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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 顧客満足を考える① (マーケティング/高橋 幸夫)

顧客満足を考える① (マーケティング/高橋 幸夫)

11/01/10

先日、私が福岡市郊外の大型ショッピングセンターに行った時のことです。
食品売り場を歩いていると、前からカートを押したご婦人が来たので、
商品が並んでいる棚の方へ体を避けました。
そのご婦人が通り過ぎたのを確かめて歩を進めた途端、
私の革製の衣服の左袖が破れてしまいました。
よく見てみると商品陳列用の什器の角の部分が壊れて鋭く先が尖っており、
そこに袖を引っ掛かってしまったのです。

早速、近くにいた店員さんに状況を伝えたところ、クレーマーだと思われたのか、
警備員を連れた顧客担当の方がやって来て、
道を歩いていて電柱にぶつかったとしてもそれは電力会社の過失ではないという例を挙げて、
服が破けたのは私の全面的な過失だと言われてしまいました。

それから更にやり取りがありましたが、
結果としてはショッピングセンター側が服を弁償してくれました。
ただ、そのショッピングセンターの他のスペースにある什器を見てみると、
相当数の什器が破損しており危ない状況になっていました。
子どもが走り回って棚にぶつかったりした場合、大変危険ではないかと思います。

このようなことが最近あったので、
顧客満足をもう一度考えてみようと思い今回のテーマを選んでみました。


■顧客満足とは何か
顧客満足は一般に、顧客が持っている事前期待や顕在的、
潜在的なニーズあるいは要求事項が、
提供された製品・サービスの効用によって満たされること、
またはその充足の程度といわれています。

1987年に米国で創設された国家品質賞において、
中心的な評価基準として取り入れられたことから広く知られるようになり、
1980年代末から1990年代半ばにかけて、
日本でも多くの企業が理念やスローガンとして「顧客満足経営」を掲げ、
ブームの様相を呈しました。

日本にも経営品質賞という賞がありますが、
ここではアセスメント項目として「顧客満足の明確化」が挙げられ、
ここで「顧客満足とは、顧客に期待以上の価値が提供されたときの、
顧客の心理状況をいう」と定義されています。

顧客満足の原点としては、最近ブームになっている、
ピーター・ドラッカーの著書『The Practice of Management: 現代の経営』(1954年)、
マーケティング研究の泰斗セオドア・レビットの『Innovation in Marketing』の中の論文
「Marketing Myopia」(1960年)などを挙げることができます。
キーコンセプトとして注目されるようになったのは、
公民権運動が盛んとなった1960年代の消費者運動での、
製品に満足しない消費者の登場などを受けて、
それまでの差別化戦略の行き詰まりが感じられるようになってきたマーケティング分野において、
1970年代の終わりごろからだといわれています。


■顧客満足の形成過程
一般に顧客満足は、顧客が製品やサービスの購買・使用などの体験を通じて形成される、
個人の心情的評価としてとらえられています。
この意味での顧客満足の形成に関して現在、
最も支配的な理論はリチャード・オリバー(Richard L. Oliver)によって提示された
「期待不確認モデル(expectation - disconfirmation model)」です。

簡単にいえば「期待(E: expectation)」と「パフォーマンス(P)」を比較し、
「E>P」であれば不満、「E

多くの顧客満足度調査は、この理論に基づいて行われているといわれています。
ただしISO9000でいう顧客満足は、要求事項を過不足なく達成した状態、
すなわち「E=P」のことを満足(satisfaction)としています。
これは英語のsatisfactionの原義がそのようなニュアンスであること、
そして顧客が“個人”ではなく“企業”であることを前提としているためと考えられます。

また近年は、「E つまり顧客が期待する以上の品質やレベルの製品やサービスを提供することで、
顧客に予想外の歓びや感動を与えることと区別することもあります。
企業にとっては、
自社が提供する商品・サービスのパフォーマンスの品質を高めていくことも大切ですが、
顧客の事前期待を適切にコントロールすることも重要です。


■「本質機能」と「表層機能」
また企業が提供する製品・サービスには「本質機能」と「表層機能」があり、
双方が期待に一致したときに顧客は満足するという理論もあります。

ジョン・スワン=リンダ・コームズ(1976年)によれば、
本質機能とは顧客にとって不可欠な機能であり、
一定の品質レベルをクリアしていることが必要となるのです。
例えば“自動車が走る”とか、“ホテルに宿泊できる”などのことで、
これはあって当たり前のものであって、
過剰なサービスを提供しても顧客満足度が大きくならない代わりに、
機能が水準以下になると顧客満足が急低下します。

一方、「表層機能」は本質機能を補完したり、
付加価値を加えたりするもので、“自動車の燃費が優れている”、
“ホテルの従業員が親切”などが該当します。

本質機能が水準以上であるという条件を満たしている限り、
表層機能の品質レベルが向上するに従い、
顧客満足も向上することが期待されます。

冒頭の服が破れた話に戻れば、いま流通業界、小売業界は厳しい状況が続いています。
あの手この手と新手を考えているようですが、顧客の支持を得るには、
付加価値も重要ですが地道に本質機能を充実させることも重要だと考えます。

分野: 高橋幸夫助教 |スピーカー:

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