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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > グローバル人材育成(3)アジアの興隆と大学間の人材の移動 (経営学/久原 正治)

グローバル人材育成(3)アジアの興隆と大学間の人材の移動 (経営学/久原 正治)

11/08/17

今回のテーマは若者のアジアへの興味の拡大です。アジアをキーワードに、これから高校生や大学生が、どのようにグローバル化していくのかということについてお話ししていきます。

■グローバル人材の要件
これまで何度か申し上げておりますが、グローバル人材の要件として次の3点があげられます。
1番目が英語をコミュニケーションの手段とする点です。
2番目が異文化を理解するということです。
そして3番目が、世界のどこにでもすぐに移動できるという点です。

これら3つの点を備えた人材を、「グローバル人材」と呼んでいます。しかし、単に英語が流暢に話せるということで要件の1つを満したということにはなりません。前提として、自国の歴史や現状への深い理解と認識や特定の専門的な知識や経験が必要となってきます。

自分の国ことを知らずに単に英語だけできても、それでは何ら世界で日本人としてコミュニケーションができていることにはならないのです。

■あるNPO法人の取り組み
ここで面白い話を紹介したいと思います。

先日私の住んでいる福岡県久留米市に、NPO法人ブラストビート代表の松浦貴昌さん(32)が訪ねてきました。このNPO法人では、引きこもりや不登校の高校生に音楽イベントを企画させて、そのチケットを販売し利益を上げることを通じて、彼らに成功体験を植え付けていくという活動を行っており、大きな成果を上げているそうです。

若い人たちには音楽イベントを通じてワクワク感が生まれているようですが、それだけでなく、そこで成功すれば達成感も出てきます。これが、やがては自分で会社を興していく、いわゆる起業意識に繋がっていきます。

活動の様子について色々なビデオも見せてもらいましたが、元気のない目をしていた高校生がプロジェクトに参加することで、非常に活発になっていました。このNPO法人は同じプロジェクトをアジアにも広げようとしています。その海外展開の中に日本人も一緒に入って取り組んでいくようですが、言葉でのコミュニケーションよりも音楽でのコミュニケーションの方が通じやすいのかもしれません。アジアでこれを広げていくということが、彼らのこれからのテーマだそうです。

■留学先の変化
欧米への日本人留学生が減少している一方で、アジアへの留学生は増加しています。実際、日本からアメリカへ行った交換留学生は、1997年には47000人でしたが、2009年には24000人に半減しています。

これに対して、アジアへ行っている人の数は、交換留学という形で大きく増えてきています。これに関しては集計したデータが手元にないため、回を改めて個々の大学のデータでお話しすることとしますが、いずれにせよ、学生の交流の場が、欧米だけからアジアにも拡大しており、米国への留学生が減るのとは逆に日本の学生交流の基盤が広がっているのではないかともいえます。

2000年代最大の変化として、アジアのどこに行っても、若い人が母国語ではなく英語でコミュニケーションをするようになったということがあげられます。学生にとっても、1年や半年の間、交換留学でアジアに出て行き、現地の学生と一緒に生活することで、アジアの学生が日本の学生と比べて、いかにグローバル化しているのかということが分かってくるのではないかと思います。

■大学の国際化
大学の国際化に関して、最近見聞したことをお話しします。この6月に名古屋で国際経営学会が開催され、世界中から1000人近い経営学者が集まりました。この学会では、韓国とシンガポール、香港を代表するビジネススクールもプレゼンテーションを行っていました。これらアジアのビジネススクールはお互いに協調して共同プログラムを実行しています。

また、これらの大学には世界中から留学生や教員が来ています。そうなると、授業で使う言語としては英語が中心となってきます。例えば、韓国の高麗大学では、学部も大学院も授業の6割は英語で進めているそうです。英語で授業のできない先生は、雇わないとも言っていましたから、今や英語は中世の欧州の大学におけるラテン語のような存在となっています。

■中世の欧州間大学ネットワークから現代のアジア間大学ネットワークへ
日本は既に欧米にキャッチアップしています。欧米から学ぶことは昔ほどありません。現在では日本はアジアの国々からキャッチアップされる立場になってきています。これから日本はアジアと一緒にやっていくということになり、そこにこれからの若者のチャンスがあると思います。

大学は中世の欧州で制度として確立されましたが、この時代にはヨーロッパで都市間のネットワークが広がっていき、大学の教員も学生もこの都市間を移動して学んでいました。

そのため、学術世界ではラテン語が共通言語として用いられ、カリキュラムも欧州の各大学皆同じものを採用していました。。

これからの世界の大学では、共通言語はかつてのラテン語から英語へと変わりますが、かつてのヨーロッパと同じように、アジアで都市間のネットワークが出てきて、アジアの大学の学生も教員もその中を移動して学ぶようになっていくのではないかと思います。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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