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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 地方公営企業改革 (財務戦略/村藤 功)

地方公営企業改革 (財務戦略/村藤 功)

10/11/05

2009年度から、第三セクター等改革推進債という赤字地方債を、
自治体が発行することが可能となりました。
従来、地方自治体は財政難のため、
自治体の傘下にある公社の債務を肩代わりする余裕がありませんでしたが、
赤字地方債の発行を通じての資金調達が認められたため、
債務の肩代わりが可能となり、
地方公社解散の動きがここ1年近くで相次いでいます。
今回は、地方の公営企業や第三セクターの改革の動きについてお話ししていきます。


■地方公営企業・第三セクター問題の現状
この番組でも何度かお話ししておりますが、
中央政府の財政を再建するには、
消費税か成長しか選択肢がないというのは誤りです。
この二つ以外にも、
政府資産売却や公営事業の民営化という方法も残されています。

これは中央の話ですが、地方でも同じことが言えます。
地方でも企画や進捗管理だけで済むことでも、
地方政府が現業としてやっている場合が数多くあります。
その例として水道や下水道、そして土地開発公社や住宅供給公社、
道路公社のいわゆる地方三公社が挙げられます。

これら公社への融資を銀行に断られた場合、
地方自治体は債務保証を付けるなどして支援していました。
実質的に地方自治体の影響下にあるため、
民間企業の考え方であれば、
自治体の財務諸表に公社を連結して作成するところですが、
実質収支比率や実質公債費比率には、
公社や三セクター分が含まれていませんでした。

これが新しく導入された早期健全化法では、
連結実質赤字比率には相変わらず地方3公社や第三セクター分が入っていませんが、
将来負担比率では、地方3公社や第三セクター分も考慮に入れた財務比率をみて、
財務の健全性を判断するという流れに変わってきています。


■事業民営化の動き
地方公営企業や第三セクターの一部は赤字を累積し、
実質債務超過に陥っています。
第三セクターや公社の赤字は、
一時、大阪府庁舎移転で話題になった、
大阪ワールドトレードセンタービルは約500億円の累損ですし、
埼玉高速鉄道は475億円の負債を抱えています。
東京千葉を結ぶ東葉高速鉄道に至っては、営業区間は16キロですが、
地価が高かったバブル期に土地を買い込んだため、
負債が3300億円近くあります。

また、名古屋市のバス事業や札幌市の地下鉄事業、
大阪市の新交通システム、神戸市のバス事業などの交通事業、
そして北海道、愛媛の病院事業は債務超過に陥っています。
福岡県でも病院事業を取り巻く状況は厳しく、
運営する県立5病院を民営化しました。

交通や病院はお金がかかるため、
本当にそれを自治体で運営しなければならないのかよく考えないと、
住民の借り入れがどんどんたまっていってしまいます。

しかし、民間に公営事業を売却するという民営化の流れはあまり起きていません。
公営事業を民間に売却してしまうと、
それまでそこで働いていた人たちは、
仕事を失ってしまうことになるかもしれません。
また、民営化した企業に残ったとしても、
公務員から非公務員に肩書きが変わってしまいます。
東京は別としても、地方では大体の場合、
公務員の方が地方の民間企業よりも給料は上です。
公務員から非公務員になって給料が下がるということを、
地方公務員が喜ぶはずもないため、
民営化大反対といって民営化の話を潰すというのが普通です。


■公営ガス事業売却
国内最大の公営ガス事業である仙台市ガスは、
2005年から民営化に向けて検討を行ってきました。
買い手として東京ガス、東北電力、石油資源開発の三社が手を挙げ、
仙台市としても安心して売却できると思っていた矢先に世界金融危機が発生し、
結局、急激な経済情勢の変化などを理由に三社は買収を断念、
民営化も延期となりました。

仙台市としては、長い時間をかけて民営化すると決めたにもかかわらず、
買い手が付かないというのも面目が立たないため、
とりあえず延期したというところでしょう。

東京ガスの財務状況が改善してくれば新たな動きがあるかもしれませんが、
ガス事業は中長期的にみると、
オール電化の電力に対抗できないのではないかと思います。

私は以前、久留米市ガス事業の民営化をお手伝いしましたが、
佐賀市のガス事業が民営化して以降、
久留米市のガス事業が九州では最後の公営ガス事業でした。
今や全国でガス事業を民営化するという流れになっているため、
ある意味では仙台市のガス事業も時間の問題ではないかと思います。


■サンディスプリングス市の事例
また、アメリカには郡の扱う教育・保健福祉業務、
警察、消防を除くほぼすべての市の業務を、
民間企業に委託しているサンディスプリングス市という面白い街があります。
このサンディスプリングス市はジョージア州アトランタ市の北にあり、
2005年に設立されました。
人口は約9万9000人ですが、市長の他には市職員は4人だけです。

全体の公共サービスの運営は包括的に民間企業に委託されており、
全米有数の建設会社の子会社が業務を受託しています。
受託企業の従業員135人、そして市長と市職員4人が、
市の運営を行っていることになります。

日本では新たな市の設立や、
許認可権限を民間に委託することは法制上できません。
しかし、自治体が受け持っている部分を民間に移すということは可能です。
そういった選択肢の全てが上手くいっているわけではありません。
むしろ、ほとんど何も上手くいっていない状況ですが、
色々なことを試しているという段階ではないかと思います。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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