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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 映画に学ぶ経営学(1) サムライ資本主義と日本型経営(経営学/久原 正治)

映画に学ぶ経営学(1) サムライ資本主義と日本型経営(経営学/久原 正治)

11/05/23

■映画と経営学 

これから数回にわたり、映画が経営学を学ぶのに1番いい材料であるということをお話しします。映画にみる日本の経営とアメリカの経営の比較。日本型の経営とアメリカ型の経営というのは、実は映画にものすごく表れています。

日本の映画は、例えば警察映画をはじめ、組織の中に生きる人間の組織に対する忠誠と挫折が主たるテーマになっています。一方、アメリカの映画は、スパイ映画から始まって、マフィアの映画にしても全て組織と対峙する個人の自立ということを描いています。

そのような中で、今日は時代劇を取り上げて、サムライ資本主義と日本型経営についてお話します。

■武士の家計簿 

最近、日本でも時代劇が随分復活してきていますが、この時代劇というのをよくみてみると、日本型経営というのはサムライのところから出てきたということがよく分かります。

具体的に1つお話しします。最近、『武士の家計簿』という映画がありました。加賀藩の会計係のサムライの話ですね。代々会計掛を勤めている人たちが、加賀藩の財政が厳しくなって、どうやってその財政を再建するかというのがテーマになっています。

サムライというのは実はサラリーマンで、経理担当みたいな人たちがいっぱいいて、サムライは刀を挿しているけれども、そろばんが主たる業務であったという話です。これはちゃんとした経済学者が、昔の家計簿を探してきて、歴史的に分析してみたら、実は加賀藩に非常に立派な忠義な会計掛というのがたくさんいて、一生懸命財政を再建したということが分かりました。

例えば、東大の赤門というのは、加賀藩の東京の江戸の屋敷でしたが、お金がないから、この武士の家計簿に出てくる会計主任が、門の表だけ赤く塗って、裏は塗るお金がなかったという、そういうところから財政を切り詰めていくという話が出てきます。

サムライ資本主義と日本型経営の関係は、領主が日本の会社のオーナーみたいなもので、サムライというのはそこで働くサラリーマンのようなものです。領主のために一生懸命コストをカットしたりして、少しずつ年功序列で出世していくという話で、一生懸命忠義を尽くすという話です。これが森田芳光さんの監督している、『武士の家計簿』です。

■必死剣 鳥刺し 

もう1つ具体的な映画を挙げましょう。藤沢周平さんのサムライ映画はたくさんありますが、『必死剣 鳥刺し』というのがこの間上映されました。、これは藩主に非常に忠誠な、剣の術が達者な人が、藩主のために色々な事をやる、その人が組織に忠誠を尽くせば尽くすほど、最後には結局その組織の中で抹殺されていくという話です。しかし、彼はどういうわけか最後まで組織を裏切らずに、忠義を尽くすというのがテーマになっています。

サラリーマン社会といいますか、1つの企業に所属する中で一生懸命やっている人ほど上に評価されないとか、そういう話がよくあります。この映画の場合は、領主がちょっと政治を誤るというところがあって、そうすると家老の1人が領主を正そうということで、このサムライを使って敵方というかその藩主に悪い影響を与えている人を切らせるような話になります。結局、彼は組織の中で使い捨てになっていきますが、それでも組織を裏切らずに、最後に死ぬまで組織のために、領主のために一生懸命やるという話になります。

これについて、日本の典型的な組織のパターンとどういう部分が当てはまるかをお話します。『武士の家計簿』もそうですが、昔の藩というのは、藩主がサムライを雇って、サムライはその藩から出たら浪人になってしまうので、その藩主のために一生懸命尽くす。それに対して、藩主はその人を少しずつ禄を上げていって、子孫までちゃんと雇ってくれるという関係になります。

それで、サムライがやっていたことは、サラリーマンみたいに一生懸命お金の計算をしたり、あるいはこの中で問題が起きたら、藩主のために自分の命を捨てたりということで、共同体がそこで成立していて、この藩という共同体がまさに日本の今の大企業の共同体と非常に似ているというわけです。

組織の中にいて一生懸命組織に尽くせば、その組織がその人を守ってくれたり、ちゃんと給与をくれたり、年功序列で保証してくれる。こういう非常に原型的な日本型資本主義というのはサムライのところから出てきていたと考えることができます。

■日本型経営とは 

このような日本型経営というのは、そう簡単には変わらないと思えます。いくらアメリカの経営が入ってきても、基本は変わらないところがあるのではないかという気がしています。皆さん、是非サムライ映画をみて、日本のサラリーマンというのは、こういうものだということを感じて欲しいという気がします。

では、改めてその日本型経営の定義をいくつか挙げましょう。

まず、組織に対する忠誠です。そして、忠誠する人は組織がちゃんと庇護して、ちゃんとサラリーをくれて、それでちゃんと出世させてくれるというのが、日本のアイデンティティの原型、組織の原型にあって、それを誰も疑わずにずっとやってきたというのがあります。

ただ、環境の変化の中で、それがちょっと疑わしくなる時に色んな問題が起きますが、それは今の組織の体制を全部ひっくり返すというところまではいっていないのではないかという感じがします。

もちろん、その日本型経営にはいい部分もありますが、変わらなきゃいけない部分もあります。当然そういう共同体という狭い社会ですから、外の人はなかなか中に入れてもらえないといったことがあるわけです。しかし、いいところとしては、やはり長期雇用で従業員をちゃんと重視して経営をやってくれるというところがあります。

映画に学ぶ経営学ということで、今日は日本の経営を日本映画からどういうふうに見るかということをお話しましたが、今日挙げた映画の他にも日本型経営というものかが垣間見えるものがあります。これからまたあと3回くらい、他の映画を色々お話ししていきます。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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