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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 発明資本市場と産学連携(1) (産学連携マネジメント/高田 仁)

発明資本市場と産学連携(1) (産学連携マネジメント/高田 仁)

11/02/02

今、インテレクチャル・ベンチャーズ社という企業が注目を集めている。
この会社は、元マイクロソフトのCTOが2000年に設立したベンチャー会社だが、
「発明資本(インベンション・キャピタル)」を提唱してファンドを立ち上げ、既に5,000億円を集めた。

そもそも、「発明資本」とは何か?
例えば、有望なアイデアや技術を持つベンチャー企業に投資して
キャピタルゲインを得るベンチャー・キャピタルは、
70年代からその概念が提唱され、
今では経済のメカニズムに欠かせない役割を果たすまでになった。

「発明資本」とは、投資家から資金を集め、
そのカネで世界中から特許を買い集めたり、
新たな発明を生み出すことに投資し、
その特許を事業で活用して得られた利益を投資家に還元するというモデルで、
インテレクチャル・ベンチャーズの創業者達が提唱している新しい概念だ。

ベンチャー・キャピタルは、1件ごとの投資対象はリスクが高いものも少なからず含まれるが、
数件〜数十件〜数百件とポートフォリオを組むことによって投資リスクを回避する。
インベンション・キャピタルも、数千〜数万件の発明や特許を扱うことで、投資リスクを回避する。
インテレクチャル・ベンチャーズは、既に約3万件の特許を集めたと言われている。

そして、これらの発明や特許を活用して、「世界の大問題」を解決しようとしている。
例えば、年間100万人が死亡すると言われるマラリアの感染を防ぐために、
蚊の動きを自動追尾してレーザーで撃ち落とす機械の開発や、
燃料交換が100年間不要な原子炉の開発、地球を冷やす技術など、
既に数多くのユニークなプロジェクトに投資している。
原子炉の開発を進めているテラ・パワーという会社には、あのビル・ゲイツも投資している。

このような「世界の大問題」を解決するために必要な発明や特許を、
インテレクチャル・ベンチャーズは3種類の方法で集めている。
「既存特許の買収」、「自社独自開発」、そして「社外委託開発」の3つだ。

「既存特許の買収」は、世界中の個人や大学、企業などに働きかけ、
保有する特許が未利用の状態であれば買収をもちかける。
買収の契約が成立したら、一時金(100万円以下)が支払われ、
後にこの特許が事業に活用されて収益に貢献したら、その貢献度に応じて収益が還元される。

「自社独自開発」は、ノーベル賞級の科学者を世界中から集めて「発明会議」を開催する。
これは、先に述べたような「世界の大問題」をどのように解決出来るか、
アイデアを出してブレーン・ストーミングを行うもの。
この会議の参加者によると、科学者にとって極めてエキサイティングな時間だという。
そこで出たアイデアにもとづいて、米国ワシントン州にある本社研究所で研究開発を行う。

「社外委託開発」は、「世界の大問題」の解決に必要な研究テーマを抽出し、
それを世界中の有望な大学研究者に委託する、というもの。
大学の立場からみると、このような産学連携を通じて、
研究者が生み出した知的財産が「世界の大問題」の解決に貢献し、
ひいては収益還元に結びつく可能性もあるので、悪い話ではない。

日本では東京電機大学や広島大学など約20大学が
インテレクチャル・ベンチャーズ社と契約したと報道されている。

ただ、良い話ばかりではない。
実は、同社と契約すべきか頭を悩ませている大学も数多い。
次回は、その理由について解説する。

分野: 高田仁准教授 |スピーカー:

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