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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 中国のプレゼンス増大をどう考えるか(1) (ファイナンシャルマネジメント/平松 拓)

中国のプレゼンス増大をどう考えるか(1) (ファイナンシャルマネジメント/平松 拓)

11/05/02

■中国のGDPの成長
2010年、中国のGDPが日本のGDPを上回り、
世界第2位になったということが、内外のマスコミで取り上げられました。
このことは今の日本人、特に、物心ついた時には、
中国がそれこそ文化大革命の最中であった50代の人にとってみればショッキングなことです。
しかし、今の子供たちの世代や、これから生まれてくる世代にとっては、
受け止め方が違ってくるではないかと思います。

また、中国政府が一方で強調するように、
中国の1人当たりGDPは日本の10分の1です。
そういう意味では、中国はまだ途上国で、
GDP世界第2位ということに、それほど実質的な意味はないかもしれません。
ちなみに、日本の過去の成長に照らした時には、
米ドル建てでみた1人当たりGDPが10倍になるのに、
名目ベースで14年、実質ベースでは25年かかっています。

逆の見方をすれば、中国が眠れる獅子と言われた明治時代まで、
日本にとって、中国は常に隣の強国であって、
文化的にも進んでおり、はるかに広大で人口も多かったと理解できます。

つまり、近年が寧ろ例外だったとも考えることができるのです。
こういう風に捉えると、物事が大分違ってみえるのではないかと思いますが、
今回はこのような見方を裏付ける研究をご紹介したいと思います。


■1820年までの世界
その研究とは、昨年亡くなったオランダの経済学者で、
一橋大学から名誉博士号を送られているアンガス・マディソン氏によるものです。
彼は、世界各国の2000年におよぶ経済規模を、
1990年基準の購買力平価で人口とともに推計する研究を行っています。

それによると、中国とインドの2カ国は、紀元1年より19世紀初頭に至るまで、
人口でも、そして購買力平価でみたGDPでも、世界のおよそ半分を占めていました。
特に中国のGDPは19世紀初頭には世界の33%を占めていました。

それに対して西欧諸国は10%~20%台前半のシェアにとどまり、
日本は1桁前半、アメリカに至っては0から2%に留まっていました。

1820年に中国のシェアが大きかったのは、
人口でも37%と大きなシェアを占めていたことが大きく影響していました。
この時点で、中国は1人当たりGDPでは既に西欧や米国に2倍の差をつけられていましたが、
1700年頃まではほとんど差はありませんでした。
1820年時点の中国は、まだ全体のGDPにおいて圧倒的な割合を占めていたのです。


■1820年以降の世界
ところが、1820年以降はアメリカで人口が急拡大し、
また西欧・日本が人口でシェアが低下するのを上回って1人当たりのGDPが増加したため、
先進諸国のGDPのシェアが5割を超えるまでに高まりました。

これに対し、中国、インドは人口面でのシェア低下はそれ程でもありませんでしたが、
GDPでは1978年にはそれぞれ約5%と3%までシェアを低下させてしまいました。
この間、日本は1960年前後に初めて両国のGDPシェアを上回りました。

その中国やインドが、それぞれ1980年代、
2000年代に入ってから先進諸国を上回るペースでGDPの成長を遂げつつあり、
再び世界のGDPに占めるシェアを高めつつあります。
言ってみれば、中国やインドのシェアが落ちていたのは、
長い歴史の中でも、せいぜいこの200年のことであり、
日本の経済が中国を上回ったのは、さらに短い時間ということになります。


■2030年の予測
ちなみに、同研究によれば、日本の実質GDPは1992年時点で既に中国に抜かれており、
日本が中国を上回ったのは僅かに30年程の短い時間ということになります。
また、2008年現在では購買力平価でみると中国のGDPは日本の約3倍、
そしてアメリカとはほぼ拮抗する水準にまで達しています。

さらに、金融危機を経て2010年に改定された今後の予測では、
2030年に中国、インドのGDPの世界におけるシェアが、
それぞれ28.2%、11.3%と上方修正されています。
これはアメリカ14.2%、西欧11.0%の合計を50%上回る結果となっています。
また、日本のシェアは3.3%と、中国の8分の1程度にまで差が拡大することを示しています。

こうして見ると、中国経済が停滞していた時期に生活していた私などは、
通常のマーケットで語られる市場ベースの数字に、
強く影響され過ぎてきたといえるのかもしれません。

次回は、このような大きな変化が生じた背景についてみていきます。

分野: 平松拓教授 |スピーカー:

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