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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 税制改革大綱 (財務戦略/村藤 功)

税制改革大綱 (財務戦略/村藤 功)

11/02/11

菅内閣は2011年1月に内閣改造を行い、
「立ち上がれ日本」を離党した与謝野氏が経済財政担当大臣として入閣しました。
消費税の増税が焦点となった2010年7月の参院選で、民主党は大敗しています。
菅総理は与謝野氏に消費税増税をやってもらおうとしているようです。
税制改正については、政府と官僚依存との決別を掲げる民主党の間でもめましたが、
2010年12月に取りまとめられた税制改正大綱には、
財務省主税局の増税アイデアが満載されています。


■法人税
法人税は実効税率が5%引き下げられます。
財務省は、税率引き下げで1兆5000億円の税収減となるため、
引き下げを3%に抑えようとしましたが、5%の引き下げで菅総理が押し切りました。

実効税率5%引き下げの財源確保のために、財務省は色々な案を出してきました。
これにより、欠損金の繰越しは控除前所得の8割に制限されることになり、
研究開発減税の控除限度額も法人税額の30%から20%に縮小されました。
また、償却期間を短縮できる加速度償却でも、
これまで1年目で25%償却できたものを20%に引き下げることで、
償却速度を遅らせることになりました。

アメリカの連邦法人税率は35%で、
地方税を合わせると実効税率40%になり、日本と近い税率です。
共に高かった日本が実効税率を5%下げるということで、
アメリカでも法人税減税の声が高まってきています。

実際、オバマ大統領が設置した超党派諮問機関である財政責任・改革委員会は、
法人税率を35%から20%台に下げる一方で、
75以上ある企業向け優遇措置を全廃する案を提示しています。
米産業界としては法人税率の引き下げを歓迎する一方で、
優遇税制の全廃には反対で、議論は長期化しそうです。

日本でもナフサ免税の廃止が検討されていましたが、
世界的にもナフサの免税が通常であることから、
日本の石油業界が競争力を無くしてしまうということで、廃止は見送りとなりました。


■所得税
所得税では、いくつかの控除に関して所得制限が設けられました。
その中でも影響の大きい給与所得控除では、
1500万円の所得制限が導入され、
控除額が最大で245万円となりました。

成年扶養控除でも568万円以下の所得制限が導入されました。

また、これまで課税所得を半分としてきた退職金への課税でも、
公務員OBなどが再就職を繰り返し、
何度も退職金を受け取る「渡り」を防止するといった目的で、
在職期間が5年以下の場合には、
課税所得を2分の1にする制度を適用しないことになりました。

配偶者控除も子供手当の上積み財源として、
夫の所得が1231万円以下に限定する予定でしたが、これは見送りとなりました。


■相続税
相続税も大きく変わりました。
2009年に亡くなった人のうち、相続税の対象となったのはわずか4.1%の約4万6000人でした。
これが今回の基礎控除の削減で、課税対象が6%程度の約7万人に広がる予定です。

また、これまでは、5000万円の定額に、
法定相続人一人あたり1000万円を加えた金額が、
遺産の課税所得から控除されてきました。
奥さんと子供2人の計3人が法定相続人の場合、
5000万円に3000万円を合わせた8000万円が控除額で、
遺産額が8000万円であれば全額控除されて課税所得は0になります。

これが、定額を5000万円から3000万円に下げ、
法定相続人一人当たりの控除も1000万円から600万円に変更されました。
こうなると、法定相続人が先ほどと同じ3人の場合でも、4800万円までしか控除されません。
8000万円と4800万円の差額は課税所得として税金がかかることになります。

これまでほとんどの人が支払っていなかった相続税を、
課税の対象となる人を2%増やし、増税したことになります。


■消費税
2010年参院選での民主党の敗因の一つは消費税増税でしたが、
それにもかかわらず菅内閣は消費税を上げようとしています。
しかも、2011年1月の内閣改造で、これまで民主党を批判してきた与謝野氏を、
経済財政担当大臣と社会保障・税一体改革担当大臣という、
重要なポストに兼務で入閣させています。

民主党は、今年の6月に税制と社会保障の一体改革案をまとめる予定ですが、
本来民主党が中心となって議論を進めるべきところを、
なぜ与謝野氏に任せるのか、意図がよく分かりません。

とはいえ、消費税の増税は難しいのではないかと私は考えています。
以前から申し上げているように、まずは現業の民営化に着手するべきです。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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