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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 北朝鮮の韓国砲撃 (財務戦略/村藤 功)

北朝鮮の韓国砲撃 (財務戦略/村藤 功)

10/12/31

やはり2010年を振り返ったときの十大ニュースの一つに、
北朝鮮による韓国砲撃があげられるのではないかと思います。
本年最後の放送となる今回は、この問題の経緯やその後の対応についてお話ししていきます。


■砲撃の経緯
北朝鮮は2010年11月23日に、北朝鮮の海岸から延坪島(ヨンピョンド)を砲撃しました。
北朝鮮の砲撃は170発にのぼり、韓国軍は応射して約80発を打ち砲撃戦となりましたが、
砲撃により韓国人兵士2人、民間人2人の死者が出てしまいました。

延坪島は韓国の国連軍が設定した北方限界線(NLL: Northern Limit Line)と、
北朝鮮が1999年から一方的に主張しはじめた海上軍事境界線の間にあり、
境界線でも双方の主張は食い違っています。
韓国とアメリカが11月28日から予定していた軍事演習で
挑発しているということが北朝鮮の言い分です。
北朝鮮が設定した国境ラインを越えてくるのであれば、
北朝鮮もそれなりの対応を取るということで砲撃したと考えられます。
また、金正日の後継者で三男の金正恩(ジョンウン)の、
体制固めを狙ったものだという解釈もあります。

しかし、北朝鮮の今回の行動は民間人まで巻き込んでおり、容認できるものではありません。
砲撃後の韓国とアメリカの合同演習は11月28日から12月1日まで行われましたが、
12月3日からは日本とアメリカの間で、沖縄東方海域や日本海地域にて、
米韓合同演習の6倍の規模で合同演習が開催されました。
日本海地域は北朝鮮のミサイル対処訓練がメインのようですが、沖縄のほうは尖閣諸島など、
海洋進出が著しい中国も想定して行われているのではないかという話も出ています。

日本もこの問題について真剣に考えなければなりません。
しかし、北朝鮮からミサイルが飛んで来るということについて現実感を持って考えておらず、
日本は平和ボケしているのではないかという印象を受けます。
東京や福岡は北朝鮮のミサイルの射程距離に入っているため攻撃を受ける可能性もあります。
その場合に、どう対応するのか決められているのかさえも怪しいところです。


■砲撃後の対応
日米韓3カ国の外相は12月6日に北朝鮮による延坪島砲撃やウラン濃縮の動きなど、
一連の動きを非難する共同声明を発表しています。
また、3カ国は来た朝鮮問題に結束して対応する方針で一致しており、
北朝鮮に影響力を持つ中国が北朝鮮の挑発停止に大きな役割を果たすように求めています。
従来、ロシアと中国の両国は北朝鮮を擁護するような立場でしたが、
今回ロシアは北朝鮮にかなり批判的です。
中国でも今回の北朝鮮の韓国砲撃については国内で両論あるようで揉めているようですが、
中国は未だに北朝鮮をバックアップしているようにみえます。
中国が北朝鮮をおとなしくさせる上で積極的な役割を果かどうか少し怪しいところです。

また、この中国の動揺を背景に、アメリカが北朝鮮だけではなく、中国に関する情報の収集や、
中国軍を想定した演習を行おうとしているのではないかという疑いもあります。
しかし、中国とアメリカの紛争に日本が関わった場合に一番の被害を受けるのは日本です。
ここは日本としても米中の争いに巻き込まれないように気をつけなければなりません。

中国は砲撃後の12月上旬になっても対話重視の姿勢を崩さず、
核問題をめぐる6カ国協議の早期開催を呼びかけていましたが、
日米韓は協議には消極的な立場を取りました。

今回の砲撃では関係のない民間人も死亡していますから、
ヨーロッパも北朝鮮を非難し、国連安全保障理事会の緊急会合が、
砲撃から6日後の11月26日に開かれました。
ここでは日米が北朝鮮を非難する国連決議を採択しようとしましたが、
中国は採択に反対し、韓国も中国の反対を懸念して慎重になったようです。
そういう意味では、この問題について国連は紛争を解決する役割を果たせていません。


■平和ボケの日本
今回の事件で恐ろしいところは、実際に砲弾が飛び交っていることもそうですが、
その後に日米韓で合同演習を行っており、
実際に何が起こっても不思議ではないという雰囲気になっているという点です。

これは日本にとっては大変な問題です。
日本は完全に平和ボケしているため、本当に戦争が起きるとは誰も真面目に考えていません。
日本が砲撃された場合に、ミサイルを撃ち落とすということについて迷う人はいないでしょうが、
ミサイル基地に撃ち返すとなるときちんとした合意はできていません。
また、日本と同盟関係にあるアメリカが戦争を始めた場合に、
一緒に戦争をすると腹をくくっている日本人はほとんどいません。
特に北朝鮮だけならばともかく、中国まで出てきた際に、
そこに巻き込まれることは大多数の日本人ならば嫌がるのではないかと思います。

日本の防衛をどうするのか考えていかなければならないところですが、
民主党は自民党を引き下ろすことだけで頭がいっぱいで、
外交や防衛についてはほとんど考えていなかったのではないかと思います。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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