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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > アメリカ報告(1)(経営学/久原正治)

アメリカ報告(1)(経営学/久原正治)

10/10/26

今年の夏もシカゴ・デポール大学のビジネススクールに行ってきましたので、
その話を中心にしたいと思います。

アメリカでは金融危機後の見直し、或いは曲がり角という議論が出ていて、
MBA教育に対する反省があります。
つまり従来のMBA教育が、こういう危機をもたらした、
あるいは問題解決に役に立たないというビジネススクールの研究と教育の
無力さに対する反省が出てきているという感じです。

全日制のMBAではかなり学生が減っているところがあります。
つまり景気の低迷あるいは奨学金がなく、ビジネススクールに
投資してもリターンがないので、そこに影響が出ているようです。
私のクラスの学生数は18人でしたが、夜学で昼間働いている人が来ており、
仕事をやめてMBAを取るわけではないので、学生数が減っていないのでしょう。
アメリカでは雇用が大きな問題ですが、学生18人の内4人くらいが失業者でした。
昼間はパートをしていると言うことでしたから、若者の職が無いことはそこでも感じました。

アメリカのMBA教育では、色々な課題を反省しているところですが、
アメリカの経営学会という1万人くらいが参加する最大の学会があり、
これからのMBA教育をどうするかというセッションの中で、
3人の有名なアメリカのビジネススクールの先生たちが
それぞれ非常に面白い意見を言っていました。

第一は、ラケシュ・クラーナというハーバードビジネススクールの
有名な教授です。ビジネススクールというのは教育面でも研究面でも、
現在非常に大きな曲がり角に来ているといっています。
まずビジネススクールでの研究は、非常に細かい複雑な数式などを駆使しているが、
結局本当の経営課題に解決につながらないということを彼はいっています。
ただ研究というのはビジネススクールにとって一番大事なもので、
研究がないビジネススクールは教育も全然充実しないと、強く主張していました。
研究者がきちっとビジネスの課題を解決できるような研究を問題に設定すれば、
その研究結果が教育の中に反映されて、最先端の研究をベースにして
ビジネスの問題が解決できるということを学生も理解できるので、
そういう意味でも彼は研究をもう一度見直し、それを重要視して
ビジネススクールを建て直さなくてはいけないと言っています。

次に、ヘンリー・ミンツバーグという経営学のグルみたいな先生がいますが、
彼は以前からビジネススクールで学ぶ教育なんて実際には何の役にも立たないと言っています。
マネジメント教育というのは、現場で問題を抱えた人たちが集まり、
その問題を互いに議論することによって、現実のビジネスの解決の方法や考え方が身に付き、
それを現場に持ち帰って実践してみて、その結果をまた持ち寄り議論することである。
このように経営教育は実践から出てくるものなので、ビジネススクールに行っても
何の役にも立たないという極端に過激なことを言っている先生です。
この人は日本の企業からも実際に働いている人を集めて
グローバルな実践教育をやっていて、そういう意味では非常に面白い人です。
もう1つ面白かったのは、伝統的なビジネススクールの代表として、
オライアンというUCLAビジネススクールの学科長が話をしてくれました。
この人は、伝統的なビジネススクールの様々な科目、例えば金融論や経営戦略論などの
知識は大事だけれども、それに何をプラスするかということを言っています。
1つは、ソフトスキルでコミュニケーション技術やリーダーシップなどの実践教育、
もう1つは、倫理あるいは人生の哲学など、いわゆる暗黙知を
科目に加えることで、ビジネス教育がちゃんとしたビジネスマン、
ビジネスウーマンを生んでいくといっていました。

3人とも机上で研究を続けることだけではなく、実践に必要なものを学ぶことを重視しています。
これまでのビジネス教育は理論に偏っていて、ビジネススクールで勉強しても
あまり役に立たなかったということが、金融危機の反省としてあるようでした。
では、日本のビジネススクールや大学は、どう学生に教えるのかということですが、
アメリカのビジネススクールとは伝統があるし多様な教育が行われている一方、
日本のビジネススクールはまだ伝統も浅いし、なかなか難しいのです。
ただ、彼らは研究をちゃんとやることが重要だと言っています。
研究を基にした理論と実践力を養うことをどうやって実現するかが
これからの日本のビジネススクールの課題で、結果として日本に本当の経営力を持った
ビジネスマン、ビジネスウーマンを育てることができるかということでしょう。
MBAの教育のあり方がアメリカでも今曲がり角に来ていて、
日本も考え直すべき時期だということです。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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