにはチャンスがあって高所得が得られるのだったら国
を出ようという気があります。

■内向きで激しく競争するアメリカ
ただし、アメリカ人だけは大変ドメスティック思考で自国が全てと思って
いますから、国外に行こうという気はありません。

そこで求められている高い教育の中身は、世界中どこでもアメリカ式のビ
ジネス教育ということですが、これはちょっと問題です。世界のビジネス
教育の理論的な枠組は、特殊な国アメリカで発達した経営の理論ですし、
ケースもアメリカ企業のものが多いし、そこで使用される言語も英(米)
語です。

アメリカには膨大な数の大学があり、多様な需要に対応するよう多様なプ
ログラムを提供しているため、学校間で非常に激しい競争があります。

また授業料も高く、特にビジネススクールでは円換算で年間300万円程が
普通になっているところがあります。その理由として、ビジネススクール
では良い教員を確保するためには高給を支払う必要があるため、コストが
上昇し、しかも私立が中心ですから、授業料が非常に高くなっているので
す。

私はシカゴのデポール大学で教鞭をとったことがあります。シカゴにはシ
カゴ大学やノースウェスタン大学など名門のビジネススクールがあり、シ
カゴで1番大きな規模のデポール大学ではこれらと差別化するため、夜学
で働いている人にMBAを与えるという、九大と非常に似たシステムにな
っています。

ただ学生数が3000人と大規模な社会人大学であることが違う点です。社会
人なので授業料は単位制ですが、1科目30万円くらいで、ハーバードやシ
カゴと比べれば割安です。それでも30万円ということは1科目の授業回数
が20回ですから、1回1万5千円となり、九州大学ビジネススクールで計
算してみると、1回の授業料が4千円くらいですから、かなり高くなります。

■アメリカのビジネススクールの強み
アメリカのビジネススクールの強みは、5つあります。まず学生が多様で
あること、次に学長などが組織として、リーダーシップを握って運営して
います。第3に科目の中でもリーダーシップやアントレプレナーシップなど
のソフトのスキル系の科目が色々揃っています。第4には、学生が多様で、
世界中から教員と学生を惹き付けていて、第5に教員も学生も競争させる仕
組みがあります。

■アメリカ型ビジネス教育の問題
一方でアメリカのMBA教育についても、課題や批判があります。最近では、
授業料が高過ぎ、投資に対する効果があるのかというのがまず第1です。

次に、アメリカ人は非常にドメスティック指向ですから、アメリカのMBA
が実は全然国際化していないとことがあります。授業の中身もアメリカで作
成したテキストを使っているので、私がアジアの授業を行うと、日本がどこ
にあるか知らない人がいたりするのです。日本が中国の一部と思っている学
生もいます。

第3にはランキングによる評価が問題です。どの大学もランキングを上げるこ
とで競争しているので、、学校の内容が同質化したり、ランキングで評価され
るところだけをお化粧しがちです。教員の方もランキングを上げるため学生を
大勢集めようとして、成績がインフレになったりもしています。学生はただ学
位をえて修了するためにお金払っているという感じもします。ある程度学生を
大量生産をするようになり、それをランキングでブランド付けしている感じが
あります。

■アジアと東欧での経験
一方、アジアのビジネススクールではシンガポールマネジメント大学に関わり
ました。

シンガポールは小さな国ですから、国家としてこれまで教育に1番力を入れて
人材を養成して成長してきました。優秀な人をいい大学へ進学させるため、早
い段階で選抜し、最終的に3つの国立大学、シンガポール国立大学、南洋技科
大学、シンガポールマネジメント大学に入るために熾烈な競争があります。

入学後もGPAという成績の平均点で就職先が決まり、その就職先で将来の収
入が決まるので、大学の中でも友達を蹴落とすように競争していますが、これ
も問題です。特に若い内に早い段階で選別されるので、一旦落ちこぼれるとな
かなか浮かび上がれないですし、一方でエリートはエリートで勉強し続けなけ
ればならないのでプレッシャーが大変です。

東欧ではのポーランドのワルシャワとブルガリアのソフィアで、JICAの仕
事でビジネス教育に関与しました。このような新興国では、若者は自分の国を
早く出ようというインセンティブが強く、大学院レベルの教育制度もまだ不完
全でうまく出来上がっていません。お金をかけて教育しても、国を出てしまう
のは一体どういう風に考えればよいのか、問題が多いと思います。

日本のビジネス教育でも、このような海外のビジネス教育の問題点をよく見て、
アメリカのようにならないように、日本の良さを生かしていかなければいけません。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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