QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

過去の記事詳細

QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 内なる国際化 1 (国際経営/星野裕志)

内なる国際化 1 (国際経営/星野裕志)

11/04/11

前回は、経済連携協定に基づいて来日しているフィリピンからの
看護師候補者のことを取り上げながら、日本が今後外国から専門的な
人材を受け入れるためには、私たち自身が内なる国際化をするべき
というお話をしました。今日は、日本の企業が本当にグローバル展開
するためには、日本の会社自体が経営のあり方を見直すべきという
意味での内なる国際化の話をしたいと思います。

例えば、フィリピンの看護師候補など高度な技術を持つ人材を受け入れる
には、今の日本の企業のあり方、つまり日本人中心に日本語で経営され、
日本の本社で意思決定される仕組は大きな障害だと思います。したがって、
自国中心のエスノセントリック(ethnocentric)な経営から脱却すべき
ということです。

外国人を経営者にする日本企業も時々出てきていますが、数にしては
まだまだ少ないのです。2009年7月に経済同友会がまとめた第16回の
企業白書では、日本の繁栄維持に不可欠なグローバル化推進に向けた
重要課題として、グローバル化に対する4つのポイントが挙げられています。
グローバル化に対応する人材の確保と育成、グローバルに通用する
製品・サービスの開発、グローバルな企業理念とビジョンの徹底、そして
グローバルな仕組みや制度を導入するというものです。これらを改めて
最重要課題として挙げるのは、今まで特別な配慮をしなくてもうまく
事業が回ってきたからではないでしょうか。日本人が日本語で日本の
本社で経営するという体制で特に支障がなかったわけですが、今後真の
グローバル化には、それが制約要因になるということにようやく気が
付いたのかもしれません。

これまでにも何度か取り上げてきましたが、新興国などの現地の市場に
浸透するためには、そこを最も知る現地の優秀な人材を活用することが
当然考えられますが、日本人主体の運営では、外国人社員に活躍する
フィールドも与えられないでしょうし、評価の基準も曖昧なので
モチベーションも上がらず、その結果日本企業にはいい人材が定着しない
という問題があります。中国で日本企業に入りたい人は、欧米企業に
比べてはるかに少ないということは、よく指摘をされることですが、
体制自体が整っていないので、外国人にとっても魅力的とはいえません。

今でこそ、日本企業の終身雇用制が崩れつつありますが、終身雇用制
という考え方や横並びの発想も、短期的に実力を発揮して、その成果を
評価して欲しいという人には足かせになるでしょう。

現在日本企業が外国人留学生に雇用の門戸を広げている状況ですが、
日本企業は長く勤めて欲しいと思っていても、学生はそうは思わず
その思いに大きなギャップがあります。だからコミュニケーションの
とり方にも工夫が必要だと思います。お互いの共通体験や共有するもの
があれば、日本のような高コンテキストの社会ではあえて明確化する
必要のないことでも、背景や状況の全く違う人たちとの異文化
コミュニケーションでは、低コンテキストということを前提に
マニュアル化やルールを詳細に定義することが必要になります。

日本人同士では、日頃の業務の中で気にしない職務分担や職掌という
ことも明確にしておかないとトラブルの原因にもなります。多国籍の
社員の働く環境においては、それでは不十分です。少し前に、日本で
空気が読めない、KYという言葉が流行りましたが、空気を読むと
いうのは実は非常に高度なことで、共有できるものがあるからこそ、
空気を読み取りながら発言ができるわけです。多国籍の人が集まった
中で空気を読むのは難しいことですが、日本企業では空気を読むのが
当然ということが前提でした。

短期的に見れば、同質性は効率性や迅速な判断において、メリットが
あり、それが日本企業の強みでもあったのですが、これからのグローバル
化の中ではそういう前提がないと考えるべきでしょう。

企業活動における「内なる国際化」は、繰り返し論議されながらいつまでも
実現されないのはなぜでしょうか。今まで掛け声や理念にとどまって、
具体的なアクションや枠組みの見直しに繋がってなかったからかもしれません。
社員自身の意識改革、経営者のコミットメント、そして既存の組織や
評価基準の改定あって初めて、逆戻りしない国際化の体制ができるでしょう。
今後少子高齢化などで内需拡大が期待できない中、グローバルに活動する
基盤をますます整備する必要があるのではないでしょうか。

分野: 星野裕志教授 |スピーカー:

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ