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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 言葉資源の豊かな企業は強い(1)(出頭則行/マーケティング)

言葉資源の豊かな企業は強い(1)(出頭則行/マーケティング)

11/08/22

「豊かな言葉を持っている企業は強い」というテーマで僕の教え子が
博士論文でPh.D.を取ったこともあり、それに触発されて、今日はそ
の話をしてみたいと思います。

言葉資源の豊かな企業というのは、経営哲学や独自の言葉を持ってい
る企業です。そういう企業は歴史もあり、非常にユニークであること
が多いのです。経営哲学に入る前に、渋沢栄一については色々な本も
出ていますが、特に「論語と算盤」がこの頃ブームなので、その話か
ら始めましょう。渋沢栄一は、日本の資本主義の父といわれ、約150
社の経営に関わりました。皆さんご存知の王子製紙、帝国ホテル、み
ずほ銀行などは、彼が創始者です。

「論語と算盤」は講演筆記集で書き下ろしの自著ではありませんが、
色々な人が論じています。彼は豪農出身なのですが、維新以降は官界
から身を退き、民間人として日本に固有の資本主義を根付かせ、色々
な会社を立ち上げましたが、彼の教訓の基盤は論語でした。江戸時代
に教育を受けたので儒教を専ら学んだわけですが、論語の言葉は全て
渋沢栄一の頭の中に入っていたので、経営の指針を論語に求めるよう
になりました。「論語と算盤」は「処世と信条」が第1章で、最後が
「成功・失敗と運命」というように10章に分かれていて、渋沢の解釈
は自在そのものです。

渋沢は論語を自分のものにして経営の哲学にしましたが、対照的な人
間がベンジャミン・フランクリン(Benjamin Franklin)です。ご存知
のように、凧を上げて電気の存在を発見し、アメリカの建国の父であ
り、発明家であり起業家でした。マックス・ウェーバー(Max Weber)
は「プロテスタントの倫理と資本主義の精神」という著名な本の中で、
代表的なプロテスタントとしてベンジャミン・フランクリンを挙げて
います。彼によれば、プロテスタンティズムのエッセンスが彼を資本
家として成功させたことになっていて、論語を自在に解釈した渋沢栄
一とは違います。ベンジャミン・フランクリンは、プロテスタンティ
ズムの権化というわけです。

フランクリンは彼の生活信条として13の徳を挙げています。いくつか
紹介すると、まず摂生、飽きるほど食うな、酔うまで飲むなというこ
とです。次に、沈黙、自他に益なきことを語るなということです。駄
弁を弄するな、節約して自他に益なきことに金銭を費やすなというあ
たりは、ちょっと渋沢に似ています。非常に似ているところは中庸で
す。渋沢栄一も極端を避けろと言っています。例え不当な扱いを受け
ても、憤りに値すると思っても、激怒するなといっています。13の徳
の中でセックスに関することもいっています。それによると、性交は
もっぱら子孫創造のために行い、これにふけったり、頭脳を鈍らせた
り、体を弱めたりしてはならないということをいっています。本当に
真面目な厳格なプロテスタントです。これとは逆に、渋沢栄一は艶福
家で有名です。お妾さんも複数いました。職業倫理的にはしっかりし
た人ですが、女性関係には相当寛容で、ベンジャミン・フランクリン
のように禁欲的ではありません。彼は豊かさと地位は、人類の性欲の
ようなもので、これを求める心が人間を前進させると言っています。
性欲に関してもポジティブなところが、ベンジャミン・フランクリン
と渋沢栄一の大きな違いでしょう。

2人に共通しているのは、両者とも論語・プロテスタンティズムとい
う確固たる信条を持っていますが、自分自身の言葉で規範を語ってい
ることです。渋沢栄一は日本資本主義の父となり、ベンジャミン・フ
ランクリンは米国建国の父になりました。企業に関しも、借り物でな
い自分の言葉を持っている企業はやはり強い企業ということができる
でしょう。

分野: 出頭則行教授 |スピーカー:

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