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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > グローバル人材育成(4)九州3大学の国際化事例 (経営学/久原 正治)

グローバル人材育成(4)九州3大学の国際化事例 (経営学/久原 正治)

11/08/19

これまでお話ししてきたグローバル化は、九州の大学でもどんどん進行しています。今回は、九州大学、立命館アジア太平洋大学(APU)、福岡女子大学の3つの大学を取り上げて、大学の国際化についてお話ししていきます。

■九州大学の事例
現在私が所属している九州大学は、国際化についても様々な取り組みを行っています。

国は「グローバル30(G30)」として日本の代表的な大学をグローバル化のモデル校として選んでいますが、九州大学はその13拠点のうちの1つとなっています。

このG30の成果については、まだ始まったばかりで判断が難しいのですが、九州大学では交換留学生が急激に増加しています。これには、難しい経済環境の中で学生自身が就職や社会に出ることを考えて、海外を見る必要性というのを自ら感じているということが影響していると思います。

九州大学には2011年5月1日時点で、73の国と地域から1866人の学生が留学しています。これは10年前と比べると約2倍の人数となっています。また、2020年までに留学生の数を3900人に倍増させることを目標としています。

逆に日本人学生が海外に留学する方を見てみると、交換留学制度を使った留学生が絶対数はまだ少ないので明日が、急増しています。

交換留学では、半年や1年の単位で交換協定を結んだ相手先の大学に留学します。交換留学制度を使って絵画時に留学した日本人学生の数が、20年前は年間数人程度でしたが、2011年度には70人に増えています。

■日本人の海外留学は本当に減ってきているのか?
このように近年では、交換留学制度で海外に行く学生が増えてきています。20年位前までは、日本人学生の海外留学というと、日本の大学に合格できなかった富裕層の子弟が親の支援で海外に留学するというケースや、会社派遣で欧米のビジネススクールに留学するというケースが多数を占めていました。

そのため、日本の大学に入学した学生が留学するという事例は少数でした。しかし今では大学全入時代で日本人は皆日本の大学に入れるようになり、また企業も長期の経済低迷の中で留学させる余裕がなく、欧米への留学生は減少気味です。これが一般に新聞等で報道される日本人の若者の海外で学ぶ意欲の減退という報道にもつながっています。

しかし現実には、特にアジアへの大学生の交換留学が増えてきています。先ほど紹介した九大の交換留学生70人のうち、半分以上がアジアにある大学へ留学しています。

一方で、提携先の大学から九州大学に交換留学できている学生の数は、140人です。140人来て70人送り込んでいるということになりますが、この数がどんどん増えていくということが、これからの大学の国際化ではないかと私は思います。

しかし、克服しなければならない課題もあります。九州大学は組織が巨大であるため、先生たちが英語で授業を行うというような国際化を、大学全体で取り組むという事が難しい状況にあります。やはり、地道に派遣留学を増やして学生自身に海外への興味を持たせるということと、そこで教員がどう変わっていくかということが重要ではないかと思います。

■立命館アジア太平洋大学(APU)の事例
九州大学の留学生数は1866人ですが、私がかつて所属していたAPUには2011年5月の時点で、世界約100ヵ国から約2900人の学生が集まっています。APUは大分県別府市に本拠を構えているので、地理的なロケーションからいって都会の大学と比べて留学生が来るには不利ではないかと考えてしまいます。

このような不便な場所でも留学生が集まったのには、設立当初の学長による、ベンチャー企業的な取り組みが影響しています。

特に、日本語は出来ないが英語が出来るという世界の若者に対して、日本語は大学に入ってから教えるから、英語で入学できるとしたことが大きかったように思います。

アジア諸国では、英語が若い人のコミュニケーション手段になっているため、たくさんの優秀な人がアジアからAPUに入学しました。APUでも他の日本の大学と同じく、中国、韓国からの留学生が多く在籍しています。しかし、従来あまり日本の大学へ留学する人の多くなかったタイやベトナム、インドネシア、ミャンマー、モンゴルやバングラディッシュ、インドからも学生が来ています。

こういった国の人たちは日本語をあまり話すことが出来ませんが、英語は話すことが出来ます。そういった人たちが多く在籍しているということがAPUの大きな特徴だといえます。

■日本企業に就職する留学生
APUの留学生のうち約半数が日本に残る事を希望しており、その内のほとんどが日本の企業への就職を志望しています。実際、留学生の日本企業就職率の実績はほぼ100%となっています。日本企業がグローバルな人材を必要としている現状の中で、日本人の学生で英語でコミュニケーションが図れる人や、海外のことをよく理解している人は少数です。

一方で、APUの留学生は日本語と英語の両方を話せて、異文化経験もしているため、グローバル化する日本の企業にとり非常に有力な人材となっています。

しかしその後をよく見ていると、日本の大企業に就職した優秀な留学生のその殆どが入社後数年で退職しており、日本の企業としてはせっかくグローバルな人材を採用しても、そのあと幹部人材として育てることについては課題を抱えている状況にあるように見えます。

■福岡女子大学の事例
県立大学である福岡女子大学は、文学部と家政学部という伝統的な学部を擁する学生数約700人の小規模な大学でした。しかし、時代の要請に合わないということで、2011年から文理融合しグローバルな時代に即した大学に向けて大きな変革が行われました。

具体的には、1年次の学生にきちんと英語教育を行い、短期留学のプログラムを設けました。また、1年生は全員を寮に入れて、寮1部屋の定員は4人で、その内の1人は留学生です。この寮はホテルのような建物で、我々が住みたいくらいの立派なものです。

この一連の大学の変革には、麻生前県知事が福岡県の国際化を旗印にしていたことが背景にあると思います。時代に合った大学に変革するということで、識者を集めて議論した結果、知事のリーダーシップもあってこのような新しい大学が出てきたということでしょう。

今回は、九州の3つの大学の国際化への取り組みの事例を紹介しましたが、アジアの大学ではすでに英語が共通のコミュニケーションの手段になっているということを認識しなければならないと思います。

日本の大学の留学生誘致も、日本語で話すことの出来る中国人や韓国人の留学生を中心に受け入れるというところから、英語でコミュニケーションできるアジアの優秀な学生を受け入れて、日本語は入学後に教育するように変わっていくということが1つのポイントではないでしょうか。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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