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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 中小企業の再生を通じた地域経済の自立② (経営学/久原 正治)

中小企業の再生を通じた地域経済の自立② (経営学/久原 正治)

11/01/26

前回は、中小企業の再生を通じた地域経済の自立が、
地方が生き残るために重要となってくるということをお話しました。
今回も、地域経済の自立についてお話ししていきます。


■地域経済の自立
学問的に、地域経済の自立には3つの考え方があるといわれています。
1つ目は、例えば地域の農業資源や廃棄物にように様々な資源を、
地域の内部で循環させて、それを拡大していくというものです。

2つ目が、地域とその地域の外との間の貿易をバランスのとれたものにするというものです。
とはいえ、今の九州は、東京のような他の地域から買う方が多く、
外に出す方が少ない状況にあります。

そして3つ目が、地域自体の企業に、意思決定の権限や自由を与えるというものです。
つまり、地方の企業は東京に本社のある工場や出先ということではなく、
地域の企業自体が自立し自らの意思決定ができなければならないということです。

地域経済の自立は、自分の地域は自分で守るという意味で、
「地域主義」という言葉に言い換えることが出来ます。
しかし、単独の地域で出来ることは限られています。
そのため、例えば九州と北海道のように、
同じような地域がネットワークを結ぶことが必要になってきます。
これこそが地域主義ではないかと思います。
実際、九州と東北の都市同士で地域ネットワークを結んでいるという事例もあります。


■地域の自立した企業
まとめてみると、その地域が持っている自然や歴史、
風土を背景にして、地域の人たち自身が企業を興したり、
新しいことをやっていくということが地域主義です。
医療や福祉、環境、農業といった産業が九州で展開していくには適していますが、
九州にも面白い企業がたくさんあります。

例えば、福岡県うきは市吉井町には、
昔から草刈り機など製作していた筑水キャニコムという会社があります。
現在でも農業向けの機械を中心に作っていますが、
「ものづくりは演歌である」を会社のモットーに、
世界の33ヵ国に製品をグローバルに輸出しています。
従業員数は約200人ですが、外国人従業員が30名で、
開発や営業のようなホワイトカラーの仕事もやっており、
海外と取引する際にはその国の従業員に仕事を担当させています。
また、開発自体も、その国に向いている農機具などを開発するということをやっています。

九州のマーケットにとどまらずに、世界に出ていけば一挙にマーケットは広がります。
中小企業が自ら立ち上がりグローバルに展開していくというところがポイントです。

また、福岡県久留米市には、古紙のリサイクルをやっている寺松商店という会社があります。
ここも近年になってこの古紙をグローバルに取り扱うようになっています。
日本の古紙は質も良く、例えば中国では珍重されています。
そのため、輸出も非常に増加しており、
今や寺松商店の古紙は博多港の輸出量で第3位となっています。


■地域からの自立発展モデル
地域にはこれまで色々な経験を積んだ人が住み着いていたり、
退職した地場産業の元従業員で能力の高い人がいたり、人材は豊富にあります。
また、地場産業で有効活用されていない知識や資源もあります。

一方で、九州には就職先のなかなか見つからない若い人も大勢います。
そうなると、この埋もれている人材と、
地域に残る元気な若者を結びつけるということが、まずは考えられます。

また、新しい中小企業や既存の地場企業に、
新しい考えを持った経営者を呼び、
これを再生するということも重要です。

実は、人的資源に金融資源が加わることによって中小企業は発展していきます。
ところが、金融機関は様々な理由でお金を貸し渋り、
そのために地場企業にお金が流れていきません。
しかし、余っている預金をファンドにして、
新しい中小企業に直接にリスクをとらせるという形で、
お金を中小企業に供給することができます。
地域の金融機関は色々なネットワークや情報を持っています。
ファンドという工夫で、人的資源と金融資源を上手に組み合わせる役割を、
地域の金融機関が果たし、地域が再び元気になっていく可能性も生まれてきます。


■地域ファンドの創設
日本にはなかなか馴染まないファンドですが、
これは積極的に導入していくべきものです。
日本には、銀行自体がリスクをとれないものの、
将来性のある中小企業は数多く存在しています。

一方で、金利のほとんどつかない預金が地域の金融機関に預けられています。
地域の人が自分たちの子供の働き場所となるような中小企業に、
お金を回していくためにも、ファンドはこれから地域にとって非常に重要となってきます。
九州のファンドを北海道のファンドと一緒にして、
更に大きなファンドにしていくということも可能性としては考えられます。

当然、金融機関はその内のいくらかのリスクをとることで、
ファンドに投資する預金者に全てのリスクを丸投げするということをなくさなければなりません。

そのため、金融の専門家を集めて、
十分に検討した上でファンドを作っていく必要があります。
資金調達のイノベーションともいえますが、
地方経済が発展していく見込みは十分にあります。
そしてこの中で地域の金融機関が、
様々な情報や取引の結節点として、
非常に重要な役割を担うことになるのではないかと思います。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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