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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 水素社会は実現するか(2)(産学連携マネジメント/高田仁)

水素社会は実現するか(2)(産学連携マネジメント/高田仁)

10/11/09

 燃料電池自動車はいつ頃本格的に普及するのだろうか?
9月28日に九大伊都キャンパスで行われた
「水素社会実証研究」のキックオフミーティングで、
トヨタ自動車の燃料電池開発に携わる方が、
その開発状況について興味深い話をしていた。
まず、最大のネックであるコスト問題だが、
例えば燃料電池触媒には高価な白金を
80g使用しなければならなかったが、
現在は20gにまで低減させることに成功しており、
既存の自動車に使用される10gのレベルに
到達するのにはもう一息、というところまで
たどり着いているとのこと。
また、その他開発品のコストも1/10程度まで
低減してきており、これをさらに半分にすることを
目標に開発を進めているとのことである。

これを聞いて、想像以上のスピードで
開発が進んでいるという印象を受けた。
豊田社長が昨年発表した
「2015年までに購入可能な燃料電池車を市場投入する」
のも現実味を帯びている。
もちろん、最初は赤字覚悟での市場投入だろうが、
計画では最初の普及車投入から10年後の2025年には
本格普及にシフトすると予想されている。
 
また、燃料電池の心臓部であるスタック(改質器)の効率や
耐久性も上がっており、実用化に向けた長距離走行
(東京〜大阪560kmを無充填走行)やカナダでの低温環境での
走行試験などをこなしているとのことである。
先の9月末のミーティングでは、名古屋の
セントレア空港で使用されている燃料電池バスも
九大に持ち込まれて、試乗会が行われていた。
 
燃料電池車が現実味を帯びて来ると、社会インフラとしての
水素ステーションの整備が必須となる。
こればかりは自動車メーカー単独では手に負えないため、
政府や産業界など国を挙げての取組みが必要となる。
燃料電池開発の関係者によると、我々が将来、
家庭やオフィスで身近に水素エネルギーを使えるように
国内にインフラを整備するのは、燃料電池自動車用の
インフラ整備を基軸に進めるのが最も良いとのことである。
ちなみに、国内の化学プラント等で副産物として
生産される副生水素の総量は、燃料電池車の走行に
必要な水素量の約700万台分に相当するという。
日本全体で自動車が約7000万台あるので、
その10%が燃料電池車に置き換わったときに必要な水素は
既に国内に未利用資源として存在している、
ということを意味する。
 
これらを考えると、水素社会も遠い将来の話ではなく、
徐々に現実味を帯びた話になる。
ただ、脱石油から水素に全面的に置き換わるという
単純な話ではなく、従来の電力(原子力発電などによる)や
都市ガスに加えて、太陽光や風力、バイオマスなどの
新しいエネルギーなど、様々なエネルギーが混在して
利用されるのが現実的だ。
 
これまで我々は、電力やガスがどこかで大規模に作られて、
目立たないルートで家庭に供給されるという姿が当たり前だと
考えているが、将来は、水素や風力・太陽光など様々なタイプの
資源を活用して電力や熱といったエネルギーが家庭やオフィスの
すぐそばで作られて使用されるという、
「エネルギーの地産地消」
の時代に大きくシフトするかもしれない。

分野: 高田仁准教授 |スピーカー:

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