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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > ロボット大国のはずが…(1) (産学連携マネジメント/高田 仁)

ロボット大国のはずが…(1) (産学連携マネジメント/高田 仁)

11/05/25

東日本大震災で被災した福島第一原子力発電所の復旧の道筋がようやく見え始めた。
その一翼を担っているのがロボットである。
復旧の計画を立てるには、まず正確な現状把握が必要だが、
原発建屋内部は依然として強い放射線量のため、現状把握がままならない。
そこで登場するのが無人ロボットである。

まずは、地震発生1週間程度で、
米軍保有の無人探査機「グローバルホーク」が上空から建屋内部を撮影した。
同機は高性能カメラと赤外線センサーを搭載しており、
高度18,000mから車のナンバープレートを読み取れるほどの性能を持つという。
試験使用中だった2001年から、アフガニスタンでも使用されていた。
福島で取得された映像は、
残念ながら防衛大臣が「公開するものではない」ということで非公開だが、
水素爆発で壊れた建屋の隙間から内部の状況を多少は把握出来ただろうと思われる。

また、4月中旬からは、米国アイロボット社の「パックボット」が建屋内に入り、現状の把握を行っている。
このアイロボット社は、米国MIT出身者が1990年に設立した会社で、
日本でも最近話題になっているお掃除ロボット「ルンバ」の開発で知られるようになった。
この会社は、民生用もさることながら、
厳しい環境下で使用可能な軍事用や緊急用ロボットの開発で競争力を高めている。
ウォールストリートジャーナルの報道
(http://jp.wsj.com/Business-Companies/Technology/node_224280)によると、
今回福島に投入された「パックボット」の試作品は2002年からアフガニスタンに投入され、
テロリスト潜伏の可能性がある室内や地下の偵察に使用されていた。
この「パックボット」は、既に米軍に4,000台の納入実績があるという。
ちなみに、メキシコ湾沖の原油流出事故の際に海中を調査する「シーグライダー」も同社の製品だ。
アイロボット社の直近の売上は約4億ドルで、軍事用と民生用が半々である。

では、「ロボット大国」と言われてきた日本のロボットはどうだったのか?
日刊工業新聞の「ロボナブル」というロボット専門ポータルサイトでは、
ロボットの研究開発で著名な千葉工業大学の未来ロボット技術研究センターの
関係者のインタビューが掲載されている。
(http://www.robonable.jp/column/2011/04/furo48.html)。
サイトによると、千葉工業大学はレスキューロボット4体をもって被災地入りしたものの、
現地の役所や消防署は被災状況の把握もままならず、
一方でロボットをどう活用出来るのかが判断出来なかったため、
活動出来ずに被災地から戻ったという。

ロボットを持ち込んだ側としては、
「人に有毒な物質を扱っている工場が被災したのでロボットで検査して欲しい」といった
要請を期待していたらしいが、残念ながら(というか、幸いと言うべきか)そういった要請はなかった。
行政の緊急時対応の仕組みの中にロボット活用が全く想定されていないため、
誰も活用に向けて動けないという「仕組み」に問題があったようだ。

また、原発事故対応ロボットは、1999年の東海村での臨界事故の後に開発が進められた。
しかし、その後の原発の施設改良で「もはや事故は起きない」という安全宣言がなされてしまったので、
ロボットの存在意義が失われてしまい、今は展示物にしかなっていない、という状況だという。
原発大国のフランスでは、日本とは逆に「事故は起こりうる」という前提で、
緊急時のロボット開発が常に継続されているとのことである。

次回は、この災害用ロボットの問題を技術経営(MOT)の観点から考えてみたい。

分野: 高田仁准教授 |スピーカー:

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