QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

過去の記事詳細

QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 「水素社会は実現するか(1)」 (産学連携マネジメント/高田仁)

「水素社会は実現するか(1)」 (産学連携マネジメント/高田仁)

10/11/08

九州大学の伊都キャンパスおよびその周辺地域では、
水素エネルギーを活用した社会、つまり「水素社会」の実現に
向けた研究が集中的に行われている。

水素エネルギー国際研究センターを中心に、
国の大型研究プロジェクト(21世紀COEプログラムや
WPI;世界トップレベル研究拠点形成)が進められており、関連して、
産総研の水素センターや水素エネルギー製品研究試験センターが集積している。
また、九大大学院には「水素エネルギーシステム専攻」が設置され、
次世代を担う人材育成も並行して行われている。

また、地元行政(福岡県)もいち早く
「福岡水素エネルギー戦略会議」を設置し、
民間企業450社以上が参画し、まさに産学官連携によって
水素社会の実現を目指している。

「水素社会」とは、水素エネルギーが我々の
身近なエネルギー源として使用される社会を指す。
具体的には、天然ガスなどを改質して水素を取り出し、
そこから燃料電池を使って電力を得るという仕組み。
この電力をオフィスビルや家庭、自動車のエネルギーに使うことで、
「脱石油」社会を実現する。更にその先では化石燃料である
天然ガスすらも使用せずに、バイオマスや風力・太陽光を用いて
水素を得ることも視野に入れている。

エネルギー源としての水素のメリットは、
(1)貯蓄できる、(2)輸送できる、(3)エネルギー効率が良い、
(4)排出物が水だけで環境に良い、といったことが挙げられる。

一方で、現状での水素の課題は、
(1)金属の強度を弱めるので特殊な材料開発、
(2)水素から電気を取り出す燃料電池の効率化や低コスト化、
(3)水素を製造して供給する大規模な社会インフラの構築、
(4)天然ガスから水素を取り出す際に発生するCO2の固定化、等が挙げられる。

実用化という面では、例えばエネファームのCMは
よくテレビで見る人も多いだろう。
家庭に燃料電池を設置し、都市ガス等から得た水素を燃料に
電気をつくりながら、同時に発生する廃熱もうまく利用しよう
というコジェネレーションの仕組みで、通常の火力発電所で
発電して電気を得るのに比べてエネルギー効率が高い。
課題は、まだ値段が高いこと。(約300万円くらい)

また、トヨタ自動車の豊田社長は、2009年5月のスピーチで、
「2015年までに市場で購入可能なレベルの燃料電池車を投入する」と述べている。
ただ、初期の燃料電池自動車は1億円を越える値段となったため、
普及にむけて悲観的な観測が広がった。
現在、ホンダがクラリティという乗用車を市場投入しているが、
アメリカでは月額600ドル、日本では月額80万円のリース代
という高コストがネックとなっている。

この燃料電池車の高コストも影響して、自動車については
このところハイブリッドや電気自動車(EV)に注目が集まっている。
日本ではエコカー補助金もあってプリウスが国内売上台数No.1を
続けていたり、シリコンバレーではEVベンチャー企業の
テスラ・モーターズがEVのスポーツカーを発売したり、
GMなど大手自動車メーカーもEV開発を進めている。

EVの普及には充電ステーションといったインフラ整備が必要だが、
実験的なステーションの設置が行われたり、家庭で充電出来る
技術開発も進められている。

このような状況は、一見すると燃料電池自動車に不利な
環境のようにみえるが、本当にそうなのだろうか?

EV普及の最大のネックは航続距離の短さだ。
例えば、日産のリーフは1回当たりの充電で160kmの走行が可能
と発表していたが、走行条件によって航続距離が大幅に変化し、
夏場にエアコンを付けて都心で走ると
70km程度しか走れないことも明らかにしている。
このため、日産はベタープレイスというバッテリーを
積み替えるサービスを提供する米国のベンチャーと提携し、
インフラや航続距離の問題を解決しようとしている。
また、EVの開発と並行して燃料電池自動車の開発も進めているのが現状だ。

現在のところ、ハイブリッドやEV(プラグイン・ハイブリッド)自動車が普及し、
その後、本格的に燃料電池車が普及すると見られている。

分野: 高田仁准教授 |スピーカー:

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ