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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 国際物流の環境問題 2 (国際ロジスティクス・国際経営/星野裕志)

国際物流の環境問題 2 (国際ロジスティクス・国際経営/星野裕志)

10/12/29

昨日は輸送機関が世界全体のCO2の排出量の13パーセントを
占めている事実と、その代表的な輸送手段のひとつである船舶輸送については、
様々な環境負荷が指摘されているという話をさせていただきました。
昨日に引き続いて、航空および陸上輸送について考えてみたいと思います。


■航空機の環境負荷

航空機の環境負荷といえば、やはり排気ガスからの
CO2、Sox、NOxの排出と騒音問題が代表的な要因として挙げられます。
輸送量においては、船舶に比べてはるかに少ない航空機の
CO2の排出レベルは、世界で船舶全体の4倍近くになります。
また福岡空港のように夜間や早朝の離発着が制限されていても、
空港周辺の騒音の生活への影響は、現在でも少なからずあることから、
なかなか24時間空港が増えないことからでも明らかです。
それでも民生用のジェット機が実用化されて約50年の間に、
燃費とCO2排出量は初期の航空機から約7割が削減され、
騒音のレベルは9割削減されているそうです。

1970年代に実用化された超音速旅客機のコンコルドなどは、
離発着時の騒音、超音速飛行によって発生するソニック・ブームによって
地上に被害が出ることや、高空での排気ガスがオゾン層に
影響を与える可能性があり、結局運航が終了しました。
やはり環境への負荷の軽減なくして、
どんな革新的な技術も存続は難しいということでしょうか。

航空機メーカーでは、エンジンや機体や翼の改良により、
騒音や排気の軽減を進めたり、航空会社が新たな飛行方法の
開発によって、さらなる環境負荷の軽減に取り組んでいます。


■陸上交通機関の環境負荷

船舶と航空の課題について説明をしてきましたが、輸送に関わる
最大の問題は、やはり自動車やトラックなどの陸上交通機関です。
CO2の排出量で言えば、貨物自動車は1996年をピークに、
自家用車は2001年をピークに減少傾向にはあるものの、
輸送機関全体の87パーセントを占める車両の問題は、大変に深刻な課題です。
自家用車でいえば、急速にハイブリッドや電気自動車の技術が
進行しているとはいえ、主体は従来型のガソリン・エンジンであり、
なかなか抜本的な問題の解決は困難です。

一方で、貨物輸送であれば、トラックに代えて船舶や貨物列車などの
大量輸送機関を活用した貨物輸送に転換する「モーダルシフト」
という考え方が、運輸省の時代から取り組まれてきました。

実際に、大量輸送機関の活用を通じて、CO2排出量の抑制だけではなく、
単位あたりのエネルギー消費効率の向上や交通渋滞の解消と
交通事故の防止効果があるだけではなく、トラック・ドライバーの
労働問題の解消にも繋がることが期待されてきました。
しかし、燃料代の高騰や高速道路の割引制度の導入で、
フェリー会社の事業撤退などが相次ぐと、受け皿となる
大量輸送機関にも問題がでてきています。


■進まない対策

このような状況で、CO2排出において全体の高い比率を占める自動車の対策が
必ずしも進んでいるとはいえず、今後の動向が気になります。
確かに私達の生活は、小回りの利くトラックなどの活用で非常に便利になっています。
品切れを起こさずいつでも欲しいものが手に入るコンビニは、
トラックによる高頻度の配送体制に支えられていますし、
いつでも欲しいときにデリバリーを受けられる宅配便は大変に便利です。

一度味わった便利さをなかなか捨てることはできませんが、
これらのサービスが大変な環境負荷と引き換えに得られていると考えると、
やはりもういちど環境と必要性のバランスのあり方を考えてみるべきかもしれません。
世界の共通課題である地球温暖化の防止は、容易には
達成できないことを認識しなくてはいけないように思います。

分野: 星野裕志教授 |スピーカー:

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