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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 東日本大震災からの復興 (財務戦略/村藤 功)

東日本大震災からの復興 (財務戦略/村藤 功)

11/04/29

2011年3月11日の東日本大震災から1ヶ月以上が経過しましたが、
今回は震災からの復興をテーマにお話ししていきます。


■インフラの復興
震災後、3月20日までに、携帯各社の基地局稼働率は9割に回復し、
NTT東日本の固定電話回線も8割が復旧しました。
また、水や電力もおおむね復旧してきているようです。
一方、ガスは配管に水が入り込んだために、
水を抜いた上での安全確認が必要となったため
、復旧がやや遅れ、仙台市では4月17日になって沿岸部を除きガスがほぼ復旧しました。

しかし、津波で壊滅的な被害を受けた沿岸部は、
インフラの再建や瓦礫の処理が必要となってくるため、
決して短期間で復興できるものではありません。

これまで、民主党政権はインフラよりも社会保障に予算を大きく回していました。
しかし、震災後は、被災地のインフラ復興に向けた道路、
下水道、河川、港湾、海岸などの公共事業について、
通常は3分の2の国庫負担を、大幅に引き上げて80%から98%拠出する方針を決めています。

また、住宅は瓦礫の山となってしまいましたが、
これは通常のごみ処理の数十年分に相当します。
政府は、その瓦礫の撤去費用の9割を公費で行うことにしていますが、
全てを瓦礫と見なしてよいのかという問題もあるため、
自宅の瓦礫については所有者に処分するかどうかを決めさせる方針です。

地震直後には、支援物資が集積所までは行くものの、
交通網の寸断や燃料不足で、避難所に届かないという問題が指摘されていました。
このような問題は、道路が復旧しガソリンが届いて車が走り始めると徐々に解消されました。
また、以前と比べれば避難所に十分に物資が届くようにはなってきているものの、
自宅から避難所に通って物資を受け取っている在宅避難者の人たちに、
十分に物資が行き渡っていないということも、被災地では問題となっています。


■経済への影響
今回の震災では、企業も大きな被害を受けています。
震災の起きた東北地方や関東地方の工場が操業を停止しただけでなく、
九州のトヨタや日産の工場も稼働を停止しており、
日本中のサプライチェーンが寸断されて操業に支障が出ています。

また、日本から部品を調達していた海外のトヨタや、
GMの工場でも生産ラインが止まってしまい、
調達見直しの動きも出てきています。

今回の東日本大震災で、
日本は20兆円ほどの損害を被ったと考えられていますが、
日本のGDPを単純に500兆円だとすると、
20兆円は実にGDPの4%に相当します。

2011年は、工場損傷や物流停滞と計画停電による生産停滞の影響で、
マイナス成長が見込まれています。
バブル崩壊から立ち直ろうとしているところにリーマンショックが発生し、
そこからまた立ち直ろうとしているところに東日本の大震災が起こり、
この2、30年はゼロやマイナス成長が続いている状況です。


■復興の財源
OECDは日本の財政を復興させるためには、
消費税率20%が必要だと提言しています。
震災後という時期を考えると、通常であれば上げられない消費税も、
増税するのではないかという話になってきています。

政府の緊急対策本部では、
被害の実態把握に努めると共に救援活動に全力を挙げています。
当初は、自民党や公明党といった野党も、
「政治休戦」を宣言し、2011年度予算と切り離して協力に前向きでした。
しかし、一方で菅総理は政権の延命を図ろうとしているのではないかという声も出てきています。

そもそも、2011年度予算の約半分の財源となる赤字国債の法案はまだ通過していません。
自民党も公明党も、国民に嫌われるのは困るので地震の復興には前向きですが、
それが管総理を延命させることになることには強い警戒感があります。
赤字国債法案に対する反対は変わらないので、
どさくさに紛れて消費税を上げることには賛成ではありません。


■震災と財政再建
政治の問題と切り離して、復興は復興で進めていかなければなりません。
しかし、地震が起こる前から日本政府の財務は債務超過で危機的な状態にありました。
震災からの復興と同時に、日本政府の財政再建の問題も、
解決して消えてしまうということはありません。

今回、復興のために復興債のような債券を発行して、
財源を調達することは仕方のないことだと思います。
しかし、中・長期的に考えれば、財政再建のためには以前から申し上げているように、
数百兆円分の公営事業の民営化が必要となってきます。
被災者個人でできることには限界がありますから、
国がお金を出さないことには復興も進みません。

私にいわせれば、それこそ日銀にお札を刷らせて、
国債を引き受けさせてでも、復興を果たすべきだと思います。
しかし、その後、復興債の償還のために消費税を増税するということは、
やはり許されるものではないと思います。
復興債の償還も消費税の値上げでなく、公営事業の民営化で行うべきです。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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