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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > エジプトの騒乱 (財務戦略/村藤 功)

エジプトの騒乱 (財務戦略/村藤 功)

11/03/04

エジプトの問題は今や中東にも波及しています。
一連の騒乱は、2011年1月にチュニジアで起こった、
民主化革命が飛び火したものだといわれています。
チュニジアから、エジプト、そしてヨルダンやイエメン、
アルジェリアにバーレーン、リビアと、多くの国々に拡がってきています。
今回はエジプトの民主化の動きについてお話ししていきます。


■ムバラク大統領の退陣
これまで、エジプトは率先してイスラエルを国家として認めており、
イスラエルと中東諸国との仲介役になっていました。
そのため、ムバラクがいなくなると、
エジプトがイスラエルを国家として承認しないのではないかと、
アメリカやイスラエルは懸念していました。

しかし、ムバラク大統領が辞任しエジプト軍に政権が移行した後も、
軍はイスラエルとの平和条約を含む海外との条約を全て維持すると表明し、
アメリカもイスラエルも一安心というところです。

ムバラク氏は、1981年にサダト前大統領が暗殺されてから30年近く大統領を務めてきました。
日本のように、1年もせずに政権が変わるというのも困りますが、
30年近く大統領が代わらないというのも別の意味で困りものです。

ムバラクファミリーは、数兆円もの金融資産を貯め込んで海外の銀行に預けており、
これには次男ガマル氏の関与も指摘されています。
当初、ムバラク氏は今年秋の大統領選挙に出馬しないことを表明し、
デモを鎮静化させようとしましたが、民衆は納得せず即退陣を要求しました。
また、アメリカやヨーロッパの支持も得られず、
最終的にムバラク大統領は辞任に追い込まれてしまいました。
現在は、カイロから約400キロ離れた場所に位置する、
保養地であるシャルムエルシェイクに移っているといわれています。


■退陣後の見通し
ムバラク政権の退陣後は、軍が政権をとっていますが、先行きは不透明です。

最初はエルバラダイ氏やスレイマン副大統領の名前が取り沙汰されていました。
エルバラダイ氏は2005年にノーベル平和賞を受賞した国際原子力機関(IAEA)の前事務局長です。
海外では知名度の高い人ですが、国内での人気はいまひとつといわれています。

一方、スレイマン副大統領はムバラク大統領よりも信頼できるとして、
野党との交渉役となっていました。
とはいえ、もともとはムバラク大統領の部下という位置づけのため、
ムバラク辞任後のスレイマン副大統領の処遇も決まっていないようです。

また、これまでエジプトでは憲法によって宗教政党が禁じられていました。
そのため、非合法の扱いを受けてきましたが、
イスラム原理主義組織のムスリム同胞団も国内で強力な支持基盤を有しています。
反米・反イスラエルを公言しテロも辞さないといわれていますが、
エジプト国内では2割から4割の支持率があると推計されています。


■憲法の改正
現行の憲法では、大統領が辞任した場合には、
60日以内の大統領選挙の実施が定められています。
また、現行憲法が有効であれば、大統領選挙が近々行われることになりますが、
エジプトでは軍が権力を掌握し、憲法を停止して、超法規的な統治が行われています。
そのため、憲法改正案を策定し、2ヶ月以内に国民投票にかけられる予定です。

新憲法の内容がどのようなものになるのかは、よくわかっていませんが、
現行の憲法では、ムバラク氏以外は出馬できないようになっているため、
大統領選の立候補要件は緩和されるようです。
とはいえ、憲法改正により、どのような人たちが立候補するのかは
、憲法の内容次第で、どうなるのかはよく分かりません。


■中国の懸念
中東諸国では、25歳以下の若年層が人口の過半数を占めていますが、
特に若年層で高い失業率や食料・燃料の高騰が問題となっています。

今回のエジプト民主化の中で、アメリカは、
オバマ大統領がムバラク大統領に電話して民主化するように求めています。
また、これまで英独仏首脳も、エジプトの民主化の遅れを知りながらも、
ムバラク大統領が新欧米政権であったため、
中東の安定を維持するために支持してきましたが、
最終的にはムバラク大統領に引導を渡しました。

そもそも、1981年にサダト大統領が凶弾に倒れた時に、
当時のムバラク副大統領が昇格して大統領に就任しました。
ムバラク大統領就任の1981年以来、テロ警戒を目的として非常事態法を維持し、
治安維持を名目に独裁による強権政治を長期間国民に強いてきたことが、
今回のデモを招いた1つの要因だといわれています。

また、今回のムバラク大統領の退陣を求める民主化運動の中では、
インターネットが大きな役割を果たしています。
遠く離れた中国でも、エジプトの民主化運動の中国への飛び火を懸念しているようで、
インターネット上の反政府デモを呼びかけるような書き込みは削除されているといわれています。
中国はエジプトのことはエジプトが決めるべきで、
外部から干渉すべきでないとアメリカを牽制しています。

エジプトと中国では政治力や影響力が違います。
中国国内で同じようなことが起こっても、
中東のように他国が介入するということにはならないのではないかと思います。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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