QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

過去の記事詳細

QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > TPPと日本の「第3の開国」を急げ(国際経営/永池克明)

TPPと日本の「第3の開国」を急げ(国際経営/永池克明)

11/03/07

明治維新、それから第二次大戦後に次いで、菅政権は日本は第3の開国が
必要といっていますが、その後の政治迷走が続き6月までにTPPの実施に
ついての目途をつけるとの見通しも危ぶまれます。
日本を取り囲む状況としては、米国の動きがあります。オバマ政権はアジア
が今後の世界経済の成長センターになり得ることに確信を持ち、国家
戦略上アジアを重視しています。米国の今後の成長はアジア市場に米国から
の輸出を増やし、マーケットを確保できるかにかかっているとの認識を深め
ています。そのためにはTPPに参加し、一早く楔を打つという戦略を持っ
ています。また、米国は中国の膨張を警戒しており、日本や韓国など同盟国、
そして東南アジア、インド、豪州などの周辺国を巻き込んで対中パワー
バランス(力の均衡)を構築する必要も感じています。
 東アジア各国の中で、日本と競合する分野が多い韓国が国を挙げて
グローバル戦略を推進しています。アジアの国家としては、初めてEU
とFTA(自由貿易協定)を締結し、先鞭をつけました。
今年7月にそれが発効するわけですが、それにより、EUがかけている
韓国にかけている関税をほぼ全廃します。これにより、EU側では16億
ユーロ(約1,800億円)、韓国では11億ユーロ(約1,200億円)の効果があ
るという試算をしています。日韓両国企業については、EUは日本製品
にはこれまで同様関税を賭け続けてので、日本企業は韓国企業に対して
貿易上極めて不利になります。それに円高、ウォン安がそれに輪をかけ
ることになります。
同じことは米国市場でもおきることになります。なぜなら、韓国はこの
ほど米国ともFTAを締結することになったからです。これが発効する
と日本は欧米両市場で韓国企業にきわめて不利な競争を強いられること
になります。これに加えて、日本企業は韓国に比べ割高な法人税率が賭
けられるので二重三重のハンディを負わされることになりそうです。

韓国は日本と対照的に非常にクリアな長期国家戦略を持っています。
すでに2040年の展望を大統領直轄の部署でまとめています。
今後労働力人口が減るので、複数国籍を共有し労働力を増強する
必要があるので、大学生も含めて高度専門人材を国家資金で世界から
招くというものです。もう1つは、2040年までに貿易の規制・関税を
廃止するというものです。語学教育を含めた戦略を積極的に展開して
います。韓国は国内市場が4,800万人で、日本の半分以下の人口しかな
く、国内市場が狭隘なので、どうしても海外にビジネスチャンスを求め
ざるを得ないという国家的な要請もありますが、積極的かつ先行的に
こういう戦略を次々と打ち出しているのは素晴らしく、動きの鈍い日本
とは対照的です。
ASEAN諸国もTPPに関しては前向きです。貿易依存度が半分
或いは8割以上という貿易立国が多いので、自由貿易の地域連合を
できるだけ活用し、アメリカを入れると輸出量が非常に増えます。
だから最近ベトナムもTPPに参加表明しました。ベトナムは国として
世界に開かれていないと生きていけないという強い認識の下で対応を
決めたようです。

日本の今後の動きですが、アメリカとの交渉を開始が決まっています。
EUとも交渉を始めようしていますが、テンポが遅くてもどかしいです。
例えばEUだったら、自動車に10%、テレビに14%の関税がかかって
いるので、それが段階的に引き下げられて全廃されるわけですが、
日本製品にはそれがそのまま課せられるとなると、競争力に
大きな差がつくでしょう。

一方で工業製品ではなく、日本では農業が大きな問題になっています。
韓国の措置をみると参考になります。韓国では日本以上に農業は頭の痛い問題で、
長年外国に対し高い関税をかけていました。けれども、ここにきて米と豚肉以外は
関税を思い切って撤廃する方向であると宣言しました。それと引き換えに、
FTAをアメリカ及びヨーロッパと締結したのですが、一方で農業のうち
特に米に関しては、韓国政府は日本を上回る農家の個別所得補償を負担しています。
つまり、守るべきところは政府がしっかりと補償し、外国に対しても交渉をするが
それ以外の農産品はアジアや中国にどんどん輸出する戦略に切り換えているわけです。

日本では長年の政府の農業保護が習い性のようになっていて、議論のテーブルこと
そのものがなかなか難しい状況ですが、そろそろ発想を転換して農業も補償すべき
ところは補償し、農産品ビジネスでも攻めの政策をとって外貨を稼ぐというように
上手く使い分ける戦略が望まれるでしょう。それを農家や関係者に理解してもらい、
国民的コンセンサスをとりながらスピード感を持って推進していくべきだろうと思います。
現在のような変化の激しいグローバル競争の中で日本に残された時間は少ないと思います。

分野: 永池克明教授 |スピーカー:

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ