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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 八百長相撲 (財務戦略/村藤 功)

八百長相撲 (財務戦略/村藤 功)

11/03/18

八百長問題で相撲の将来が不透明になってきています。
2011年春場所も中止となり、夏場所が開催されるのか気になるところですが、
今回は公益法人化の問題とあわせて大相撲の八百長問題についてお話ししていきます。


■問題の発覚
そもそも、2011年2月2日に、
野球賭博事件で警察庁が押収した力士らの携帯から、
13人の力士が相撲で八百長を行っていたことを窺わせるメールが発見されたことが、
今回の問題の発端です。

とはいえ、これまでにも相撲の八百長問題については度々指摘されていました。
特に「週刊現代」の発行元の講談社は、
「八百長疑惑」報道で名誉を傷つけられたとして相撲協会に提訴され、
3900万円の賠償金支払いの判決が確定しており、すでに一部を支払っています。

しかし今回の騒動で、講談社は、
相撲協会が虚偽の事実を主張して裁判所を騙して勝訴したとして、
損害の回復を要求しています。
今回は、野球賭博の捜査で押収した力士の携帯から、
八百長相撲の問題が始まっており、これからどのように話が進展し収束するのか、
よく分からない部分もあります。


■八百長の背景
八百長が行われる理由は割とありふれたものです。
相撲の世界では、毎月約104万円の給料が十両の力士に支払われますが、
十両より一段下の幕下の月給はゼロです。
つまり、十両から落ちると生活できなくなるため、
相互扶助の仕組みとして八百長があったといわれています。

また、勝ち越すと番付が1枚上がり、負け越すと3枚下がることから、
勝ち越しを決めている力士と、負けると負け越しが決まる力士との間で、
八百長が起きる可能性があります。

加えて、力士は関取時代にお金をためて、
億単位といわれる年寄株を買わなければ、
親方として協会に残ることができません。

こういった話を聞くと、八百長も最近始まったことではなく、
昔からやっていたのではないかという疑惑がでてきます。


■特別調査委員会
2月2日には相撲協会によって、第三者の手による特別調査委員会が設置されました。
特別調査委員会は協会所属の約1000人を対象に記名式のアンケート調査を行い、
八百長相撲の有無を確認しています。
しかし、弟子に全部「ない」と回答するように指示した親方もいるといわれていますし、
そもそも八百長に手を染めていることを認めれば厳罰に付されることがわかっているのに、
正直に答える力士がいるのかどうかも疑問です。

特別調査委員会は記名式のアンケートだけではなく、
都内のホテルで毎日約100人の力士から、聞き取り調査を行っているようですが、
力士が新しく名乗り出たという話も出てきていません。

また、調査委員会は八百長疑惑メールをやり取りしていた4人の中で、
唯一関与を否定していた十両の清瀬海についても、
メールの内容を吟味した上で関与を認定しています。

とはいえ、全ての力士に携帯電話を提出させているわけでもなく、
中には携帯電話をなくしたといっている非協力的な力士もいるため、
調査にどのくらい時間がかかるかはよく分からない状況です。

相撲協会の放駒理事長は、
「膿を完全に出し切るまで土俵上で相撲を見せることはできない」といっていますが、
一方で東京の両国国技館で行われる夏場所を観戦したいという声も強くなってきています。


■公益法人改革
2008年の公益法人改革によって、これまでの社団法人や財団法人は、
2013年11月末までに税制で優遇される「公益法人」か、
営利活動を制限されないというメリットのある「一般法人」に移行することになりました。
2013年11月までに申請しないと解散となってしまいます。

カヌーやアーチェリーは既に公益社団法人に移行し、
バレーボール等も既に公益財団法人に移行しています。
また、これまで社団法人だった日本野球機構は一般法人とする方向ですが、
同じく社団法人のJリーグは将来の移行の方針については未定です。

このような状況の中で、相撲協会も公益法人に移行すべく、
2011年内を申請の目処としてきました。
公益性の認定には、事業の50%以上に公益性があることが条件となりますが、
八百長だけでなく年寄名跡など金銭面での不透明さ等も指摘されており、
公益認定が怪しくなってきています。

相撲協会は財団法人ですが、
場合によってはその認定が取り消される可能性もあります。
仮に、財団法人の認定が取り消されてしまうと、
相撲協会は解散し、国技館などの残余財産は処分することになってしまいます。
また、中学校を卒業して、場所が開かれる見通しがないままに、
相撲協会に入った子供たちもいます。
団体としてもそうですが、力士たちの将来も危うい状況となってきてしまっています。

野球賭博が発覚したときには、
相撲協会が第三者機関である「ガバナンスの整備に関する独立委員会」を立ち上げ、
公益財団法人に向けた協会の改革案が答申されました。

例えばこの中では、金銭による年寄株の売買の禁止について触れています。
しかし、これまで数億円で年寄株を買った人たちも大勢おり、
その価値を突然0にすることで話がまとまるとも思えません。
また、部屋を持つ師匠と協会理事の兼務を禁止し、
外部の理事を増やすことも改革案の中に含まれています。

色々と相撲協会にとっては受け入れ難い改革案が出ていますが、
まずは八百長を禁止する方針を明確にした上で、
受け入れがたい改革案も受け入れて、
ひとつひとつ実行していくことが必要ではないかと思います。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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