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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 静脈産業の海外展開① (マーケティング/高橋 幸夫)

静脈産業の海外展開① (マーケティング/高橋 幸夫)

10/11/15

日本のリサイクル産業、事業者の海外展開、
特にアジア進出の動きが現在活発になっています。
静脈産業の海外展開は、他の資源産業よりも制度的な制約も多く、
またアジア諸国でもその制度基盤が脆弱な国が多いため
「今から進出しても間に合う」と意気込んでいる企業もあります。

環境省は「制度」といったソフトを含む支援で静脈産業のメジャー化に乗り出そうとしています。
また、経済産業省でも自動車リサイクル分野で同様な動きもあります。
この”静脈産業”の海外での展開について、2回に分けてお話ししていきたいと思います。


■静脈産業とは?
“静脈産業”とは少し耳慣れない言葉ですが、
産業を人の身体の血液循環システムに例えた言い方です。
資源を加工して有用な製品、例えば車などの製造業は、栄養素を運ぶ“動脈産業”といいます。
これに対して、これらの産業が排出した不要物や捨てられた製品を集めて、
有用物質を取り出し、リサイクルする産業を、静脈に例えています。

20世紀は大量生産、大量廃棄の動脈産業の時代でしたが、
21世紀は、電化製品など使用済み製品からレアメタルなど有用金属を取り出し、
再利用するといった“静脈産業”の時代といわれています。
そして、現在、日本の静脈産業が、アジアで海外展開に打って出ています。


■日本の状況
日本では、循環型社会形成推進基本法が平成12年に制定され、
家電リサイクル法、自動車リサイクル法などの関連法案も整備、
廃棄物の再資源化が進んでいます。
環境意識の高まりから分別が進み、家庭や企業などから出るごみ、
一般廃棄物は減少しています。

ピークの平成12年度は5483万トンでしたが、
20年度には4811万トンと19年ぶりに5000万トンを下回っています。
政府は、24年度に約5000万トンに減らすという計画を立てていましたが、
前倒しで計画を達成しています。
今後は少子化の影響もあり、廃棄物はさらに減少するとみられています。

リサイクル率もスチール缶は約85%、
自動車の廃棄物では100%近くにのぼり、世界でもトップクラスです。
資源の有効活用、循環型社会を考えれば喜ばしいことですが、
リサイクルではその供給源が減るという、相反することが起こってしまいます。


■中国の状況
中国を含むアジアでは人口が増加し、経済成長は著しいという状況です。
たとえば中国は、資源国ですが、
それを上回る伸びで化石燃料や鉄鉱石など原料の輸入国にもなっており、
使った資源を活用しなければならないことが自明の理になっています。

一方で、中国は廃棄物処理に頭を抱えています。
中国では、基本的に広大な土地に廃棄物を埋め立てて処理してきましたが、
都市周辺の処分場はすでに満杯状態です。
有害廃棄物の処理の問題もあります。
埋め立て地からはCO2排出係数の高いメタンの排出量も多くなっています。

高度経済成長時代の日本は、大量生産・大量消費・大量廃棄の反省にたち、
循環型社会へと大きく移行しましたが、
中国も今まさに資源循環の必要性を認識するようになっています。


■静脈産業進出の戦略
リサイクルなどの静脈産業が海外に根付くには、
その国、当該国で環境基準や廃棄物の適正処理の法規制、
そしてそれを監視するモニタリング体制が整ってなければなりません。
リサイクル事業の海外進出に直接的に補助金を出すというのではなく、
政府自らが途上国の廃棄物処理の制度作りを支援しながら、
民間企業の進出をバックアップするというものです。

中国のような国では、民間企業だけで売り込みをかけるより、
国がバックアップしているという支援が果たす役割は大きいとおもわれます。
また、資源を効率的に使っているかを測る指標の一つである
資源効率性(資源投入あたり生み出される経済的価値)について、
日本は主要先進国(G7)の中で最も高い数値を達成しています。
このような高い技術力を持った日本の静脈産業の海外展開は、
地球全体のサスティナビリティに貢献し、CO2排出量低減にもつながるといえます。

分野: 高橋幸夫助教 |スピーカー:

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