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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > IFRSの簿記への影響(1) (財務会計/岩崎 勇)

IFRSの簿記への影響(1) (財務会計/岩崎 勇)

11/05/16

2012年度にも導入がなされるか否かの決定がなされようとしている
IFRS(国際財務報告基準)ですが、
導入された場合には会計基準が大きく変わってしまうため、様々な影響が出てきます。
今回と次回の2回に分けて、日常的に企業の中で行われている簿記への影響について、
検討していきたいと思います。


■簿記の種類
「簿記の種類」には「複式簿記」と「単式簿記」の2通りがあります。

複式簿記は、現在、企業の実務で使用されているもので、
1つの取引を原因と結果の観点から、左右に分けて二面的に記述する方式です。

単式簿記とは、現金出納帳や江戸時代の大福帳のように、一面的に記入する方式です。
例えば、現金出納帳では、現金の入金と出金を記入しますが、
この場合は現金の管理だけが目的となっています。

簿記的な観点から、IFRSの影響を考えた場合、現行の複式簿記について、
原理的・構造的な部分と形態的な機能面を分けて考える必要があります。
そこで、今回は複式簿記の原理的・構造的な特徴を明確にするために、
もう一つの簿記の種類である単式簿記と比較をしていきたいと思います。


■単式簿記と複式簿記の比較
「記帳方法」について、単式簿記、例えば現金出納帳では、
商品を購入すると現金の支出と収入だけを記入します。
しかし、複式簿記では、商品を購入した場合、商品の増加と現金の減少が記入されます。
つまり、単式簿記では一面的に、複式簿記では二面的に記入を行うことになります。

また、単式と複式では「勘定科目」も異なります。
単式簿記では、現金や商品のように、
ストックとしての実在勘定を勘定科目として設定しています。
一方、複式簿記では実在勘定だけではなく、
損益勘定のために実体のない売上や仕入といった、
フローとしての名目勘定も、勘定科目として設けています。

「基本目的」も単式簿記と複式簿記では違っています。
単式簿記では、現金の増減という財産計算を基本目的としています。
他方、複式簿記は、財産計算だけでなく利益計算も目的としています。
そのため、複式簿記では一定期間に、
どのくらい利益が発生したかということについても計算を行っています。


■財産法と損益法
「利益計算」に注目すると、単式簿記は必ずしも利益計算を想定していません。
利益計算が必要となった場合には、財産法を用いて利益計算を行います。

財産法とは、期末に棚卸しを行い、実際に商品の数を数えて、
期首と期末、2時点間のストックを比較して、
利益を純財産の増加分として計算するというストック・ベースの利益計算の方法です。

しかし、複式簿記は必ず利益計算を想定するものです。
複式簿記では財産法による利益計算も可能ですが、
単式簿記にはない収益と費用という勘定科目が設定されています。
そのため、収益から費用を差し引くという、フロー・ベースの損益法でも利益計算が可能です。

利益計算と同様に、単式簿記では必ずしも「財務諸表の作成」が想定されていませんが、
必要に応じて棚卸法に基づいて財産目録から貸借対照表が作成されます。
他方、複式簿記では、必ず財務諸表の作成を行っています。
この場合、期中の継続記録・計算から決算書を誘導的に作成する誘導法を用いて、
帳簿から貸借対照表と損益計算書が作成されます。

なお、単式簿記、複式簿記ともに「測定基礎」として基本的に収支に基づき測定され、
記録がなされるという部分は共通しています。

次回は、IFRSが導入された場合に簿記にどのような影響が出てくるのか、詳しく見ていきます。

分野: 岩崎勇教授 |スピーカー:

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