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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > IFRSの簿記への影響(2) (財務会計/岩崎 勇)

IFRSの簿記への影響(2) (財務会計/岩崎 勇)

11/05/17

仮に2012年度にIFRSの導入が決定されると、
会計基準が国際的に作成されることになるため、
現在の日本の会計基準は大きく変わってしまいます。

では、会計が変わることで、その会計の基礎にある簿記も変化するのでしょうか。

前回は、単式簿記と複式簿記を比較し、相違点について構造や原理の面からお話ししました。
今回は、複式簿記の原理的・構造的特徴及び形態や機能の側面からのお話しをしていきます。


■実在勘定と名目勘定
まず、複式簿記の原理的・構造的な特徴には、取引が二重分類されるという特徴があります。
前回もお話ししましたように、複式簿記では一つの取引を原因と結果の観点から、
全ての取引について必ず貸借の左右二つに分類して記録します。

例えば、単式簿記の現金出納帳では、現金の出し入れ、
つまり収入と支出だけが記入されますが、
複式簿記では、現金の支出だけではなくそれに伴う商品の増加も必ず貸借で記入します。

複式簿記の原理的・構造的な特徴の第2番目が、
実在勘定と名目勘定、双方の勘定の使用です。
実在勘定とは、商品や現金、預金、有価証券のようなプラスの財産、
そして、借入金や買掛金、社債などのマイナスの財産のような実際に数えることのできる、
ストックとしての実体のあるものを指します。

一方で、売上などの費用項目のように実体のないものも存在します。
実のところ、売上が上がったということは、実在する現金が増えたということであって
売上が実在しているということではありません。
このような実体のないものに対しては、名目勘定を用います。


■複式簿記の目的
複式簿記の原理的・構造的な特徴の第3番目が、二重目的の計算構造です。
簿記の目的は、単式簿記の場合には財産計算のみでした。
しかし、複式簿記の場合には、財産計算と損益計算の二重の目的があり、
それを同時に体系的に行っているということになります。

第4番目が利益の二重計算です。複式簿記では、
貸借対照表でストックを基礎として、期首と期末の資産と負債の差額分、
つまり純財産額の増減で利益計算をおこなう財産法という実在勘定による利益計算と、
損益計算書でフローを基礎として利益を計算する、
損益法という名目勘定による利益計算という利益の二重計算を行っています。

この場合、ストックという実在勘定からの財産法による利益計算の正確性を、
フローの側面からの損益法による利益計算によって証明していることになります。

第5番目として、これは単式簿記にも共通していますが、
取引をその発生時点で継続的に記録・計算していくことが挙げられます。


■IFRSによる変化
第6番目が誘導法です。これは取引を継続的に帳簿に必ず記録していくことで、
期中の継続記録・計算から決算書を誘導的に作成する方法です。
こうすれば、財務諸表すなわち損益計算書、
貸借対照表の中の財産計算や利益計算について、
税務調査等での確認が容易となります。

最後に、複式簿記の第7番目の特徴として、
特定の測定基礎に依存しないということがあげられます。
一般的に、収支が測定基礎として多くの場面で使用されているということにすぎません。

このように、複式簿記の原理的・構造的な特徴には、
取引の二重分類や、実在勘定と名目勘定の設定、二重目的の計算構造、
利益の二重計算、発生時点での継続記録、誘導法などの特徴があります。

しかし、これらの特徴はIFRSが入ってきたとしても変わることはありません。

つまり、IFRSを導入しても、実在勘定と名目勘定を用いるということや、
取引の二重仕訳などの、複式簿記の基本的な原理・構造は変化しません。

他方、会計目的や会計基準は大きく変わるため、
今回は詳しく説明ができませんでしたけれども、
複式簿記の機能・形態の側面である実務処理には大きな影響が出てきます。

分野: 岩崎勇教授 |スピーカー:

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