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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 日本のビジネス教育は役に立つのか(マーケティング/出頭 則行)

日本のビジネス教育は役に立つのか(マーケティング/出頭 則行)

11/06/20

■日本のビジネス教育の評価 

今日は日本のビジネス教育は役に立つのかということをお話しします。MBAを学ぶというは日本ではどのように評価されているのか。日本の大企業の松下やホンダ、ソニーやトヨタなどの創業者はビジネス教育を受けたわけではありません。松下幸之助がビジネス教育を受けたということも聞きませんし、盛田昭夫が受けたとも聞きませんし、本田宗一郎が受けたとも聞きません。もっとも、その頃、日本にはビジネススクールはありませんでした。(ハーバードビジネススクールが出来たのは1908年です。)
経営学の泰斗でミンツバーグという人がいますが、彼は経営とはアートのようなものだと言っています。そのため、今、MBAでやっているビジネス教育というのは、役に立たたず、時に有害であると公言しています。
ユニクロの社長兼会長の柳井さんはインタビューなどで、MBA教育というのは現場に来たら役に立たないと公言しています。しかし、ユニクロはMBAをたくさん採用している会社で、柳井さん自身はセオリーを重んじる経営者です。
日本にはもともと職人肌、叩き上げということを大事する傾向があると思います。そのため、学者のいうことは机上の空論で、ビジネスを知らない人間の戯言だと軽視しがちですし、むしろ叩き上げ型、ストリートファイター(Street Fighter)型を賞賛するという風潮はあると思いますね。

■通常の企業と一流企業との差 

では実際に、日本のビジネス教育、MBA教育というのは役に立っているのかという話にうつります。野球の話になりますが、通常どんな選手も、投手でさえ1割5分くらいの打率があります。普通の人、凡庸な打者でも2割くらい打てます。そして、3割打つと賞賛されます。通算打率で3割以上を打った打者は名選手と言われます。2割バッターと3割バッターは、実際は10本の内たった1本ヒットを余分に打つか打たないかという差です。それだけの差ですが、それが凡庸な普通の打者と名打者を分けているということになります。企業でもよく新製品の成功率が2割くらいで8割は失敗すると言われています。(先ほどお話に出したユニクロの柳井さんにも、一勝九敗、という本があります。確かに彼の場合、失敗の連続です。)10本の内たった1本多く打つことが名打者と凡庸な打者の差であるように、企業においても新しい事業や製品の成功率が2割なのか3割なのかという、この1割が通常の企業と一流企業との差になると思います。

■知識を持つ重要性 

私は、ビジネス教育は事業の成功の5割は保証しません。身の回りでは常に色々なことが起きていて、予想外・想定外の出来事の連続です。そのため、戦略が正しくても失敗することは多々あります。ビジネス教育は5割の事業の成功を約束するようなものではないけれども、打者がバッティングのセオリーというものを学ぶことによって2割が3割になる可能性を高めるのと同様に、ビジネスの場合もビジネス教育によって成功率を2割から3割に上げることには貢献できるのではないかというのが私の見解です。
どうして貢献できるかというと、常に時代が要請する知識というのがあります。江戸時代は読み書きそろばんと言われていましたが、今もITを含めて時代が要請する知識は必要で、その知識をビジネス教育は提供できます。
それから、ビジネス教育ではセオリーを語ります。セオリーは原理・原則ですから、プラクティカルなものではありません。しかし、セオリーはロジカルな原理・原則であるからこそ、色々な場面に適応は可能です。想定外のこと、予想外のことが起きても、そのセオリーを基に、様々に思考を発展させ、対応策を考えることは可能というわけです。ビジネスは常に臨機応変の対応を必要としているので、原理・原則を教えるビジネス教育は2割打者を3割打者ことには貢献できるのではないかと私自身は思っています。

■セオリーを持つことによる気持ちの変化 

こういう実話があります。あるヨーロッパの軍隊がアルプス山中で遭難しましたが、隊員の1人がたまたま山中の地図を持っていました。そのため、彼らは冷静さを取り戻してアルプス山中から帰還することができました。しかし、後で調べてみると、その地図はアルプス山中の地図ではなくてピレネー山中の地図だったというのです。地図がある、地図を持っている安心感で軍隊がパニックに陥ることなく、冷静さをたもつことができたというわけです。身も蓋もないような話ですが、地図と同様に原理・原則(ガイドライン)を持つことで、ビジネスパーソンは自信を持つことができます。従って、原理・原則を講ずるビジネス教育も事業の成功率を2割から3割くらいまでに高めることには貢献できるだろうと思っています。では、あとの7割はというと、やはりビジネスパーソンのアニマルスピリットではないでしょうか。

分野: 出頭則行教授 |スピーカー:

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