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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 国際財務報告基準(IFRS)について① (財務会計/岩崎 勇)

国際財務報告基準(IFRS)について① (財務会計/岩崎 勇)

10/12/14

この番組には初めての出演となりますが、
私は2003年の九州大学ビジネススクール発足時より財務会計等の講義を担当しています。
今回と次回の二回に分けて、近年その重要性が叫ばれている
国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards: IFRS)
についてお話ししていきます。


■日本でのIFRS採用
まず、日本がIFRSを採用するかどうかということが問題となっています。
このIFRSの強制適用時期については2012年度に決定され、
2015年からIFRSが日本の上場企業の連結財務諸表に強制適用される可能性があります。
2009年から日本企業及び海外企業でもIFRSの任意での適用が可能となっており、

日本では2010年3月期の決算で日本電波工業がIFRSを任意適用して第1号となりました。
今のところ、IFRSを任意適用しているのは日本電波工業の一社のみです。
そのため、IFRSの具体的な評価についてはもう少し様子をみる必要がありますが、
これからグローバルに展開していく企業にとっては、IFRSは重要になってきます。


■IFRS財団の構成
次に、このIFRSは、IFRS財団(IFRS Foundation: IFRSF)によって設定・監督されています。
財団は、評議会(Trustees)、
国際会計基準審議会(International Accounting Standards Board: IASB)、
IFRS諮問会議(IFRS Advisory Council: IFRSAC)、
IFRS解釈指針委員会(IFRS Interpretations Committee: IFRSIC)の、
4つの主要な組織から構成されています。

その中でも最上位に位置する評議会では、会計基準を作成するIASBや、
IFRSAC、IFRSICのメンバーの選任やIASBの監視・監督を行っています。
そして、IFRSACはIASBが会計基準を作成する際に助言を行い、
さらに、IASBはIFRSの作成を行います。
また、IFRSICではIASBが作成したIFRSの解釈を行い、解釈指針を作成します。


■IASBの沿革
そして、IFRSの設定を行う機関であるIASBは、
1973年にアメリカや日本、イギリスなど10ヵ国の会計士団体が民間レベルで設立した、
国際会計基準委員会(IAS Committee :IASC)がそもそもの始まりです。
IASCは主に各国の会計制度について研究し、それらを調和させた会計基準を作成していました。
しかし、民間の団体であり、強制力もなかったため、
設立から1980年代の前半までの第1期にはほとんど注目されませんでした。
この時期に出されている基準自体も、現在のものと比べても数十ページと非常に薄いものです。

ところが、1980年代後半から2000年の第2期になると、
世界各国の証券監督当局で構成される公的な機関である、
証券監督者国際機構(International Organization of Securities Commissions: IOSCO)が、
オブザーバーに迎えられました。
この時期には、IASCで質の高い基準が設定されれば、
東京証券取引所やニューヨーク証券取引所、
あるいはロンドンの証券取引所での認可を行うという方針をIOSCOが示しました。
そのため、IASCはコア・スタンダーズの策定に向けて活動を展開していきました。

2001年以降の第3期になると、IASCはIASBへ組織変更を行い、
新体制の下で国際的に収斂・統一化された会計基準を作成していくことになります。
第3期で特に重要なことは、2005年のEUによるIFRSの採用です。
これにより、EU域内の約7000社にものぼる上場会社の連結財務諸表に、
(EU版)IFRSが強制適用され、一気にIFRSが広まっていきました。

かつてアメリカは、
米国基準を実質的なグローバル・スタンダード化するという戦略をとっていましたが、
2001年のエンロン事件や2002年のワールドコム事件で、
アメリカに対する会計不信が高まってしまいました。
そこで、アメリカでは2002年に会計への信頼性を向上させる目的でSOX法を制定しました。
そして、米国証券取引委員会(Securities and Exchange Commission: SEC)は、
EUのIFRS採用を意識して会計基準の収斂を一層加速させていくために、
外国企業に対して米国基準ではなくIFRSで作成した財務諸表を、
調整表無しで米国側が受け入れるという方針を採りました。


■IFRS採用による影響
最後に、日本がIFRSを採用した場合の主なプラスの面としては以下の4点が挙げられます。
第1に、雑誌や新聞等でも強調されていますが、
海外に子会社等がある場合に日本の本社と海外の子会社で、
同一の会計基準を用いて管理が可能となるということです。
第2に、国内外の投資家が同じ尺度で投資を判断できるようになり、投資しやすくなります。
また第3に、複数の海外市場に同時に上場する場合、
同一の手続きを行えばよいため、上場コストを抑えることができます。
そして第4に、M&A時ののれんの償却が不要となるため、M&Aがしやすくなります。

一方で、IFRS採用のマイナス面として、
導入コストや継続的な運用コストが高額であるということが挙げられます。
また、IFRSでは公正価値会計を重視しているため、
企業業績が大幅に変動して不安定な企業経営に陥るということや、
M&Aを行いやすくなったことで逆に敵対的M&Aの標的となる可能性もあります。
このIFRSの特徴については、次回詳しくお話ししていきます。

分野: 岩崎勇教授 |スピーカー:

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