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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 地域の自立発展と若者の雇用(2)(経営学/久原正治)

地域の自立発展と若者の雇用(2)(経営学/久原正治)

11/02/16

世界的にみれば若者というのは29歳位までですが、どちらかというと
フラフラしながら自分の将来を見定める期間であるといえます。
従ってアメリカでは25歳前後の失業率が2割はありますし、
ヨーロッパでも3割位です。日本は現在景気が非常に悪いので
若者の失業率が9%になっていますが、グローバルにみれば若者時代は
自分探しの期間でもあります。

他方で日本には長期雇用があり、会社は新卒で採用して社内でトレーニングして
生涯雇っていくことが日本の特徴だったので、逆に言えば日本にはそういう制度が
あったから若者の失業率は非常に低かったということがあります。
ただ前回お話ししたように、大学進学者が20年前と比べて倍くらいになったので、
その結果として就職できないという問題があり、一方で一旦就職できないと
日本の場合ずっと就職できないという問題があります。

企業にしても90年代以降経済が成長してないので、コストカットが最大の戦略の
1つになっていますが、コストカットといっても雇っている人をクビにできません。
そこで、まず新卒の採用を減らすことになりました。そもそも産業が製造業から
サービス業に移ってきていますが、サービス業は製造業のように定年まで
色々なことを覚えてもらう必要はなく、むしろ色々なサービス業をグルグル
回っていく感じの職業ですから、就職に関する発想の転換の必要が出てきているのです。

金子修介監督の「ばかもの」という映画は、高崎という群馬県の三流大学の学生が
地元に残りたくても職がない、その中で友達は皆東京に行くという物語ですが、
今の若者の就業の不安定さを映し出した非常によくできた映画でした。
地元に残りたいけど残れないというジレンマも表しています。
福岡、九州にいる若い人たちでも同じかもしれません。おそらく地域の方が
フリーター率というのは東京より多くなっていく可能性があります。
そこで、地方の教育機関の役割を考え直さなくてはいけません。
特に九州大学では、九州の若者をどのように九州の発展に貢献させるかを
教育の中に取り入れていくことが、地場の教育機関としての存在意義でしょう。
これをやらなければ大学生の求人と就職のギャップがあり、日本経済や企業の構造の方が
なかなか変わらないので、地域はますます衰退していくことになるでしょう。

九州大学経済学部を間もなく卒業する学生の就職先一覧をみると、公務員が22人で、
こんなに多いのは初めてです。例年では15人くらいでした。あとは従来通り、
九州電力、JR九州という地場でも大手のインフラ企業、続いて福岡銀行、
西日本シティ銀行という金融機関などが上位ですが、地域の企業としては
安川電機に3人就職しておりますが、この地域でこれから成長を担う企業には
残念ながら人材を輩出していません。

大学への進学率が4割くらいになった今、キャリア教育として
大学がやっているのは、会社見学に行ったり、面接の訓練をしたりと、
昔中学校でやったようなキャリア対策を大学でやっています。
構造的に若者の就業構造が変わる中で、本当のキャリア教育や
グローバルに通用する人材を養成ことが必要になってくるでしょう。
私の持論ですが、アメリカではキャリア教育とはステップアップして
キャリアを積んでいく人たちに何らかの指針を与えることです。
だからアメリカでは大学を出て3年か5年位は色々な仕事を試してから
プロフェッショナルなビジネススクールやロースクールに行く、そういう過程が
キャリア教育で、日本で行われているキャリア教育とはちょっと違うと思います。

産業がサービス業化していき、経済の成長がない中で、企業自体も
従来のような長期雇用はできないので、流動化された労働市場の中で
30歳くらいまでは若者は色々なことを経験して、ある者はビジネススクールに行き、
それから自分が生涯やる仕事を見付けていくといったことが必要になるでしょう。
こういう社会にしていくことが、日本の企業にとってもいいでしょうし、
若者にとってみても、訳が分からずに大学を出て、会社に入ったけど
3年以内に半分くらい辞めてしまい、しかも一旦辞めたら正社員になるのが
非常に難しくなる状況を変えることになると思います。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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