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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > くらべる私(組織心理/藤村まこと)

くらべる私(組織心理/藤村まこと)

11/06/03

私たちは社会生活を営む中で、頻繁に他者や集団に触れています。
その中で私たちは自分と他者とを比べることも多々あります。
私たちは他者から得られる情報をどのように活用しているのでしょうか。
今日はそのメカニズムを示した「社会的比較」の理論を紹介します。

フェスティンガー(Leon Festinger)によれば、
人は他者との比較を通じて,自分の能力を評価したり,
自分の意見の正しさを知ろうとしているようです。
例えば自分の体重や身長は体重計や身長計で調べることができます。
つまり,kgやcmという客観的な指標で把握できるのですが
それが多いか少ないかを評価するときに、他者と比べることが多いですね。
クラスの友人と比べれば多くはない体重も,
芸能人やモデルと比較してしまうと多いと評価されるかもしれません。
また,次の政党はどこがいいのか、死刑制度は必要なのかなど,
正解のない問いが私たちの周りには存在します。
この問いに対して私たちは自分なりの意見を持っていますが
その正しさを測ることは困難です。
その際に,自分の意見が正しいかどうかを知るために,
まわりの人が持つ意見を参考にします。
もし多数の人が自分と同じ意見であれば
自分の意見は正しいと思えますが,
もし多くの人が自分の意見と異なれば,
自分の意見は間違っているのだろうかと不安に感じることになりますね。
このように,私たちは他者との比較を通して,
自分自身の能力や意見について評価を行っているようです。

そして,比較の対象には3つの方向があるようです。
まずは,「自分に類似した他者」との比較があり,
類似しない他者として,「自分より優れた立場の他者」との比較(上方比較),
そして「自分より劣った立場の他者」との比較(下方比較)があります。
私たちは生活の中で誰と比べるかを上手に使い分けているようです。
スポーツで考えれば,プロ選手と比べるのは上方比較,
初心者と比べるのは下方比較になりますね。
そしてもうひとつは上方でも下方でもない類似した他者との比較です。
誰とくらべるかによって,自分の能力の評価も変わってきそうですね。
そして,私たちの多くは,自分と類似した他者との比較を
最も頻繁に行っているそうです。

それでは,上方比較や下方比較はどのようなときになされるのでしょうか。
スポーツや仕事,勉強などもっと改善をしたいときには,
優れた立場の人との比較が有効です。
自分の足りない部分を知ることで,さらに努力するきっかけになるかもしれません。
しかしあまり比べ過ぎると,自尊心の低下や
劣等感の増大などネガティブな感情も強くなることには注意が必要です。

また,自分自身への肯定感を高めるために,
意図的に下方比較が行われることもあります。
自分はダメだとネガティブに思ったり,
自尊心が低下しているときには,それを維持し高めようとして
自分よりも苦労している人や状況の悪い他者と比べて、
私はまだ大丈夫だと、自分自身を安心させることは少なからずありますね。
このことからも,私たちは状況にあわせて
くらべる相手を選んでいると考えることができます。

ここで,親しい友人が何かで高い業績をあげたとき,
人はそれをどう感じるのでしょうか?
もしかすると,嫉妬を感じたり自分は駄目だと思うかもしれませんし
友人知人の業績をあたかも自分の業績のように誇らしく思うこともあります。
テッサーによる自己評価維持モデルによれば,
友人や家族など心理的に距離が近い人物が高い成功を収めたとき,
その領域(スポーツや仕事)が自分にとって関与度の高いものかどうかが
他者との比較の結果を変えるようです。
もし私にとって関与度の高いものであれば,
親しい他者の成功は,自分自身の自己評価を低下させてしまいます。
そのため,嫉妬が生じやすくなります。
しかし,もし自分にとってはあまり関心のない領域であれば,
他者との比較は自己評価を脅かすことはないので,
自分のことのように他者の成功を誇らしく感じることができるようです。

また,私たちは他人との比較だけでなく
自分の中でも比較をしていると言われています。
セルフ・ディスクレパンシー(self-discrepancy theory)の理論では、
理想の自分と現実の自分があると想定しています。
そして,理想の自分に現実の自分が届いていない負の不一致の場合、
人は,そのかい離を埋めようと行動を起こします。
もしくは、そのかい離に目を向けず,気づかないふりをすることもあるそうです。


以上のように,私たち人は自分の状態を知るために,
他者もしくは自分自身との比較をよく用いているようです。
しかし,この「くらべる」という行為によって,
人にもたらされる影響も大きいようです。
比べることで自尊人や自己評価を高めることもあれば,
逆に低下させることもあります。
自己評価の低下はときに,向上心や自己改善につながりますが,
やりすぎると,自分に自信がもてなくなるやもしれません。
自分が日頃どんな人たちと比較しているのか,
そしてどんな気持ちになっているかを知りつつ
上手に付き合っていければと思います。

分野: 藤村まこと講師 |スピーカー:

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