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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 振興銀行ペイオフ (財務戦略/村藤 功)

振興銀行ペイオフ (財務戦略/村藤 功)

10/10/22

2010年9月10日に、日本振興銀行が破綻し、
ペイオフも制度が1971年に発足して以降、初めて発動されました。
今回は振興銀行の破綻についてお話ししていきます。

■振興銀行の破たん
振興銀行は2010年3月時点では、資産が負債を上回っているということで、
資本増強に向けて出資者を募っていました。
ところが、金融庁に不良債権の査定が甘いと指摘を受け、
改めて精査したところ、貸倒引当金が大幅に不足していることが判明しました。

この損失を計上すると大幅な債務超過に陥る見通しになり、増資交渉も断念されました。
また、債務超過額も8月末で約1800億円に上っていました。
このような状況が判明した結果、金融庁は日本振興銀行を破たん認定して、
9月10日から12日まで3日間の業務停止命令を出しました。
そのうえで預金保険機構を金融整理管財人に選び、
破たん認定と同時に、振興銀行は、東京地裁に民事再生法の適用を申請しました。


■振興銀行の業務
振興銀行は2003年に銀行免許を申請して、
2004年から中小企業専門の銀行として発足しました。
従業員は約550人ですが、全国に125店舗を展開しています。
2010年3月末の預金残高は約5932億円、貸出残高は4219億円ありました。

この振興銀行の大きな特徴は、一般の銀行と違って決済を行っていないという所にあります。
会社の当座預金や一般人の普通預金といった決済性預金を振興銀行は持っていないため、
預金はすべて、1カ月物から10年物の定期預金ということになります。
キャッシュカードもなく、定期預金の預け入れや払い戻しは、
郵送やインターネットで申し込んで他の銀行の口座を通じて行うという仕組みになっています。
また、金融機関同士の資金決済に使う全国銀行データ通信システム(全銀ネット)や、
日銀ネットにも加盟していません。

振興銀行が銀行間のネットワークに入っていた場合、
今回のようにペイオフ制度を適用できたかどうかは極めて怪しかったといわれています。
銀行同士がネットワークで繋がっている場合、ある1つの銀行が破綻すると、
他の銀行にもトラブルの影響が波及していくかもしれません。
しかし、振興銀行は他の銀行とほとんど関係を持っていなかったため、
破綻しても影響は小さいと考えられたようです。


■経営陣の逮捕
もともと振興銀行は中小企業に対する小口融資を主体としていました。
しかし、2008年春以降、ノンバンクからの債権買い取りや大口融資で拡大路線に舵を切り、
不良債権を拡大してしまいました。特に、
SFCG(旧:商工ファンド)からの債権買取りに関連して、
出資法の上限金利を超す疑いのある融資が存在したといわれています。
出資法に違反すると、厳しい刑罰が科せられるため、
どんなサラ金でも出資法に違反することだけは避けますが、
振興銀行はこれに抵触することを過去にやっていたことになります。

これに関連して、金融庁は2009年6月から2010年3月に立ち入り検査を行いましたが、
その際に振興銀行は検査に非協力的で、
メールを削除するなど銀行法違反(検査忌避)の容疑があるということで、
警視庁は2010年7月に振興銀行設立の中心人物である木村剛前会長、
西野達也前社長らを逮捕しました。
木村前会長らが削除したとされる約720件のメールには、融資先企業で構成する、
「中小企業振興ネットワーク」の会員企業とのやり取りが多く含まれていました。
木村・西両氏の逮捕後は、社外取締役だった作家の江上剛氏が社長となって、
業務体制の刷新、自力再建を目指していましたが、破たんという結果になってしまいました。


■破たん後の振興銀行
ペイオフは、一預金者当たり元本1000万までの預金とその利息を払い戻すという制度です。
しかし、1000万円と利息を越える分については、
資産がある限度でしか払わないということで、
いくら損するか分からないということになります。

2010年9月初めの時点で1000万円を超える元本を振興銀行に預けている預金者は3560人で、
預金総額は450億円ですが、預金保険の対象外の金額は120億円にのぼります。
1000万円を超える分については、おそらく全額は戻ってこないでしょうし、
戻ってきたとしてもほんの少しではないかと思います。

振興銀行の管財人である預金保険機構は、
約8カ月後をめどに振興銀行の業務の一部を、
一時的な受け皿となる第二日本承継銀行に譲渡する予定です。

もともと、公的受け皿銀行(ブリッジバンク)として、
日本継承銀行がその役割を果たしていましたが、
2004年に設立年限を迎えたため、同年新たに預金保険機構の全額出資で、
第二日本継承銀行が設立されました。

この銀行は、新たに営業を引き継ぐ金融機関等が現れるまでの間、
破たんした銀行の一時的な管理を目的としています。
振興銀行の新しい引取先はみつかっていないため、
取りあえずは第二日本継承銀行に引き渡されることになりそうです。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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