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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > ジェトロから「中国事業環境研究会」報告書がリリースされました(中国ビジネス/国吉 澄夫)

ジェトロから「中国事業環境研究会」報告書がリリースされました(中国ビジネス/国吉 澄夫)

11/04/08

■中小企業のための中国ビジネス環境 

ジェトロ(日本貿易振興機構)の本部で、この1年私が座長を務めて計8人の委員で7回に渡って議論をしてきたテーマがあります。それは、中小企業にとっての中国のビジネス環境の現状と今後の課題についてです。その報告書が3月1日付けでジェトロのホームページで公開されました。どなたでも「中国事業環境研究会報告書」と入力して検索すればPDFファイルで閲覧が出来ます。
その内容ですが、「中小企業のための対中ビジネスの手引き」というコンセプトで、中国事業に取組んでいる日本の企業、特に中小企業の皆さんに「転ばぬ先の杖」となるよう、先人のノウハウや専門家の経験や知識を事業推進の指針として集めています。
研究会の委員は、皆、中国ビジネスの専門家として長く実践的に現場で携わってきた方ばかりで、コンサル会社、公認会計士、弁護士、銀行関係、中国専門の業界組織の方たちで構成されています。また、内容は、日本企業の中国事業の歴史的変遷、中国事業の環境変化や人材の育成の必要性、中小企業工業団地の可能性、現地法人設立と行政との関係、法務・労務・税務問題、国際会計基準、業務の仕組作り、自動車産業における部品メーカーの販売戦略など、中国事業の現場でぶつかる実践的課題を多岐に渡って述べています。

■中国事業の裾野の広がり、チャンスとリスクの並存 

日本の大手企業各社の対中事業は、2005~2006年の自動車業界の大幅な投資拡大をピークに、新規投資としては峠を越しましたが、設立された現地の事業オペレーション拡大を中心に、市場としての中国に熱い目が向けられています。また、対中投資の裾野は、さまざまな産業・業種に広がりをみせており、従来の製造業、大手流通小売業、金融業等に加えて、外食、不動産、教育、スポーツ、介護、ブライダルなどサービス産業のさまざまな分野に注目されています。しかし、同時に、日中間に横たわる歴史・政治・経済・社会・文化の壁をどう乗り越えるのかといった厳しい風にもさらされ、中小企業にとっての対中事業は、チャンスとリスクが並存する時代の流れといえましょう。 こうした背景の中で、ジェトロ主催で、中国の事業環境について考える研究会の提言があったわけで、「時宜を得た企画!」と多くの委員から賛同を得ました。

■中国ビジネス専門家の重要性 

実は、座長を命ぜられた小職としては、委員選定に当たっては、大学の船影ではなく、「中国ビジネスのスペシャリスト」「実践の専門家」の皆さんにお願いしました。今こそ彼らの出番である!と私自身が強く認識したからです。
中国がGDP世界第2位の地位をほぼ確実にし、国民に「強い中国」の自尊心が高まるとともに、政府の外資政策も大きな変化を迎え、対中ビジネスも難易度の高い、新たな段階にきたといえます。こうした時期にこそ、「中国ビジネスの専門家」が求められていると思うからです。
ところが、日本のビジネス界においては、2000年代半ば以降、企業の「グローバル化」あるいは、分社化/カンパニー制度の進展とともに、各社の「国際部門」あるいは地域スペシャリストとしての「中国部門」の姿が消えるか、存在感が薄くなっていった過程があったと思えます。一方で、経営の中で占める「中国」の役割は益々大きくなりました。本来なら中国スペシャリストは経営戦略(国際戦略)立案の中で発言力を持つべきであったものが、現実には「営業活動」の補完物になってしまう流れができてしまいました。
WTO加盟後の中国が「普通の大国」として国際ビジネスの中に存在するならそれでよかったかもしれないのですが、実際は、依然として「社会主義市場経済」という特殊な経済成長の中にあり、政治と経済・社会など総合的に中国を見る眼がビジネスを担う経営トップや実務担当の一人ひとりに求められているのですが、そうした視点が戦略として十分に経営トップに伝わりきっていない現状があるようです。
対中ビジネス環境がより複雑になっていく今、経営トップが地域専門家の意見を取り入れ、しっかりとした 国際戦略を築いて頂きたいものです。
九州の企業の99%が中小企業だと言われていますが、こうした企業経営者が、アジア・中国と向き合ってビジネスを構築していくときにも、是非、この地域スペシャリストと経営そのもののスペシャリティを絡み合わせた国際戦略を作っていただければと願っています。

分野: 国吉澄夫教授 |スピーカー:

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