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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 映画に学ぶ経営学(2) カウボーイ資本主義とアメリカ型経営(経営学/久原 正治)

映画に学ぶ経営学(2) カウボーイ資本主義とアメリカ型経営(経営学/久原 正治)

11/05/24

■カウボーイ資本主義とアメリカ型経営 

今日は、アメリカの経営というのをアメリカ映画から見たお話をします。カウボーイ資本主義とアメリカ型経営です。

前回お話したサムライ映画は1800年代江戸の末期の話でした。カウボーイというのも実は1860年ごろで、日本のサムライと大体同じ頃の話なのです。いわゆる西部劇です。そこにはポイントが三つほどあります。自立した個人が、自分で自分の権利を守るというのが1つ。それから、フロンティアを求めてどんどん、西の方といいますか、田舎に移動していくというのが2つ。最後に、落とし前といいますか、いわゆるリベンジ。これは自分で落とし前をつけるということで、この3つがカウボーイ資本主義の特徴だといえます。

特に、自立した個人が自分で自分の権利を守るというところは、日本はサムライが藩に所属してその中でやっていくというのとの大きな違いです。組織への忠誠の日本に対して、組織は裏切ったら自分は自立して自分を守るのがアメリカです。

■トゥルー・グリット 

では、具体的な映画を出していきましょう。『トゥルー・グリット』という、コーエン・ブラザーズという有名な監督が製作して、アカデミー賞の候補にもなった映画があります。小さな女の子が、自分の父親が殺されてしまい牛などが奪われて、その復讐をするという話で、まさに自分で自分の落とし前をつける典型です。小さな13歳ぐらいの女の子が保安官を自分で雇って、それで殺した人を探して復讐に行くという、非常に面白い映画です。日本では考えられない話です。

実は西部劇の伝統をたどると、1960年ごろまでに有名な西部劇がたくさんあり、その辺りの話をすることによって、それが『トゥルー・グリット』までつながる話となることがわかります。

■赤い河 

例えば、ハワード・ホークスという有名な西部劇の監督が、戦後すぐ、1948年に『赤い河』という映画を作っていまして、西部劇の傑作の1つです。『赤い河』は、テキサスから大陸横断鉄道が当時通ったカンザスまで、カウボーイが牛追いをするという途中の出来事を描いた映画です。ちょうど1868年ごろキスホルム・トレイルというカウボーイが通る道が開拓されました。

当時テキサスには野生の牛がたくさんいて、どこにももっていきようがないから、安かった。一頭4ドルぐらいだったのですが、1860年頃、大陸横断鉄道が通って、牛をカンザスなどのもう少し北の方までもっていけば、鉄道に乗せ東部の市場に送られたのです。そうすると、4ドルの牛は40ドルになった。カンザスとテキサスの間を、牛を引っ張っていくのが、西部劇に出てくるカウボーイだというわけです。これは、キャトル・ドライブという名前でよばれていました。

キャトルというのは、キャピタルのことです。東部の資本家が、そういうそのカウボーイを雇って、大きな馬車を借りてきて、牛を1000頭ぐらい連れて行く、これに投資するわけです。カウボーイは成功報酬で、そのカンザスの辺りの鉄道の駅までいけば、報酬がもらえる。その途中でいろんな問題が起きるのが、西部劇のテーマです。

これは個人商店のようなものです。東部の資本家はいくつもの大掛かりな投資をしていて、カウボーイのほうは個人商店でこれを請け負う。つまり、東部にいくほど大資本家がいて、企業経営みたいなことをやっていました。冷凍車みたいなのものもあり、シカゴの辺りにいく屠殺場を作っているように、非常に大掛かりな資本投下をしていました。これが、1850年代~60年代の日本でいう江戸時代の話ですね。ちょうど明治維新のちょっと前ぐらいです。

■荒野の決闘 

その他の有名な西部劇の映画ですが、例えば、日本語の題名で『荒野の決闘』というジョン・フォード監督の映画があります。これは、最後に決闘をするヘンリー・フォンダが主演の映画です。

決闘はカンザスの鉄道が通っている終着点の辺りでおきる。テキサスからカンザスの間に当時、西から東から移動してきた非常に小さな農民が、それぞれ政府から土地をもらって、自分の小さな牧場をやっていたわけです。ところが、牛追いはこの牧場をかすめて移動し、途中でその牧場の水を勝手に牛に飲ませたりして争いがおきるわけです。

そうすると、その小さな農場の所有主は、自分の土地の所有権を守るためにその辺のごろつきを雇います。カウボーイというのは大体移動の途中で夜、飲み屋に行きます。そのとき、自分の弟などの若い人に牛の番をさせておくわけです。そうすると、若い人だけいるところに悪いやつが来て殺してしまい、牛を盗むわけです。

そして、朝方に飲み屋から帰って来たカウボーイがそれを見つけて復讐するというわけです。それで、保安官を雇ってくるのです。というのも、自分たちの法律は自分で作って、それで相手を復讐してやっつけるということになります。

つまり、自分で復讐しないと誰も政府が守ってくれるわけじゃないというわけです。そのようにして、小さな農場主の所有権と、この牛を資本投下して運ぶ成功報酬のカウボーィが所有権の争いをやっていきます。そして、どちらか力で勝った方が支配するという話なのです。ジョン・ウェインの映画を見ていると、そういう話がよく出てきます。

米国の銃の保有の権利に関しても、こういうところからきているわけです。アメリカ人が皆、銃を持っているのは、自分の所有権を守るためにガンファイト(gunfight)をやるわけです。それに対して日本では所有権などは政府が守ってくれるから、そんなものはいらないというわけです。

■アメリカ型経営とは 

最後に改めてこのアメリカの特徴というのをまとめてみると、アメリカ人というのは組織から自立しているということがまず1つあります。政府の介入を特に嫌うわけです。自分のことは自分で守る。

それから、色々な人がフロンティアを求めて、何か儲けるチャンスがあったらどんどん田舎の方に行って、そこで仕事をやっていくということです。だから、地方分権というのはアメリカにとっては最初から当たり前であるというわけです。

そうすると、自立した個人なのでセーフティネットなどは最低限しかありません。それで、何か問題が起きたらお互いに助けるということになっていくというわけです。

こういうアメリカの資本主義の特徴というのは、カウボーイ映画を多く見ればすぐに分かります。経営学というと難しい感じがするかもしれませんが、映画でこうやってみてみると分かりやすいかもしれません。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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