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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 尖閣衝突問題 (財務戦略/村藤 功)

尖閣衝突問題 (財務戦略/村藤 功)

10/10/29

私は尖閣諸島の問題は領土問題ではないかと疑っています。
そのため、日本側の領土問題ではないという認識は少し怪しいと感じています。
私が尖閣諸島の衝突事件の話を聞いたのは、ちょうど中国から日本へ帰って来る最中でした。
しかし、中国の新聞の報道と日本の新聞の報道は、全く違うものでした。
領土問題では往々にして、当事者は勝手なことばかりを主張します。
現在、何が起こっているのかということを正しく把握しようとすると、
問題の起源に遡って考える必要があります。


■日本側、中国側の認識
この問題についての日本側の立場は、尖閣諸島は日本の領土であり、
中国との間に領土問題は存在しないというものです。
もともと尖閣諸島は1885年以降無人島で、清朝の支配下にもないことを確認して、
1895年の閣議決定で日本の領土に編入されたと日本側は主張しています。

しかし、1895年は、1894年に始まった日清戦争終戦の年で、
清が日本に対し何もいえなくなった時期です。
尖閣諸島の付近は、日本や中国、台湾などの漁船が行き来している場所ですが、
無人島が19世紀の末に実在したのかとどうか、若干怪しいと思います。
この経緯をふまえた上で領土問題があるとするならば、
中国の意見を聞いてみないと、そもそも何が問題になっているかよく分かりません。

日本の報道は、中国の漁船が自分からぶつかってきたので捕まえたところ、
中国に理不尽に文句を言われたというものです。
ところが中国側は、日本の領土ではなく中国の領土で漁船が操業しているところに、
突然違法に日本の巡視船が停船命令を出してきて、
船長が不当に逮捕されたと主張しています。
このように、そもそも尖閣諸島がどちらの領土に属するかという認識が全く異なっています。
日本の法律の遵守を求めても、中国が聞くはずもありません。


■問題の経緯
もともと、この問題は1978年に鄧小平によって棚上げされてきたものでした。
今回、初めて問題になったわけではなく、昔から続いてきた問題です。
尖閣諸島は16世紀半ばから中国や台湾の勢力圏に入っており、
台湾の領土であると中国は主張しています。
そして、中国にとって台湾は中国の領土ですから、
台湾の領土であればそれは自動的に中国のものだということになります。

ところが、中国が何と言っているのか日本の新聞やテレビでは全く出てきません。
これも怪しいところです。
19世紀の終わりから20世紀の初めという時期は、
日本が韓国や台湾を併合し、何もものが言えないようにした時代です。
尖閣諸島が本当に台湾の領土でなかったかどうか、
台湾に発言させて台湾の資料をみてみない限り分かりません。

この手の問題は、実際に資料をみれば、
日本からは日本に有利になるような証拠が山のように出てきますし、
台湾からも台湾に有利になるような証拠が出てきます。
中国からも中国に有利になるような証拠がたくさん出てきます。
皆が色々なことを言って、自分の領土だというから領土問題になるわけです。

それに対して、日本が領土問題は存在しないと言っているのはおかしいと思います。
本当に、どこの国も領有していないような島が、
船が行き来しているような場所にあったのか、まずそこが疑問です。
しかも、日清戦争が終わった直後に、
閣議決定という日本だけの意思決定で日本の領土に編入しています。
この経緯をきちんと調べてみない限り、
この問題については何ともいい難いところがあると思います。

お互いに専門家を出して議論するという方法もあるでしょうが、
日本は日本の有利になることだけ言い、
中国は中国が有利になることだけ言うということは容易に想像がつきます。
やはり第三者が出てこない限り、
この手の問題は解決に向けて進まないのではないかと思います。
国際司法裁判所や、利害関係のない中立な誰かを連れて来て、
両方の意見を聞かせて報告書を出させるということをしない限り、
お互いに話はかみ合わないままです。
今のところ、本当はどうなのかよく分からないということだと、私は思っています。


■南沙諸島と中国
アメリカは、尖閣諸島は日米安全保障条約の対象となっているという認識を示しています。
ここにはアメリカの、日本との同盟を強化して、
二つのスーパーパワーの一つになりそうな中国に対して、
中国包囲網をしくという政治的な思惑があります。
立場としては日本よりですが、
だからといってアメリカの言っていることが必ずしも正しいわけでもありません。
やはり、どっちの領土だったかという問題は、
そもそもどういう経緯で問題になったかという事実を積み上げていかなければならないと思います。

また、南沙諸島でもフィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、
台湾、中国といった6カ国・地域が領有をめぐって対立しています。
中国の動きは、資源をねらったものかもしれませんし、
あるいはこれまで発展途上国で弱かった政治力が強くなったことで、
発言力が増えたことが影響しているのかもしれません。
いずれにせよ、全く何の関係もない地域の領有権を主張している、
ということでもないのではないかと思います。

やはりこの手の問題は、お互いの言っている事実を調査して積み上げるという、
ニュートラルな見方をしなければならないと思います。
今の日本のマスコミ報道は、当然といえば当然ですが、
私には日本サイドに立ちすぎてニュートラルな報道ではないように思います。
弱腰はやめて強硬にしろといったところで、
この件で中国と戦争をするつもりの日本人はほとんどいないと思います。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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