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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 捜査資料改竄 (財務戦略/村藤 功)

捜査資料改竄 (財務戦略/村藤 功)

10/11/19

厚生労働省の村木局長は、検察のでっち上げにより無実の罪で有罪にされかけました。
悪いことをしている人を暴く正義の味方というのが、
検察に対する国民の認識ではないかと思います。
しかし、不正を追求してきたはずの検察による、
証拠の改竄や真実の隠蔽が相次いで明らかになったことで、
検察に対する信頼は失われてしまいました。
今回は、検察の捜査資料改竄の問題についてお話ししていきます。


■裁判実務とメディア
国民だけでなく、裁判官やメディアまでもがこれまで何となく検察を信頼してきていました。
取り調べ室で作成された自白調書がある一方で、
法廷での無罪の訴えがなされた場合、
裁判官は調書よりも公判で出た証拠を優先するよう刑事訴訟法で規定されています。
しかし、検察官は嘘をつかないだろうという裁判官の認識があったために、
法廷で被告人が「無理に言わされた」といっても、
取調官が「そんな取調べはしていない」といえば裁判官は取調官側に立ち、
有罪の自白調書を採用してきました。

日本では刑事裁判の有罪率は99%にのぼります。
この99%の有罪率を受けて、
「判決が出るまでは無罪の推定」をメディアも無視して、
起訴されただけで犯人扱いをするという報道を続けてきました。

今回の厚生労働省の村木さんの場合でも、
有罪であるかのように当初メディアは報道して、
国民も有罪であると思いこんでいました。
無罪の判決が出た後では、村木さんに対する同情的な報道がなされていますが、
やはりメディアリテラシーの足りないメディアが多いのではないかと思います。

また、これまで検察は録音や録画による取り調べの可視化を拒んできました。
しかし、今回の一件で逮捕された大坪元特捜部長や佐賀元特捜副部長は、
自分たちが起訴される立場になったことで、一転して取り調べの可視化を主張しています。
やはり見られては困るような取調べを回避するために、
取調べの可視化は必要なものではないかと思います。


■資料の改竄
今回の捜査資料改竄事件では、主任検事だった前田恒彦検事が、
フロッピーディスクのデータを意図的に改竄して証拠を隠滅したという容疑で逮捕されました。
改竄については、上司の前大阪地検特捜部長の大坪弘道容疑者や、
前副部長の佐賀元明容疑者も把握しており、前田検事をかばうという行動をとりました。
ところがここで隠そうとしたことは、犯罪ではないものを犯罪にしようとした、
改竄という行為で非常に罪の重いものです。

この問題について、大林検事総長の責任を問う声も出ています。
大林検事総長は前田検事らが逮捕された当時は東京高検の検事長でした。
そのためこの事件に直接は関与していませんが、日本の場合、
意思決定に関わっていなくとも組織の上の人が責任を取るという慣行があります。
そういう意味では、関係のない大林氏も責任をとらされるということになる可能性があります。


■検察の役割
通常、検察は捜査を行いません。
警察が捜査をして、警察が捜査してきたものについて、
容疑者を起訴するかどうかの判断をするのが検察の役割です。

しかし、特捜部の場合は検察官が自ら容疑者を捜査、逮捕する役割を担います。
警察が政治家や商社の捜査をしていても、横槍が入って捜査が止まってしまうかもしれません。
そのような時に特捜が出てきて、自分で捜査して、
悪いものをつるし上げるということをこれまでやってきました。

そのため、国民としては特捜に対して期待感を抱いていましたが、
村木局長の場合では証拠が改竄されていたということで、大騒ぎになりました。

この事件後、検察をどう正していくかとなると難しい部分があります。
関係者はほとんどが責任を取らされていますし、
前田検事も逮捕、起訴されて有罪を認めていますが、
前田検事の上司の大坪前部長と佐賀前副部長は否認しています。

往生際の悪い印象を受けますが、この二人からすると、
あくまでも上司としてかばっただけで逮捕されたことには納得がいかないと考えており、
握り潰そうとしたことに対してあまり罪の意識を感じていないように思われます。
こうなってしまった以上、この二人はやったことを認めない限り許してもらえないと思います。

とはいえ、実際に政治家絡みの巨悪がある以上は、特捜を簡単になくすわけにもいきません。
必要である以上は、やはりでっち上げの特捜では困ります。
でっち上げをしない特捜をきちんと作っていく必要があります。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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