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ITによる車の変化(その1) (産学連携マネジメント/高田 仁)

11/04/18

日本では、エコカー補助金制度が終了し、自動車各社の販売台数が大幅に減少しているが、米国ではビッグスリーで唯一公的資金による救済措置を受けなかったフォードの伸長が目立つ。
特に目立つのが、2007年にマイクロソフトと共同開発した車載情報&コミュニケーション・プラットフォームの「シンク」で、米国では既に300万台に搭載されている。例えば、スマートフォンと自動接続して、走行中に電話がかかってくると車内スピーカーに音声が転送されて、ハンズフリーで通話できたり、逆に電話をかける時は声で指示するだけでよい。あるいは、自宅のパソコンに登録していた地図をカーナビに呼び出したりできるので、わざわざ地図をプリントアウトして車内に持ち込み、それを見ながら運転する必要はない。
この「シンク」搭載車は、非搭載車に比較して2倍の売れ行きだという。最新のソフトウェアでは、「お腹が空いた」と言えば、カーナビと連動してお勧めレストラン情報を音声で提供してくれたりする。
スマートフォンやカーナビのリンクだけではなく、事故時の緊急連絡や車両故障の事故診断も担ってくれるし、渋滞状況をリアルに把握しながら道案内をしてくれる機能もある。フォードの調査では、「シンク」のデモを事前に体験したユーザーの70%が「シンク」機能付きの車両を購入しているという。
「シンク」はオープンなプラットフォームであり、様々なアプリが開発され提供されるのは、iPhoneと同じ仕組み。
ビッグスリーの1画であるGMも、「マイリンク」を発表している。これは、GMが既に開始していた緊急時通信サービス「OnStar」を活用したもので、運転中にスマートフォンに触れずに音声コントロールで様々な機器の操作が可能になる。
このような進化は、どんな社会をもたらすのだろうか?
例えば、カーシェアリングがもっと進んで1台の車を不特定多数で共有する場合、お気に入りのCDを車内に置きっ放したり、カーナビに自分の登録履歴残したくない。そこで、「シンク」のようなプラットフォームがあると、自分のスマートフォンと連動させるだけで、自分に特有の情報を車載システムに読み込むだけで、あたかも自分だけのカーナビのように使用したり、好きな音楽を自由に聴いたりすることができる。
フォードのムラーリCEOは、「つながりは商品を買う理由になる。ドライバーも同じ理由でフォードを選ぶ。フォードは最も便利でクールな“アプリ”だ」と雑誌へのインタビューで答えている。
最近、若い人の車離れが言われるようになったが、カーシェアリングと車載コミュニケーション・プラットフォームを組み合わせることによって、「車を所有せずにカーライフを楽しむ」ことがもっと気軽にできるようになる。
このような車載情報コミュニケーションを実現しているのが、音声認識や音声合成技術だ。フォードの「シンク」には、マサチューセッツ州のニュアンス・コミュニケーションズという会社の技術が使用されている。この会社の技術は、人の言葉の意味を逐一理解するのではなく、車の運転や車載サービスに必要ないくつかの言葉を機械的に区別して、迅速に装置の指示に置き換える点に特徴がある。さらに、人工知能によってドライバーが発した一連の言葉や過去の会話を元に次の言葉を予測するという。
iPhoneのタッチ画面によって視覚的なインターフェースは格段に進歩したが、自動車各社の取組みを見ていると、今後は音声的なインターフェースが格段に向上するだろうと予測される。
興味深いのは、フォードが「シンク」の開発でスマートフォンなどハイテク家電業界と融合することを通じて、経営のスピードアップの必要性やオープンなプラットフォームを形成することの重要性を学んでいる点だ。このフォードの動きには、企業のビジネスモデルや競争優位性を新しい次元に引き上げる可能性が秘められている。

次回は、さらにITによる車の変化について考察したい。

分野: 高田仁准教授 |スピーカー:

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