QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

過去の記事詳細

QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 他者の行動を真似るということ(福岡女学院大学社会心理・組織心理/藤村 まこと)

他者の行動を真似るということ(福岡女学院大学社会心理・組織心理/藤村 まこと)

11/08/24

街中のお店に行列ができていたりするとつい並んでみようと思ってみたりするように、私たちは思った以上に他者の行動を真似たり参考にしています。それを示した実験を今日は紹介したいと思います。

■誰かが空を見上げたとき 

もし街中で何人かの人が上を見上げると、つい自分も上を見上げたくなってしまいませんか。このように人は、複数の人が一斉に同じ行動をとると,それと同じ行動をとる傾向があると言われています。ミルグラムという研究者がそれを実験で確かめています。1968年のことなのですが,ニューヨークの街中で実験協力者としてサクラの人を準備して、複数の人が6階の窓を見上げてもらいます。その時,実験のことを知らない通行人の人たちがどんな行動をとるかを調べています。この実験では、サクラの数を1人、2人、3人、5人、10人、15人というように変化させて,その人たちが一斉に6階を見上げて1分間停止するときに周りの人のとる行動を観察します。その結果、サクラが1人のときでも40%の人が6階を見上げることが分かっています。そして,サクラの数が増えて,3人のときは60%程度,5人のときは80%程度の人が上を見上げます。15人のときは86%という結果ですから、サクラの数が5人を超すと8割近くの人が上を見上げるようです。

なぜ他者と同じ行動をとってしまうのでしょうか。ひとつ考えられるのは,他者の行動を参考にすることで,身に迫っている危険や重要な情報を知ることが可能になるためかもしれません。複数の人が空を見上げれば,何か落ちてくるのではないか,おもしろいものがあるのだろうかとつい見上げてしまうのかもしれません。ある意味、流行というものも、周りの多くの人が同じ格好をしていたり使っている商品があると,よいものなのかもしれない,何か楽しそうだなと思うのかもしれないですね。

また,人はよく分からない状況や不確かな状況にも他者の行動を参照することがあります。
例えば、初めて行った国や初めて行く場所でどう行動すればよいかわからないときなどです。慣れないレストランなどで,どこで注文やお勘定をするのか分からないときなどは,聞くよりも先に周りのお客さんの行動を見た方が早いことがあります。先にいる客がテーブルで支払いをしていれば,自分も同じようにすればよいですね。つまり、他者行動はその場所でとるべき行動を教えてくれることもあります。


■ゴミが落ちている場所に人はゴミを捨ててしまう? 

ときに人は,その場にはいない他者の行動を真似ることがあります。
例えば、街中で駐輪禁止の場所に,多くの自転車がとめてあることがありますね。その場所に,自転車を止めるなと書いてあったとしても,実際に他の人たちが自転車を置いていれば,私が置いても大丈夫だろうとつい自転車を置いてしまう人も多いかと思います。このように「~してはいけない」という掲示が命令的規範と呼ばれ,他の人がどうしているかということが記述的規範と呼ばれます。この2つが食い違うことはよくあります。自転車をとめてはいけない,ゴミを捨ててはいけない,そう書いてあるのに自転車が置いてあったりゴミが捨てられていることがあります。チャルディーニが,これを図書館の駐車場から図書館までの間で,どちらの規範を参考にするかという実験をしています。その結果,やはり人は他者行動を参考にしており,道筋にゴミが落ちている状況ではゴミを捨てやすいことが分かっています。

ルールを破ることは,ルール違反と同じですね。ルール違反を防ぐ方法として,ルールをその場に示す,合理的で納得できるルールを用いる,ルール違反を見逃さないなどが言われています。駐輪禁止やゴミ捨て禁止は,すでにその場に明示されているわけですから,それ以外の方法をとる必要があります。
なぜそこに駐輪してはいけないのか,誰が困るのかを地域住民に知ってもらう,ルール違反をしておいてある自転車を取り締まるなどの対策も考えられると思います。もちろん,個人個人が高いモラルを持って,自分を律していくことも考えられますが,心理学のひとつの視点として、個人がどう気を付けるかよりも,違反をさせない状況やルールを守れる状況をどう作るかという環境作りを工夫していく方が良いように思います。

分野: 藤村まこと講師 |スピーカー:

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ