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リビア (財務戦略/村藤 功)

11/04/22

つい先日まで、エジプトの反政府デモがニュースになっていましたが、
今回はリビアの民主化の動きについてお話しします。


■多国籍軍による介入
エジプトのムバラク大統領は早期に退陣しましたが、
リビアのカダフィ大佐はしぶとく抵抗を続けています。
3月17日には、カダフィ大佐側が反政府勢力に勝利しかねない状況を懸念した、
フランスやイギリス、アメリカが中心となって、
国連の安全保障理事会でリビアに飛行禁止区域を設定する決議が採択されました。

翌18日には、フランス、イギリス、アメリカなどの多国籍軍によって、
国連決議に従わないカダフィ軍に対して空爆が行われています。
しかし、国連軍の介入でも決着が付かず、
アメリカ国内でもアメリカの参戦に異論が出てきたため、
3月31日には指揮権が多国籍軍からNATOに承継されました。

そのため、当初は単なるリビアの内戦だったものが、
カダフィ対多国籍軍を経て、カダフィ対NATOという形に変わってきています。

NATOは、空爆は行っているものの、地上軍を派遣してはいません。
そういう意味では、リビアの空はNATO軍が抑え、
地上はカダフィ軍の方が抑えているという状況で、膠着状態が続いています。


■リビアの現状
反体制派は、リビア第2の都市ベンガジを拠点として、
リビアの東部を中心に勢力を広げています。
一方、体制派はリビア西部の首都トリポリを支配しており、
リビアの東を反体制派、西を体制派が抑えているという状況です。

カダフィが抗戦を続けている理由として、お金と武器を持っているということがあげられます。
リビアは石油輸出国ですが、カダフィは石油収入で蓄えた1000億ドルもの手元資金をもとに、
チャドやニジェール、マリなど近隣アフリカ諸国出身の外人傭兵部隊を雇っています。
カダフィの雇う外人傭兵部隊が反体制派の国民に攻撃を加えているということが、
今回のフランス、イギリス、アメリカが介入するきっかけとなりました。

しかし、財政再建が必要であるアメリカの現状を考えると、
オバマ大統領は、ブッシュ前大統領から引き継いだアフガニスタンやイラクはともかく、
新たな戦争であるリビアにはあまり積極的ではないといわれています。
アメリカ国民の支持も、イラク開戦時の76%やアフガニスタン開戦時の90%と比較すると、
リビアは47%で、半分近くにとどまっています。

しかし、多国籍軍やNATO軍が撤退してしまうと、
カダフィが政権に居座り続ける可能性が非常に高く、
民主主義の観点からみてもリビアの問題は非常に難しい局面を迎えています。


■安保理理事国の対応
フランスやイギリス、アメリカはリビアに対して強硬な態度に出ていましたが、
一方でリビア国内の運営に干渉することに対して、
否定的な態度を取っている国も少なくありません。
常任理事国の中国やロシアをはじめとして、
非常任理事国のドイツやブラジル、インドは国連の安保理決議を棄権しており、
多国籍軍側も必ずしも一枚岩とはいえません。

そのため、資金と戦車や飛行機などの軍備を有するカダフィとは、
軍事力による短期での決着をつけるということは難しい状況になってきています。

また、トルコは体制側と反体制側の仲介に意欲をみせています。
しかし、カダフィ側は、自分以外による政権は認めないという考えです。
といって、無理矢理にカダフィを排除しようとしても、
誰がその費用を負担するのかという別の問題に発展してしまい、
簡単には問題が解決しそうにない状況になっています。


■原油市場への影響
エジプトは日量180万バレルの産油国ですが、
リビアも日量158万バレルで世界第12位の産油国です。
しかし、リビアからの輸出の大部分が止まっており、
供給の減少に対応してサウジアラビアが増産に動き出しています。

とはいえ、リビア産の石油に比べて、
硫黄分の多いサウジ産の石油を処理できないヨーロッパの製油所もあるといわれています。
そのため、石油の供給減少や途絶の可能性に関する不安から、石油価格も上昇してきています。

また、日本の地震による原子力発電への不安から、
原油やLNGを使う火力発電の比重が増え、
これも石油の値段が上がる原因となっています。

カダフィ大佐も国際連合の決議を守るのであれば、
最初からそうしているはずですが、体制派と反体制派の間で交戦が続いている以上、
現状では事態が長期化しそうであるということしかいえません。

西洋諸国側はカダフィがリビア統治の正当性を失ったとみていますが、
カダフィはそのようには思っていません。
カダフィが政権だけでなく、お金と軍備を持っている以上、
今後リビアがどうなるのかは全く見当もつかないという状況です。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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