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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 第3の開国と九州経済の活性化(国際経営/永池克明)

第3の開国と九州経済の活性化(国際経営/永池克明)

11/03/08

2008年3月に私は『グローバル経営の新潮流とアジア』を九州大学出版会から
アジア叢書シリーズの中の一冊として刊行しました。その後、全国の多くの
読者の方々に受け入れられてきましたが、現在、在庫が遂に底をついてしま
いました。そこで、出版社と相談して、本年6月以降に改訂増補版を刊行す
ることが決まりました。
それに関連して、昨年3月の初め、東京霞ヶ関の経済産業省貿易振興課長さん
から私の研究室に電話があり、私の本を読み賛同するところが多いので、一度
直接九州に伺い、お話を聴きたいということでした。政府では目下、国の成長
戦略について策定中であるが、その素案をみていただき、コメントを伺いたい。
また、その各論として地方の成長戦略に関連し、九州経済の活性化策について
も伺いたいとのことでした。その電話の4日後に係官2名をヒアリングのため
本省から九州に派遣されました。私がその時に述べたのは、次のようなことです。
また、その内容の一部は冒頭紹介した私の著書の中で、2008年に既に主張していた
ことでもあります。

1.日本やアジアは、世界に国を開き、アジア・中国をはじめ世界の
市場を捕獲すべきで、そのためにFTA、EPA、その他の
自由貿易に積極的に参加しないと、日本や九州の将来もないでしょう。
2.農産物については、市場開放すると共に農家への所得補償などに
十分に配慮する措置を講じた上で、攻めの戦略に軸足を移して、
日本や九州の農産品を中国・アジアの富裕層などのセグメントに
積極的に売っていくことです。現に売れている商品もたくさんあるので、
こうした成功例を積み重ねて日本の産品を成長市場に売り込むと
戦略に転じるべきです。
3.九州を1つの地域国家と考えると、面積もGDPもほぼ台湾と同じ、
韓国よりちょっと小さいくらいで、九州は1つの国家として十分に
成り立つのですが、台湾と韓国に比べると、国際化の点で大きく出遅れ
ています。九州の輸出入総額は台湾の5分の1にすぎません。また、
外資企業の参入件数で見ても、台湾の2万社強に対し九州はたったの
86社しかありません。これでは経済成長率に差がでるのもやむをえません。
ここ数年、九州はゼロからマイナス成長でしたが、台湾は6~7%くらいの
伸びで、GDP総額自体ででも抜かれてしまいました。もっと成長するためには
九州全体でもっと世界に目を向けた戦略をとる必要があるでしょう。
4.九州は7つの県があるが、各県が同じような戦略をばらばらに展開するのでは
なく、各地域の産業が独自性を発揮していくが、九州全体が一体化してオール
九州で一体となって推進していくことが必要です。中長期的には道州制を導入し、
九州自体が一つの地域国家として生きていくことが必要になるでしょう。
5.九州には優れた経営資源があるが、十分にそのポテンシャルが発揮
されていません。グローバル時代にあっては何か九州独自の突出した技術や
サービスを磨いて国際的競争優位性を構築して、世界に打って出る。
世界中に、あり余っているヒト、モノ、カネ、知識・ノウハウを九州に
呼び込んでいくという、アウトバウンド(outbound)とインバウンド
(inbound)の両面の戦略をとっていく必要があります。
6.本年の3月に、九州新幹線全線開通が実現するので、オール九州でアジア
及び中国の観光客を呼び込む仕掛けを具体化しなければなりません。
医療ツーリズムと観光を結び付けることも可能ですが、これには医師会等の
抵抗もあり、十分にコンセンサスをとることが条件です。
7.九州はもっと国際化していく必要があり、それが発展戦略として活性化に
結び付くのですが、それを推進するために高度の専門人材を質量的ともに
増やしていく必要があります。アジアと競争していくためにも、色々な
タイプの専門家を早急に養成し、同時に韓国のように外国人留学生などの
海外の人的資源を積極的に取り込んでいく必要があるでしょう。日本では
労働力人口が2005年から減っているので、オープン経済ポリシーを採用し、
現政権には早く意思決定を行い、実践をしてほしいものです。

九州は地理的にも地政学的にも有利なポジションにあります。また、
九州経済の活性化は、第3の開国と連動しているといえるでしょう。

分野: 永池克明教授 |スピーカー:

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