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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 産業界の求めるグローバル人材とは(3) (産学連携マネジメント/高田 仁)

産業界の求めるグローバル人材とは(3) (産学連携マネジメント/高田 仁)

11/07/20

産業界はグローバル人材を求めているにもかかわらず、近年の若者が海外を避けようとする傾向を強めていることは、注意すべき傾向である。

例えば、日本から海外大学への留学者数は、不況の90年代にも一貫して増加し続けたが、2004年の約83,000人をピークに、2008年には68,000人を切る水準まで低下している。また、米国への留学者数(2009年度)は、第1位がインドで10万人超、第2位が中国で98,000人、第3位が2000年以降急増著しい韓国の75,000人となっており、日本は90年後半の5万人弱をピークに今や3万人を切るまでに低下している。

また、産業能率大学による新入社員のグローバル意識にかんする調査(2007年)によると、「海外で働きたいか?」との問いに対し、「どんなところでも働きたい」と回答した割合は2004年から大きく低下し、そのぶん「海外で働きたくない」が大きく増加している。また、「海外赴任を命じられたらどうするか?」との問いに対し、「従う」の割合が減少し、「できるだけ拒否/退職してでも拒否」の割合が増加しているのである。

いったい、学生のこの反応の背景には何があるのか?私が今年5月に主に学部生向けに行った「アントレプレナーシップ入門」という講義の中で、学生に調査データを渡してグループディスカッションをしてもらったところ、海外留学や海外赴任を望まない理由として、2つの大きな要因が浮かび上がった。

1つ目は、「学生の自信不足」。例えば語学に関して、日本人は必要以上に完璧さを求めてしまい、そこに到達出来ないと留学や海外赴任をとてもやっていけないとハナから思い込んでしまう傾向が強い。が、実際は英語を母国語としない多くの国からの留学生も、日本人に負けず劣らず語学(英語)に難ありの学生も少なくない。が、彼らはたくましく、かつ楽観的にその状況を乗り越えようとし、その結果、留学期間を終える頃にはある程度十分な語学力を身に付けている。また、コミュニケーションに関しても、日本人は日頃「あうんの呼吸」が通じる環境で長く過ごしてきたために、異なる価値観や文化、歴史背景を持つ外国人と踏み込んだコミュニケーションをとることを躊躇する傾向があり、結果的に異文化の中でたくましく生きぬくことを避けてしまう。もっと積極的に飛び込んでいけば良いのだが、どうもその自信がない、というのだ。


2つ目は、「海外に出る必要性の低さ」。つまり、日本の社会や日本の大学はそれなりに豊かになり、ある程度必要なものは国内で手に入るようになったため、わざわざ苦労して海外に出なくても日本国内で十分事足りるというのだ。

その他、こと「留学」に関してその数が減っている理由として、「そもそも時間がなく、就活にプラスに働かない」という意見が多く出された。大学1年の時は、大学生活に慣れる段階で、2年になると徐々にいろんなサークルや部活動にも熱が入って生活をエンジョイする。3年になると就活準備が始まり、また、専門課程に入るのでそれなりに忙しくなる(学部によるが)。そして、3年の後半から4年の前半はほとんど就活にかかりっぱなしになるので、とても留学に割く時間などないというのだ。

これに関しては、現在経団連などが就活時期の後ろ倒しを表明して大学生活が就活で犠牲にならないように配慮し始めている。しかし、新卒一括採用の枠組みがある限りは、そこで就職に漏れてしまうと就活浪人や就活留年、状況によっては非正規採用で後の人生をずっと不安定に送らざるを得ないと認識する学生がほとんどであるため、依然として学生のリスクは緩和されていない。

少なくとも、日本企業は多様な価値観や能力を持つグローバル人材(日本人に限らず)を最大限に活用せざるを得ず、その即戦力人材をいきなり海外から連れてくるのは余りにもリスクが大きいであろうから、日本の大学に留学して来る外国人留学生や海外への留学経験を持つ日本人学生を積極的に採用するといった姿勢を明確に示し、一方で日本の大学は、海外から留学生を積極的に受け入れる態勢やそのための教育環境の整備を進めるとともに、日本人学生が海外留学で武者修行出来るような仕組みをより充実させることが不可欠であることは間違いない。

分野: 高田仁准教授 |スピーカー:

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