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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 排出量取引とグリーンインダストリー (財務戦略/村藤 功)

排出量取引とグリーンインダストリー (財務戦略/村藤 功)

11/01/07

京都議定書の後の2013年からの枠組について、
2010年末にメキシコのカンクンで開かれたCOP16で議論されましたが合意に至らず、
2011年末に南アフリカのダーバンで開かれるCOP17に先送りされました。
しかし、ポスト京都の枠組が決まらない場合には、
削減の義務もなくなり排出権の価値もなくなってしまうかもしれません。
今回は温暖化ガス削減を取り巻く現状について、
排出量取引とグリーンインダストリーを中心にお話ししていきます。


■海外の排出量取引
温暖化ガスの二大排出国である中国やアメリカを抜きにして、
ポスト京都を作りたくないというのが日本の立場ですが、
アメリカと中国は削減義務の受け入れを拒否しており、
立場を変える可能性もほとんどありません。
一方、排出権取引を先んじて導入したヨーロッパにとっては、
せっかく始めた排出権取引の価値がなくなってしまうことは大問題です。
そのため、とりあえず京都議定書を延長しようという主張が強くなってきており、
日本の立場を支持する国は多くありません。

アメリカはオバマ大統領が就任すれば、
環境問題に積極的に取り組むようになるのではないかと思われていました。
しかし、共和党の反対で、温暖化ガスの排出削減目標や、
排出権取引導入を除いてエネルギー法案を成立させる動きになってきました。

カナダもアメリカの様子見をしているという状況で、
様子見が増加しており、どうなるかさっぱり分からなくなってきています。
EUの排出権取引や鳩山前首相のCO2の25%削減は先走りではなかったのかと、
色々な話が出てきており、
一種の流行だったのではないかと思っている人も、
最近増えてきているのではないかとも思えてきます。


■日本による取り組みの現状
国内では環境省や経産省がまだ対立していますが、
環境省は2010年7月に、国内削減予定を15%、
海外からの排出権取引による分を10%とする、
2020年までの25%削減目標の内訳をはじめて示しました。
国内15%の内訳として、家庭部門では住宅の断熱性能の向上、
省エネ家電やエコカーの普及、産業部門では高性能工業炉の導入、
太陽光発電の導入等を挙げられています。

しかし、エネルギーに関する基本的な計画については、
地球温暖化対策基本法案が成立しておらず、
環境省が大枠を示すのみにとどまっており、
国レベルでどのような制度を作るかはまだ決まっていません。

一方で、東京都は改正環境確保条例を2010年4月から施行しており、地球温暖化対策として、
エネルギー消費量が年1500キロリットル以上の大規模ビルや工場などを対象に、
二酸化炭素の排出量削減を義務付けています。
このように、国と自治体で取り組みに差があり、
両者の関係をどうするかも決まっていないため、
民間企業としても非常に困った状況になっています。


■グリーンインダストリー
また、経済産業省はエネルギー政策の指針となるエネルギー基本計画をまとめています。
ここでは、家庭部門で排出する二酸化炭素を、
2030年までに半分に削減するということが示されていますが、問題はその方法です。

そもそも2008年に家庭が排出した温暖化ガスは1990年に比べて34%増加しています。
25%削減という目標達成のためには、
2030年までの22年間で半分近くの温暖化ガスを削減しないといけないため、
家庭には相当の努力が求められます。

政府も補助金などの支援策を講じて、
電力やガスを効率的に使用するスマートメーターを家庭に導入し、
次世代送電網であるスマートグリッドの構築を急ぐ予定です。

スマートグリッドについてはアメリカや日本で実験が行われていますが、
これには膨大な投資が必要ですし、実際に効率的になるかどうかも怪しいといわれています。
特に欧米のようにもともと送電網があり、これを再構築しなければならない場合、
消費者にとって電力料金が下がるわけではなく、
電力料金は投資した分だけ上がる可能性もあります。

しかし、送電網の整備をこれから進める新興国では、
次世代送電網を導入する余地は十分にあります。
東芝、日立などは新興国のスマートグリッド市場に参入し、
送電網の信頼性で勝負しようとしているともいわれています。
結果として、先進国ではスマートグリッドが導入されずに、
新興国ではスマートグリッド、スマートメーターが導入されるということになるかもしれません。

また、2011年10月から環境税の導入が決定されています。
これは新しく環境税を設けるということではなく、
従来の石油税や石炭税を現行の1.5倍にし、増加分を環境税に位置づけるものです。
初年度で400億円、2012年度から4年間かけて段階的に増税し、
最終的に2400億円の税収を確保する見込みです。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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