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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 静脈産業の海外展開② (マーケティング/高橋 幸夫)

静脈産業の海外展開② (マーケティング/高橋 幸夫)

10/11/16

前回は、廃棄物・リサイクル事業の海外展開が活発になっているということ、
一方で民間の海外進出には政府の支援も必要ということをお話しました。

あらためて説明しますと、動脈産業、静脈産業とは、
産業を人間の人体の循環システムに例えた言い方です。
製造業を動脈産業、そしてこれらの産業が排出した不要物や、
捨てられた製品をリサイクルする産業を静脈産業と呼んでいます。

今回は静脈産業に関して現在、政府および関連省庁が考えている政策や、
その予算規模についてお話ししていきます。


■政府・関連省庁の政策
政府や関連省庁の取組としては、
日系静脈産業メジャーの育成・海外展開促進事業が挙げられます。
これは、廃棄物処理・リサイクルシステムをパッケージとして海外展開しようというものです。

現在、アジアの途上国では、
急速な経済発展に反して廃棄物の適正処理が追いつかず、環境汚染が懸念される状況にあり、
一部の途上国において不適切な廃棄物処理が行われている例が報告されています。
一方、日本では、これまで廃棄物処理やリサイクルに関わる技術を、
時代の要請に応じて向上させてきており、我が国静脈産業は先進的な技術を有しています。
こうした先進的な我が国静脈産業を、
特に廃棄物の急増が予測されるアジアを視野に海外展開し、
世界規模で環境負荷の低減を実現するとともに、
日本経済の活性化につなげようという政府の考えがあります。

具体的に取り組んでいくためには次の3つが必要になってくると考えられます。
まず、我が国の静脈産業を海外展開するための戦略策定とその促進です。
2つ目が、政府、自治体、事業者が相互に連携しながら、
廃棄物処理・リサイクルシステムをパッケージ化して海外展開することにより、
高い技術をもった先行グループによる我が国静脈産業の海外展開の実績づくりです。
そして3つ目が、先行事例に続き、次世代の海外展開、
静脈メジャーを担う静脈産業の育成支援です。


■事業計画と予算規模
政府は平成23年度の概算予算について、
国債費を除く一般歳出を各省一律で前年度比10%削減し、1兆円超を捻出しました。
この約1兆円は「元気な日本復活特別枠」として、
成長分野に重点配分される財源となっていますが、
この特別枠に対して環境省は「静脈産業の育成・海外展開促進事業」として、
全体で13億円を要求しています。
更に別の予算枠で、環境研究総合推進費というものがあり、
これも加えると合計で27億6000万円強の予算になります。

その事業計画・予算規模は個別にみると、3つの事業プランに大別されます。

1つ目は、静脈産業の戦略的海外展開促進で1400万円が計上されています。
これは有識者、学識経験者、産業界関係者等による戦略会議を設け、
事業者への支援策、などアジアを視野に入れた日系静脈産業の、
より効果的な育成・展開支援のための戦略を策定するものです。

2つ目は、日系静脈産業メジャーの海外展開支援です。
ここでは、日系静脈産業海外展開事業化促進事業などに全体で3億2200万円を、
またこれとは別に別枠予算計上分として、
次世代の廃棄物処理技術開発に14億6200万円を計上しています。

そして3つ目が、次世代の海外展開を担う静脈産業の育成です。
具体的には使用済みの電気、電子機器の回収システム構築といった、
民間企業の新たな循環ビジネスモデルの確立支援に8億700万円が、
他にも日系動脈産業の進出と、それに連動する静脈産業の育成、
支援事業や社会的インセンティブを有する仕組み作りなどに1億5000万円強を要求しています。


■施策の効果と市場の動向
我が国の経験、知見を活用した、アジア諸国における制度構築と事業展開が一体となった、
廃棄物処理・リサイクル実施システムの事業展開の推進手法が具体事例に基づき形成され、
国内における新たな循環ビジネスモデルの確立し、それを展開していくことで、
今後、日本の静脈産業のアジアでの展開が促進されると思います。
これによって、アジアでの循環型社会構築と環境負荷低減への貢献や、
日本経済の活性化が期待されます。

日本国内の廃棄物・リサイクルビジネス市場規模は、
現在の1兆4000億円から2020(平成32)年までに2兆円規模に拡大すると試算されています。
さらに世界市場では人口増などを背景に、
市場規模は2006年の約38兆円から2050年には73兆円へほぼ倍増すると見込まれています。
こうした市場を、ただ単に指をくわえて眺めているのではなく、
積極的に官民あげて海外展開することの意味は非常に大きいと思われます。

分野: 高橋幸夫助教 |スピーカー:

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