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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 雇用と雇用保険 (財務戦略/村藤 功)

雇用と雇用保険 (財務戦略/村藤 功)

11/01/14

2010年は年間を通して景気回復が厳しい状況が続きましたが、
今回はその中で大きな問題となっている雇用の現状についてお話ししていきます。


■失業率の悪化
2008年秋のリーマンショックにより、
金融だけではなく実態経済も落ち込み需要も減少してしまいました。
そのため、工場で製品を生産しても誰も購入しなくなり、
結果として企業は商品を安売りするという戦略をとりました。

一方で、従業員の雇い止めも行い、2009年7月の失業率は過去最悪の5.7%となりました。
また、新規採用も控えているという状況が続いており、大学生の雇用もかなり落ち込んでいます。
2010年10月1日時点の大学生の就職内定率は57.6%となり、
調査開始以来最低を記録しました。
50社、100社と就活を続けていくうちにモチベーションも薄れ、
フリーターや派遣社員などの非正規社員になると、
景気回復後も正社員としては雇われずに、
結果としてフリーターや派遣社員を続けることになってしまいます。
そうなると、所得も低いままで結婚も出来ず、この問題もいまや社会問題となっています。


■雇用支援の政策
厚生労働省は新卒者の就職を後押しするために、
2011年度から新卒者を試験的に雇う企業に、
助成金を出す新卒者体験雇用事業を強化します。
現在の対象者は年2400人で、それを2011年度から1万人超に拡大する予定ですが、
数としては全く足りていません。
しかも、企業側に雇用の義務はなく、その後正社員になるのは3割程度で、
この方法で対策になるのかといえば怪しいところです。

日本でも一時、ヨーロッパのワークシェアリングが話題となりましたが、
金融危機後の2009年春には休業や残業削減などの日本型ワークシェアリング支援のために、
政府が休業手当の一部を支援する雇用調整助成金の拡充をおこないました。
これにより雇用調整助成金は2009年度予算で当初580億円だったものが、
4、5000億円積み増しされました。

また、失業手当の切れた長期失業者などを対象として、
職業訓練期間中の生活費として月10万円支給する求職者支援制度があります。
しかし、厚生労働省が天下り組織を作りたいがために、
職業訓練施設を作っているのではないかという見方もあり、
職業訓練に対しては疑問の声も出ています。
失業手当が切れ、一気に生活保護までいってしまうということは問題です。
また、働ける若い人が仕事をせずに生活保護を受給しているということでは困ります。
もともと、失業手当が切れて生活保護にいく前に、
出来るだけ支援して労働市場に戻ってもらう制度ですから、
実際に職が見つかるということであれば、
年間約2000億円の財源が必要ですが安いものではないかと思います。


■業界別の雇用創出
また、業界別で雇用創出のためのプログラムが作成されています。
例えば、給料が安く人手が薄くなっている介護分野では、
人手を増やすために「介護福祉士」だとか、
ホームヘルパー2級だとかの資格を取りやすくして雇用の拡大をはかっています。
介護のような成長分野が拡大して従事する人が増えるというのは重要なことですが、
この政策が本当にその人たちのためのものなのか、
資格を増やして厚生労働省の仕事や天下り先を増やしているだけなのか、少々疑問です。


■雇用保険
2011年度より雇用保険の国の負担率を、
現行の13.75%から約2倍の25%に引き上げることが決まっていました。
しかし、財源の約2000億円が確保できないということで、
2010年11月末に引き上げは見送られてしまいました。

とりあえずは、失業保険の支払いに不足すれば、
現在4.2兆円ほどある雇用保険の特別会計の積立金を取り崩して対応する予定ですが、
積立金にも限りがあります。
そのため、雇用保険の今後についてはよく分からないという状況ですが、
あと1、2年はなかなか景気も回復しないのではないかと思います。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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