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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 医療改革 (財務戦略/村藤 功)

医療改革 (財務戦略/村藤 功)

10/12/24

厚生労働省は全国民を国民健康保険に加入させた上で医療サービスを提供していますが、
厚生労働省の昔ながらの考えが通用する時代でもありません。
これからどのように国民に対する医療を設定していくのか、
厚生労働省はあるべき医療の姿を考え直さなければならない時期に来ています。


■医療の規制緩和
現状では医療や健康保険を官や官が規制する制度で独占し、
民や一般株式会社の参入を認めていません。
しかし、医療法人でなく株式会社で病院を行ってもいいはずですし、
厚生労働省にいいように負担をむしりとられない
民間の健康保険があってよいのではないかと思います。

たしかに民間や大企業にも健康保険組合はありますが、
高齢者を中心として保険料を負担する人以外に使われてしまう保険料率は40%以上にのぼり、
それはもはや保険ではありません。
これから医療が成長するのは分かりきっていることですから、
官で全部やらずに規制緩和を行い、
株式会社による病院や官に不当に介入されない民間の健康保険を自由化し、
医療サービスの発展を支えていくべきだと私は思っています。


■病院と診療所の役割分担
現在、健康保険証を持つ人の中に、
少し体調が悪いだけでも近くの家庭医より、
検査体制の整っている大病院に行った方が安心だという思い込みを持つ人が増えてきています。
この結果、病院では診療所でも対応可能な患者の対応に追われてしまい、
専門医療が必要な患者に密度の高い医療を提供できないという状況になりつつあります。
病院と診療所の役割を分け、家庭医がまずは広い知識で患者に対応し、
専門的診療が必要な場合には病院に紹介状を書くという仕組みを作らなければ、
いざというときに必要な専門医療を受けられなくなってしまいます。


■公立病院問題
日本には都道府県立236、市町村立702の計938の公立病院があり、
毎年のように補助金を受けていますが、累損は2兆1000億円にのぼります。
しかし、2006年の医療法改正により創設された社会医療法人の2009年度決算では、
その業績は良好なもので、同じ病院であるにもかかわらず、
公立病院は赤字で社会医療法人は黒字と明暗が分かれています。

これについて、キヤノングローバル戦略研究所主任研究員の松山氏は、
公立病院が地域の医療ニーズを無視して過剰な設備投資を行い、
医療ニーズの変化に対応できないため赤字に陥り、
医療法人として運営していけば問題ないのではないかと指摘しています。


■病院と介護施設の分離
そもそも、公立病院も含めた日本の病院が抱える最大の問題の1つに、
介護施設と病院がきちんと役割分担されていないというものがあります。
このために病気でない高齢者を家族が介護施設の代わりに病院に入院させ、
その結果ベッドが埋まってしまい、
本来必要な患者が入院できないという社会問題にも発展しています。

介護施設に行かなければならない人たちも病院に入院しているという状況になっており、
他の国と比べて日本の入院期間は大変に長いものになっています。
病院としてもそういう患者を追い出すわけにもいかず、
診療の伴わない長期入院のために病院経営が悪化するということが増えています。


■診療報酬改定
診療報酬は2年に1度改訂されますが、1点10円で点数が決まっています。
全体の方針を政府が予算編成過程で決め、
中央社会保険医療協議会(中医協)が、
個別の単価を決めて厚生労働省に答申することになっています。
診療科によって診療報酬が大きく異なるということで、
診療報酬問題は事業仕分けでも議論されましたが、
中医協は議論に不快感を示し大騒ぎとなっていました。

その中医協は2010年2月に、
2010年度の個別診療報酬改定案を当時の長妻厚生労働相に答申し、
医薬品の公定価格が引き下げられ、
また10年ぶりに医師の技術料が引き上げられました。


■高齢者医療
後期高齢者医療制度は、医療給付費の約5割を国費で、
4割を現役世代で、1割を高齢者本人の保険料で賄うともので、
負担の分担でみればそれ程悪い制度ではありません。
しかし、後期高齢者つまり「高齢者」の「後期」という名称が、
該当する年代の人々などから批判を浴び、制度は2012年度で廃止されることになりました。
民主党は後期高齢者制度廃止の立場で2009年の衆議院選に勝利したため、
これを廃止して新医療制度を導入する責任があります。

新制度は、2013年度から導入される予定です。
この制度では後期高齢者と呼ばれていた75歳以上の高齢者は2つに分けられます。

1つが市町村の運営する国民健康保険に入る人たちで、
これに該当する75歳以上の人たちは現在1200万人います。

もう一つが自分の勤め先や扶養している子供が加入する被用者保険、
例えば企業の健康保険組合、公務員の共済組合、
中小企業の協会けんぽにはいる人たちで現在約200万人います。

また、もともと70歳から74歳の人が病院の窓口で払う医療費の負担割合は法律上2割でしたが、
後期高齢者医療制度を導入した時に、高齢者の反発に配慮して2008年度以降1割としていました。
これについて、厚生労働省は後期高齢者制度を廃止して、
高齢者に対する新制度が導入される2013年度以降、
現在の1割から2割に引き上げる方向で検討に入っています。

現在、後期高齢者制度の運営責任は、
都道府県の区域ごとに設立された市町村の広域組合が責任を負っていますが、
国民健康保険は市町村が運営責任を負っています。
これに対して、厚生労働省は国民健康保険の財源悪化を受けて、
運営主体を都道府県に広域化して対応する方針を打ち出しており、
都道府県と厚生労働省で財政負担をめぐって対立が生じているという状況です。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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