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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 映画に学ぶ経営学(4)-アメリカの警察とアメリカ的組織(久原正治/経営学)

映画に学ぶ経営学(4)-アメリカの警察とアメリカ的組織(久原正治/経営学)

11/05/31

前回は、日本の警察映画から日本の経営組織を見ました。日本の
組織というのは警察映画によく表われています。その代表的なものが、
「踊る大捜査線」や「相棒」です。日本はチームワークの組織です。
これに対してアメリカでは全然違う組織だということが、映画を見ると
よく分かります。

■「ディパーテッド」
映画を2つ選びました。1つは2006年にアカデミー作品賞をとった、
「ディパーテッド」です。マーティン・スコセッシ監督でディカプリオと
マット・デイモンが主役を演じた作品です。ボストンの警察が舞台で
警察がマフィアにスパイを送り、一方でマフィアが警察にスパイを送る
という話です。誰を信じていい分からない中で様々な問題が生じ、
そこで対立そして殺し合いが始まります。その中で、彼らは一体何を
信頼して組織で働いているのだろうかというところがポイントです。

アメリカでは、実は警察組織のトップの人自身が犯罪集団と通じていた
ということもよくあります。囮捜査はアメリカでは典型的ですが、自分が
本当に信頼していた人が、実は敵だったということはよくあることで、
仲間同士でも、いつ裏切られるか分からないし、誰が敵か味方か
わからないのです。

日本の組織では信頼できる人が組織になっていますから、このような
ことは日本ではないことです。アメリカでは組織といっても個人同士の
集まりなので、例えば宗教が一緒だとか家族でないと信頼できません。

この映画では人種がアイリッシュ・マフィアで宗教がカソリックと
いうことが信頼のベースであり、それ以外では組織自体は組織の中で
お互いに疑い合うようなものです。そこが、日本の警察映画と大きく
違うのですが、その主人公の特徴がこの映画で際立っているので、この
映画を見ていただくと、アメリカの組織がよく分かると思います。

■「チャイナタウン」
もう1つは「チャイナタウン」という映画で、私が1974年初めて渡米した
時に見ました。ジャック・ニコルソンが探偵の役で、ロサンゼルスの
警察を舞台に色々な事件が起きるという話です。後日色々な問題を
起こしてアメリカから追放された、ロマン・ポランスキーが監督です。

基本的に警察組織は腐敗していて、目に見えない権力があり、警察に
属している人や探偵などは、誰を信頼していいか分からないのです。
この探偵は結局、警察と争うことになり、警察という恐ろしい権力に
対峙する個人(ジャック・ニコルソン)が殴られたり、色々なことが
起きるのです。結局個人がタフでないと生きていけない、非常に
孤独な存在がアメリカの組織の主人公です。そこでは必ず仲間に
裏切られる仕打ちがつきものですが、チャイナタウンではもともと
警察は仲間だったのに、だんだん事件が深まると、警察の背後にいる
大きな権力(実は犯罪者組織)が警察を使って彼を襲ってくるように
なります。この映画を見ても、やはりアメリカの組織は優秀な個人が
支えていると言えるでしょう。

結局、アメリカでは個人同士が信頼できれば、お互いに信頼できる
仲間になりますが、組織は必ずしも信頼できるものではないのです。
個人ごとにそれぞれの動機付けがあり、信用するのはアイリッシュとか
イタリアンとか同じ人種であったり、あるいはカソリックなど宗教で
あったり、あるいは多額の報酬などの動機付けが非常に大事になってきます。

言い換えれば、個人主義という、今のアメリカにもよく見られるものが、
アメリカの組織を代表するものになります。ですから日本だと組織で
お互いに仲間になっていってお互いに弱みを見せあって、それで全体が
まとまるのですが、アメリカは組織では絶対に弱みは見せないのです。
弱みを見せるというのは自分の家族か、あるいは同じ人種で非常に親しい
人とか同郷人とか、そこだけしか弱みはみせないから、組織の中ではお互い
自立した者が戦うようなものになっていくというようなことです。

2回にわけて、日本とアメリカの警察映画から両国の組織を考えました。
振り返ってみると、日本の警察映画というのは実際もそうですけど、
現場の信頼関係が第一で、本部と現場というのは対立するけれどもそこで
うまく根回しとか人間関係で問題を解決していく。最後には組織が、
現場で一生懸命やっている人を救ってくれることになります。

これはご紹介した映画だけではなくて、あらゆる日本の警察映画という
のはそんな話になっています。

これに対して、アメリカというのは、現場同士で対立します。そこで
トップというのは非常にカリスマ的なリーダーがいて、そこで色んな
インセンティブできちっと組織員の動機付けをしてやるということで、
リーダーが組織を引っ張っていくということになっていきます。

それでも必ず一匹狼が出てきます。例えば、スティーブ・マックイ-ン
とかそういう警察映画によく出る人は皆一匹狼だったわけです。

まとめると、そこから見えてくる日本の組織とアメリカの組織、これは
会社に置きかえての話になりますが、日本の組織というのは仲間同士の
共同体であって、1つのところでいわゆる一所懸命という言葉がありますが、
1つのところで一生懸命頑張ります。

組織の中で名誉が重視され、皆とうまくやっている人が偉くなってリーダーに
なっていきます。ただ日本の組織にはどうしてももたれ合いがあります。

これに対してアメリカというのは、組織は個人と契約関係を結んでいる
一時的な関係です。個人はそこで組織が気に入らなければ異動します。
そこでどういう動機付けがあるかということが大事になってきます。

日米では組織のありようが全然違います。

だから、アメリカ、ヨーロッパもそうですけども、転職をして、さらに
また自分の力を発揮できるところに移っていく、そこに違いが表われています。
日本は会社からなかなか離れません。アメリカは動くことが基本である、
こういうことだと思います。

やっぱりアメリカというと金銭的な報酬、これが1つの仕事のモチベーション
です。ですから日本の組織をアメリカ的に変えるというのは、映画で見ていても
全然違うのだから、アメリカ的に変えるというのは間違いかもしれません。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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