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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 為替取引と決済システム(ファイナンシャルマネジメント/平松拓)

為替取引と決済システム(ファイナンシャルマネジメント/平松拓)

11/03/22

為替というと、外国為替をイメージしてFXトレーディングや企業の為替差損
などを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、為替取引とは必ずしも海外との間や
外貨を使った取引ということではなくて、国内でも昔から広く行われている取引です。
三越デパートはもともと越後屋という商人ですが、幕府に認められた
為替商人でしたし、皆さんも郵便為替を使われたこともあると思います。
つまり、為替とか為替取引というのは、最近始まったことでも、国際取引に
関するものばかりでもなく、日常、非常に広く行われていることなのです。

為替取引とは、「お金を運んで支払いをする以外の方法で債権債務の決済を
行う方法」と定義づけられます。「決済」とは、その支払い等により取引を
終了させることです。離れた場所にお金を運ぶには時間がかかりますし、
嵩張り、且つ不用心です。そのため支払人が支払う場所と受取人が受け取る場所が
異なる場合、つまり場所の移動を伴う際に便利に行われる決済の方法と言えます。
これが外国為替ならば、異なる国の輸入者(債務者)と輸出者(債権者)の間の決済となり、
越後屋さんであれば、主に堺と江戸の間の決済になる訳です。
郵便為替ですと、例えば本籍地管轄の役所に登記簿謄本などの発行を
依頼する時の手数料の支払などに使わたりしています。

為替取引は国によって仕組みに多少の違いはありますが、我が国では
民間では銀行がその担い手になっていました。身近な例では、皆さんも
お使いになる銀行送金は債権債務の決済を仲介する役割を担うわけで、
そこが簡単に潰れると困るし、オペレーションも確実であることが必要なのです。
従って、限られた主体に免許が与えられるべきという発想だったわけです。

経済や技術の発達によって、外国為替も含めて世界中で莫大な量の
為替取引が行われています。それを担ってきたのが銀行ですが、
大量の為替決済を行うためには、システムが必要です。こうしたシステムを
資金決済システムと呼びますが、昔から広く用いられてきた例として
「手形交換」のシステムなどがあります。
先程の銀行送金でいうと「全銀ネットシステム」という
ものが、システムとして存在しています。これらは国内の異なる支店間、銀行間の
為替取引の決済を行うシステムで、支店間の決済は本店においた各支店の勘定を用いて、
銀行間の決済については、日本銀行にあるそれぞれの銀行の当座預金の
振替で行うことになっています。

インターバンクの決済システムには、かなり厳しいルールがあり、参加者も
メンバーバンクに限られています。大きな資金が動くことから、どの時点で
債権債務の決済を行うかが決められています。
通常、企業が当座預金の残高をマイナスにできないように、日銀に
ある銀行の当座預金の残高もマイナスにはできません。しかし、銀行は
1日に何千何万もの資金移動の取引があるので、従来は全体としての「入り」、
「払い」の合計で管理していました。つまり、実際に決済口座にお金が入ってきたことが
確認できなくても、A銀行はその日のうちにB銀行から入ってくるはずのお金を見込んで、
C銀行に支払いをするといったことが行われる訳です。

こうした場合、もし、B銀行がA銀行の決済口座へ支払をする前に破綻すると、
それを見込んでC銀行に支払いをしたA銀行はそのお金が受け取れない一方
C銀行に対する支払債務を抱えたままとなり、それがA銀行の破綻に繋がって、
そうした破綻が次々と連鎖的に生じる可能性があります。こういうリスクを
システミックリスクといいます。昔ドイツの銀行が破綻した影響がそれ以外の
国にも広がったヘルシュタット銀行のケースが良く知られており、
こういうシステミックリスクはヘルシュタットリスクと呼ばれたりしています。
大手銀行一行の破綻が経済恐慌にもつながり兼ねないリスクがある訳です。

しかし最近はIT技術の進歩もあり、取引から決済までの期間の短縮化や
日中の取引1件毎に取引後の残高がプラスか、マイナスでも担保の範囲内に
収まっているかを確認して決済が行われるような形で、システムの高度化が
進められてきました。その効果はリーマンショックの時にも力を発揮したと言われており、
金融危機の波及があの程度で済んだ背景には、各国の巨額の資金供給や
財政出動もありましたが、決済システムの進歩が陰でしっかり貢献していたと
考えられています。

分野: 平松拓教授 |スピーカー:

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