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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 顧客満足を考える② (マーケティング/高橋 幸夫)

顧客満足を考える② (マーケティング/高橋 幸夫)

11/01/11

前回は、顧客満足とはなにかを関係する理論の紹介と共に考えました。
今回は、顧客満足を実践するマネジメント手法の1つである、
CRM(Customer Relationship Management)手法の変遷をたどってみたいと思います。


■CRMとは
CRMとは商品やサービスを提供する企業が顧客との間に、
長期的かつ継続的で「親密な信頼関係」(リレーションシップ)を構築し、
その価値と効果を最大化することで、
顧客のベネフィットと企業のプロフィットを向上させることを目指す総合的な経営手法のことです。

CRMは時代に応じて、さまざまな形で説明、実践されてきました。

CRMは言葉でいうと非常に分かりにくいところがありますが、
このコンセプトを説明する際、例としてよく“街のお店屋さん”が持ち出されます。
近所の理想的な八百屋・魚屋、酒屋などが顧客の好みや状態をきちんと把握し、
状況に合わせて気を利かせてくれるように、企業も顧客の好みやニーズを正確に把握・理解し、
それに応じて的確な商品・サービス提供を行う、
言えば、「かゆい所に手が届くサービス」、というものです。

ここには親切心やホスピタリティの発想はありますが、マーケティングの視点はありません。
これは顧客を操作するという意味でのマーケティングはないということです。
接客としてのCRMといえるかもしれません。


■顧客の分析と育成
CRMが騒がれ始めた1990年代後半には「顧客ごとに異なる好みやニーズに合わせて、
それぞれ別々の商品やサービス、情報の提供を行うことで、
顧客満足を高め、カスタマ・ロイヤリティを最大化し、
顧客拡大および顧客維持を図る」という“個別対応の高度化”という面が強調されました。
これには「One to Oneマーケティング」
「パーミッション・マーケティング」などのコンセプトが影響していると考えられます。

“すべての顧客”に対する顧客満足向上促進は効率的ではないという反省から、
“優良顧客の差別化”としてのCRMが登場しました。
これは、顧客データベースを分析して優良顧客を分析・抽出し、
キャンペーンなどを通じて潜在的な優良顧客を優良顧客に育てるといった、
マーケティング的視点が強いものです。
このマーケティング的CRMは“顧客囲い込み”の発想が強く、
「優良顧客が誰だか分からない」「新規顧客の中で優良顧客になり得る人が分からない」という、
マスマーケティング的プロモーションが必要な初期状態から、
段階を踏んで顧客を分析・セグメントして優良顧客を選り分け、
それを維持することでLTV(Life Time Value: 生涯顧客価値)の最大化を図るというものです。


■顧客セールス支援の側面
CRMを“セールス、マーケティング、カスタマサービスなど、
顧客にかかわりのある部門間で情報を横断的に共有しチグハグな顧客対応を避け、
シームレスで効果的な顧客アプローチを目指すこと”と説明される場合があります。
これはセールス支援に限定されていたSFA(Sales Force Automation: 営業支援システム)を、
顧客対応プロセス全体に広げたものといえるでしょう。

さらに、CRMを“顧客からの要望やクレームを商品企画や設計、
生産計画にまで生かす”というコンセプトにまで拡張する方向もあります。
すなわち、CRMやコンカレントエンジニアリングに接続されるフロントシステムとしての位置付けです。

ここでは顧客や市場からのさまざまな情報を取り込み、
その情報を分析・利用するための経営戦略システムの一部であり、
顧客起点経営を出発点となる仕組みを指しています。


■CMRの登場
2000年代後半以降現在では、「CRMは死んだ」といった言説が登場してきており、
CRMのアンチテーゼとしてCMR(Customer Managed Relationships)が取りざたされています。
従来のCRMは、顧客の購買活動などから嗜好やニーズを収集・記録・管理し、
それを有効活用することで顧客満足を実現しようという“テクニック”でした。
しかし、その顧客ニーズはあくまでも企業側での推測であり、
場合によっては企業本位の提案に過ぎません。

また、CRMは“企業が顧客情報を管理する”ものですが、
企業に管理されたいと思っている顧客はいません。
そこで顧客自身に自社とのリレーションシップや、
コミュニケーションの方法や限度を決定する権限を付与してその管理を任せ、
顧客主導型のリレーションシップ構築を目指す、
すなわち“顧客が自分の情報を管理”できるようにしようというのがCMRです。

さらに最近では、消費者発言・顧客対話の基盤としてのWeb2.0、
さらには3.0テクノロジーが台頭・普及するにつれて、
企業と顧客のリレーションシップの主導権は、好むと好まざるとにかかわらず、
顧客側にシフトするという指摘もされるようになっています。
このパラダイムでは、企業は顧客の声や顧客経験、
顧客協働を重視したビジネスを実施せざるを得ず、まさにCMRへの対応が必要だとされています。

分野: 高橋幸夫助教 |スピーカー:

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