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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 映画に学ぶ経営学(5)あらゆる映画の背景には経営がある(経営学/久原 正治)

映画に学ぶ経営学(5)あらゆる映画の背景には経営がある(経営学/久原 正治)

11/06/08

今まで映画に学ぶ経営学、というお話をずっと連続でしてきました。これまではアメリカ映画、日本映画からそれぞれの国の組織のあり方、経営のあり方を見てきましたが、今日は映画ビジネス自体のお話をします。

映画ビジネスは投機的なビジネスで、そこにある大きなリスクをどうリスクヘッジ(Risk Hedge)しているのかが、映画自体が経営であるというポイントです。1つの作品を次から次へと作るという訳にはいきません。色々なアイデアを次から次へと出さないといけない上に、当たらなかったら大損するわけです。

■映画の制作費について 

まず、あれだけの制作費をどこから持ってくるかというお話をします。最近では、プロジェクト・ファイナンス(Project finance)という形式、つまり、その映画の収入、キャッシュフローを担保にしてファイナンスを行います。そうすると、映画自体がキャッシュフローを見込めるような案を出していかないとファイナンスが付かないというわけです。金持ちが株を買うように、映画に投資をすします。普通の銀行借り入れなどは、とてもリスクが大きくて出来ないということです。
実際、日本国内でもこのリスクに耐えられる映画会社がなくなっていっています。日本の映画は、色々な人が多数投資をしているという形式じゃないと資金が集まらないということになっています。

■リスクヘッジの方法(1)有名な俳優を起用 

では、リスクヘッジの話についてです。今流行っている映画だと、アカデミー主演女優賞をもらった、ブラック・スワン(Black Swan)があります。主演女優がナタリー・ポートマン(Natalie Portman)です。これはまさに、誰がみても当たるような女優を最初から起用するということでリスクをヘッジする映画です。有名な俳優というのはものすごく出演料も高いのですが、それだけ有名な俳優がいれば映画も当たる可能性が高いということになります。

この映画を見ていただくとわかりますが、映画のテーマ自体がバレエの白鳥の湖を新しいアイデアでプロデュースしてそれが成功するかどうかということです。そのため、そのバレエのプロデューサー自体が色んな支援者からお金を集めるためにパーティーをやったり、バレエの女優にいい人を選んだりというところで、その競争自体がテーマになっているという面白い映画です。スポンサーを付けてお金を得る。ブラック・スワンではバレエを見るようなニューヨークのお金持ちをスポンサーにしています。

■リスクヘッジの方法(2)当たったミュージカルを映画化 

2番目のリスクヘッジの方法です。ミュージカル映画が、アメリカの映画の中では非常に多い。これは、一度ミュージカルが舞台で当たったものを映画にすれば、映画も当たるということです。古いものでいうと、1950年代の『雨に唄えば』などは本当に典型的な舞台から映画へというものですね。あれは、セットの中でジーン・ケリー(Gene Kelly)が踊っているような映画で、誰でも曲を知っているわけですから当たるわけです。

60年代になると70ミリ映画が出てきたので、ミュージカルが非常に大きな画面で迫力があって見られることになりました。私達の世代だと、1961年のウエスト・サイド・ストーリー(West Side Story)ですね。それからサウンド・オブ・ミュージック(The Sound of Music)が65年です。これはみんなが見に行ったわけです。特にサウンド・オブ・ミュージックは65年の映画の中で最高収益を上げました。

最近のミュージカル舞台を映画にしたものを挙げていきます。60年代と比べるとちょっと小粒な感じもしますが、私が好きなのは、2000年代だとムーラン・ルージュ(Moulin Rouge)、ニコールキッドマン(Nicole Mary Kidman)主演です。それからシカゴ(Chicago)ですね。リチャード・ギア(Richard Tiffany Gere)とゼタ・ジョーンズ(Catherine Zeta-Jones)が出た素晴らしいミュージカル映画です。

■リスクヘッジの方法(3)続編を作る 

3番目のリスクヘッジの方法は続編を作ることです。。日本の『男はつらいよ』みたいに、ヒット作を第2作、第3作と続けていくやつです。こういったものは本当にたくさんあります。続きもやるのかというような話がよくありますが、それでも観客は見てしまいます。

最近あまりうまくいかなかったのが、ウォール・ストリート(Wall Street)という映画です。先日、日本で公開されましたが、これは1987年にマイケル・ダグラス(Michael Douglas)と、チャーリー・シーン(Charlie Sheen)が主演のウォール街の続編です。2010年にマイケル・ダグラスが牢屋から出てくるところから始まる映画ですが、この続編はあまり流行りませんでした。

日本国内でも特に話題になりませんでしたが、アメリカでもいまいちの入りでした。もともと87年は企業のっとりブームで、ウォール街の人たちがぼろ儲けをしていました。今回も2008年の金融危機がありましたが、強欲は変わっていないということで、マイケル・ダグラス自身は年をとったけど、また金儲けをしようとします。ところが前作と違うのが、ダグラスの娘とその夫の世代というのはそういう強欲はもうよして、これからは持続可能な世界を作ろうということで、環境ファイナンスをやろうとします。その辺りが前作と変わっているところです。

■リスクヘッジン方法(4)アカデミー賞を狙う 

最後に、リスクヘッジの4番目です。映画界の最高の賞であるアカデミー賞を狙うということです。この賞を競うことになるわけです。そして賞が取れれば、その後のDVD収入など安定的に入ってきます。更には全世界に対してのPRになるわけです。
アカデミー賞をとる、、有名俳優を起用する、当たったミュージカルを映画化する、そしてヒット作を連続的に第2弾、第3弾と出していく。これは、まとめてみるとリスクヘッジになっているということです。これが映画ビジネスの経営戦略ということになります。

これは一般的な企業の経営戦略にも応用できと思います。リスクが大きいビジネスを企業がやる時は、こういったリスクヘッジをきちんと考えてやらないとファイナンスも付かない上に、投資のリターンも上がらないということで、普通の企業と同じような経営戦略だと思います。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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