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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 外国人労働者の就労②(国際経営/星野裕志)

外国人労働者の就労②(国際経営/星野裕志)

11/02/22

昨日は、外国人労働者の就労の話として、フィリピンでは人口の
1割に達する人たちが海外で働き、彼らの送金額はGDPの1割を
占め、海外就労が国の戦略にもなっているということをお話ししま
した。

それに関して、北朝鮮が韓国を砲撃して朝鮮半島の緊張が一気に
高まった時に、韓国に滞在する5万のフィリピン人を一気に
フィリピンまで直接帰国させるのが難しいので、アキノ大統領が
日本に緊急避難させることを日本政府に打診したという報道がありました。
そのニュースを聞いた時に非常に面白いと思ったのは、フィリピン政府が、
有事の対応を検討していることです。そこに、組織的に海外に
送り出しているフィリピン政府の責任というものを感じました。

日本の外国人労働者の受け入れは、国会で論議はされても結論が
出ないというお話をしましたが、1999年の閣議決定で専門性や
技術のある外国人の受け入れについては既に決まっています。
ところが、具体的にはインドネシアとフィリピンとの経済連携協定
(EPA)に基づいて、ようやく看護師と介護福祉士の受け入れが決
まりました。

インドネシアは2008年から、フィリピンは2009年から受け入れが
始まったのですが、フィリピンについては、2009年からの2年間で
看護師候補者400人、介護福祉士候補者600人を上限として受け入れる
ことになっており、初年度には合計283人の看護師が来日しました。
看護師候補、介護福祉士候補といったのは、既に本国では資格を持って
一定期間活動している人たちが、来日後3年以内に日本での国家資格を
取ることを目指しているからです。来日時には、日本での国家資格を
もたない「候補」になります。日本の少子高齢化あるいは高度医療が
進行する中、それに対応する人材への需要が高まっていますが、日本人が
足りないので、その不足を補うという意味が大きいと思います。

言葉の壁や宗教的な問題など、様々な生活習慣の違いはありますが、
外国人候補生たちは同じ仕事に従事する日本人と、全く同じ給与と
雇用条件が保証されているので、本国と比べると相当な高額です。
ただ、働きながら勉強するうえで最大のネックは日本語です。
実際来日している方の多くは、日本語の挨拶程度しかできない中で、
いきなり6ヵ月間の集合研修を経て、それぞれの配属施設で日本語と
専門教育を受けるわけですが、それで国家資格を取るのは大変な
ハードルです。日本人でも看護師国家試験の合格率88~89%です。
医療用語もあるので、外国人にはなおさら難しいでしょう。
3年間の滞在中に3回国家試験を受験する資格はありますが、もし
合格できなければ、帰国せざるを得ません。帰国しても短期滞在の
ビザで来日し受験はできますが、厳しい条件です。

福岡県内のある総合病院に配属されたフィリピン人看護師候補の方に
何度かインタビューしましたが、やはりハードルの高さを感じているようですし、
2009年に一緒にフィリピンから来日した中で、1回目の国家試験で
合格した人は1人しかいないそうです。昨年11月末に法務省は省令を
改正して、外国人の歯科医師や看護師に設定された滞在の上限(看護師は7年)
が撤廃されたので、看護師の資格さえ取れれば、長期間にわたって日本で働くことが
できますが、駄目ならそのまま帰国という厳しい現実があります。

フィリピン人看護師の海外就労の歴史は古く、現在年間1万1千人くらいが
海外で働いていますが、2008年の実績では、サウジアラビアで働く人が
7,955名と圧倒的に多くなっています。先程お話しした県内の病院で働いている
看護師候補の方も、サウジアラビアで既に看護師として働いた経験が
ありました。そのあとにはアメリカ、シンガポール、カナダと続きますが、
国内との賃金格差は働く人にとっては魅力ですし、受け入れ国では
人材不足を補えるので、このような制度が成立しています。

最近のニュースで、最初に来日したインドネシア人看護師候補の滞在期間3年を
特例で4年まで延長すると報道されましたが、それで何が変わるのでしょうか?
外国人労働者の問題を昨日、今日と取り上げた理由は、外国人雇用の問題は
日本企業の人材の国際化と非常に密接に関わっていると考えるからです。

企業活動のグローバル化の中で人材の多様性を重視しながら、外国人を
積極的に雇用することを考えているわけですが、なかなか定着しません。
なぜなら、受け入れる側が組織、制度そして環境も変える必要がある
からだと思います。単に外国人の為にハードルを下げることではなくて、
我々がグローバル化の中で生きていくためには、そういう対応が必要であり、
まさに内なる国際化の問題ではないかと思います。

分野: 星野裕志教授 |スピーカー:

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