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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 自分の気持ちや考えを伝える (組織心理/藤村まこと)

自分の気持ちや考えを伝える (組織心理/藤村まこと)

11/04/26

他者とのコミュニケーションにおいて、自分と他者の相互を尊重した
話し方というものは意外と難しいものです。今日は、アサーションと
呼ばれるコミュニケーションの在り方についてご紹介しようと思います。

アサーション(assertion)は英語の言葉で、意味は「主張、表明、断言」
などになります。アサーションと類似する用語として、サーティブ
(assertive)やアサーティブネス(assertiveness)という言葉も
あります。アサーティブの日本語訳は、「断定的な」とか「自己主張の強い」
という意味です。日本では自己主張というと、わがままな人であるとか、
相手を尊重しない人というイメージがありますが、理学でいうアサーティブ
やアサーションは、自分も相手も大事にして尊重した表現、もしくは
コミュニケーション手法として取り上げられています。良い日本語が
見当たらないので、あえて英語で使われているのだと思います。

アサーションはもともと臨床心理学で用いられた用語です。私は、
医療事故研究の中で関わる機会がありました。医療ではチームで
動くことが多く、失敗をすると患者の命に関わることがあります。
そのため、互いにフォローしあって、相手の失敗を見付けて
それを知らせて修正することは、チーム全体のパフォーマンスの
向上につながります。しかし、メンバー間で相手の失敗を指摘する
ことは難しいことです。もしかすると相手の気分を害するかもしれません。
そのときに、このアサーティブな話し方は、スタッフ同士の意思伝達に
有用なのではないか、ということでアサーション・トレーニングに
触れることになったのです。アサーティブな自己表現は、仕事でも
それ以外でも役立つスキルなのだと思います。

ではここで少し考えていただきます。自分が頼んだものと違う料理が
レストランで出てきた場合を考えてください。あなたはどう反応
されますか?私であれば、つい間違って出てきた料理をそのまま
引き受けてしまうのですが、アサーションの考え方では、何もいわず
引き受けてしまうことは、相手を大事にはしていますが、自分の選択と
いう行為をあまり大事にしてない、「非主張的」なコミュニケーション
ということになります。もし、注文したものと違いますよと相手を
責めてしまう場合は、自分ばかりを大事にして、相手を尊重しないので
「攻撃的」なコミュニケーションとなります。それでは、「主張的」で
アサーティブなコミュニケーションはどういったものなのでしょうか。
私は別のものを注文したので取り替えていただけますかと、攻撃せずに
伝えていくコミュニケーションであれば、相手と自分のそれぞれを
大事にしていると考えられます。

その他、いくつかアサーティブな自己表現をするための条件について
紹介します。1つは、自分自身に対する信頼感を持つことです。
例えば、相手が専門家で、自分自身に対する信頼感や自信がない時は
主張がしづらくなるものです。そういう時にも聞いてもいいんだと、
聞く権利はあるんだと思えれば、尋ねやすくなります。

もう1点は、非合理的な思い込みにとらわれないということです。
みんなから好かれなくてはならない、人を傷付けてはいけない、
異論を唱えてはいけないという思いこみはありませんか。それらは、
必ずそうあるべきというものではなく、そうでなくても良いのです。

それでは、最後にふたつ相手に考えを伝えるときの方法についてです。
ひとつは、私自身も心掛けていることなのですが、「私(I)」メッセージ
を使って、なるべく「あなた(You)」 メッセージを使わないという
方法です。例えば子供が遅く帰宅して心配していた場合であれば、
あなたはどうしてそんなに遅く帰って来るのと相手のことをいろいろと
言ってしまいがちですが、私はとても心配していたんだと、I(私)から
始まる形で、自分の考えを伝えるような話し方に変えていく方法です。

また、もうひとつは、話の順序を4つの段階で組み立てるやり方です。
ひとつめは「描写(describe)」で状況を客観的に表現することです。
例えば、この部屋暑いなと思った時には、部屋の気温を客観的に
具体的な数字やデータを使って説明します。そして、2つめは
「表現(express)」です。“部屋の温度が~度だから、ちょっと暑いですね。”
と自分の考えを表現することです。3つ目は「特定の提案(specify)」です。
この例であれば、ちょっとエアコンを切りませんかと具体的な提案を
することなどです。最後は、「選択(choose)」となり、提案に対して
どうするかを選ぶ段階です相手が、いいよと言ってくれれば温度を下げて、
もしだめだと言えば、別の提案をするのもよいかもしれません。

最後に、「事実」と「意見」を分けるとこともコミュニケーションの
上では重要なポイントになります。

<参考文献>
平木典子 1993 アサーション・トレーニング 日本・精神技術研究所
山内桂子・森永今日子・三沢良・藤村まこと・松尾太加志 2003
第1部 事故防止のための研修プログラムの開発と効果測定. 
第2部 厚生労働省科学研究費補助金(医療技術評価総合研究事業)
第3部 総括研究報告書(課題番号 H13-医療-037 主任研究者 松尾太加志)

分野: 藤村まこと講師 |スピーカー:

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