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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 法人税と所得税 (財務戦略/村藤 功)

法人税と所得税 (財務戦略/村藤 功)

10/12/10

これまで民主党は、自民党の税制調査会のインナーと呼ばれるベテラン議員が、
実質的に税制を決定していることを批判してきました。
そのため、2009年に民主党が政権を取った時には、政党の調査会をなくして、
税制については政権、政府だけで取り組むという方針を打ち出しました。
ところが、ガソリンの揮発油税をめぐって政府と民主党の間で意見が衝突し、
その際には小沢氏が唐突に党の重点要望を提示して決着しました。
今回は、民主党政権下での法人税と所得税の状況についてお話ししていきます。


■ナフサの免税縮小の検討
2010年は前年の経緯を受けて、
菅首相が党の政策調査会を復活させたことに加えて、
民主党でも税制について検討した上で、
政府が税制改正する時に党としても政府を支援していくために、
税制改正プロジェクトチームが立ち上げられました。
ところが、石油化学製品の原料となるナフサ免税の恒久化というところで、
民主党の中で意見が割れてしまいました。
政府税調はナフサの免税について縮小を検討していますが、
民主党からは政府が財務省の言いなりになっているのではないかという声も上がっています。

このナフサ免税については、世界的にも免税が通常であることから、
石油化学製品業界は免税の見直しに反対しています。
免税がなくなることで日本から海外へ石油化学製品業界が拠点を移してしまい、
約70万人の雇用が無くなりかねないということで騒ぎになっています。


■法人税の状況
日本の法人税率が高過ぎるということは、自民党の頃から延々と議論されてきました。
日本の法人税の実効税率は約40%にのぼります。
OECD加盟国30ヵ国平均が26.3%ですから、
国際水準と比較しても約15%も高い税率を日本は課していることになります。

しかし、法人税を引き下げるとなると新たな財源が必要となってきます。
もともと、財務省は消費税を上げようと考えていましたが、
2010年7月の参院選で民主党が大敗してしまい、
消費税の増税について議論できない状況となってしまいました。
そのため、ナフサ免税の見直しや、欠損金の繰越の制限、加速度償却の見直しなど、
財務省としては色々と手を尽くして財源の確保に努めているという状況です。


■所得税の現状
所得税による税収は、平成21年度が12.9兆円、
平成22年度の見込みが12.6兆円と、約13兆円に上ります。
最高税率は昭和61年当時の70%ですが、
あまりに高すぎるということで引き下げられ、現在は40%になっています。

この現在の最高税率40%に住民税を加えて、
所得の50%を税として持って行かれる人もいますが、
納税者の8割は5%から10%という比較的低い税率でしか税を支払っていません。
そもそも不公平なのではないかという話もありますが、
弱いものの味方という立場をとっている以上、
民主党は金持ちからは税をしっかり取るという方針です。


■控除の見直し
民主党の取れるところからとろうとする考え方も問題ですが、
民主党の背後にいる財務省が取れるものは全て取ってしまおうと考えていることも問題です。
現在、配偶者の年間所得が38万円以下の場合、
課税所得から38万円を控除することが認められていますが、
これを年間所得1000万円以下の給与所得者に制限しようという案を民主党は出しています。

給与所得控除についても、
現行では1000万円を越える年収部分については5%だけ課税所得から控除できますが、
2000万円を超える部分については控除の対象外とすることが検討されています。

また、23歳から69歳の扶養家族がいる家庭では、
これまで所得税38万円や住民税33万円が成年扶養控除として所得控除されてきました。
この成年扶養控除については、
2009年に年収が570万円以下の扶養家族に控除対象を限定するという案が検討されましたが、
連立を組んでいた社民党が反対したため見送られました。
しかし、社民党との連立をその後に解消したため、これについても再検討の動きが出ています。

税制の話は損得に直接関わってくる話ですので、様々な対立が生まれます。
政党間での対立はよくみられますが、
例えば財務省と旧大蔵省から分かれて設立された金融庁という、
官僚同士の間でも意見の違いがあります。
現在、証券優遇税制では、上場株式からの配当や譲渡所得に対する課税が、
本来の20%が10%に軽減されていますが、2011年末で期限を迎えます。
これについて、金融庁としては株の取引を推進するために、
証券優遇税制を2012年以降も延長するように要望しています。
しかし、財務省は証券優遇税制の廃止を主張しています。
このように、元大蔵省同士での内輪もめが、証券優遇税制については起こっているという状況です。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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